社会経済格差による生活習慣課題への対応方策立案に向けた社会福祉・疫学的研究

文献情報

文献番号
201809026A
報告書区分
総括
研究課題名
社会経済格差による生活習慣課題への対応方策立案に向けた社会福祉・疫学的研究
課題番号
H30-循環器等-一般-004
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 克則(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 老年学評価研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 斉藤 雅茂(日本福祉大学 社会福祉学部)
  • 村田 千代栄(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター老年社会科学研究部)
  • 佐々木 一郎(同志社大学商学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
11,530,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の3年間の目的は、1)全年齢における社会階層・地域間の健康格差の実態、2)関連要因の解明、3)健康格差の縮小を目指した地域介入策の立案試行、4)対応策立案に有用なシミュレータ開発、をすることである。2018年度は,これらのうち1)全年齢における社会階層・地域間の健康格差の実態、2)関連要因の解明,3)健康格差の縮小を目指した地域介入策の立案を行うことを目的とした。
研究方法
神戸市「市民の健康とくらしの調査」:農村的地域から都市的地域まで含む神戸市において,神戸市健康政策課が実施した「市民の健康とくらしの調査」のデザイン,調査票の設計への助言,調査実施後の集計・報告書作成を国立長寿医療研究センターで受託し,それに研究班のメンバーが協力した。「市民の健康とくらしの調査」は2018年8月に実施。対象は,20歳以上65歳未満の2万人を無作為抽出し、郵送配布、郵送回収した。その調査票の中で,本研究へのデータの二次利用への同意を求めた。
関連要因の解明:神戸市の調査結果報告書の作成に協力し,集計・分析を行った。3人の分担研究者に5人の研究協力者を加え、9月上旬までに回収できた調査データを用いた速報値による中間報告書(191ページ)を9月末に神戸市に提出した。市の担当者も参加した研究班会議を開催し、中間報告書を元にした討議や最終報告書に対する要望、今後の進め方などについて意見交換を行い、その後に回収できたデータも加えた確報データによる報告書を11月末に提出した。既存の日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study,JAGES)の高齢者データを用いた分析をし、糖尿病や高血圧など生活習慣病に関する分析を進めた。
健康格差の縮小を目指した地域介入策の立案:調査結果をもとに、12月20日に開催された神戸市の「市民の健康とくらしの調査」のタスクチーム会議において報告し検討した。
研究班会議の開催:上記の取り組みを円滑に進めるために,メールによる情報共有や論議の他,対面による研究班会議を3回行った。8月25日、10月16日,2019年1月21日に開催した。
結果と考察
神戸市「市民の健康とくらしの調査」は2018年8月に実施した。郵送配布、郵送回収した結果、回収数6672票(回収率33.4%)、うち有効票は6666票(有効回収率は33.3%)であった。1036人は本研究への利用に同意せず,5630人分のみ研究利用が可能である。本調査の実施主体は,神戸市であり,神戸市がデータの所有者であるため,研究利用に同意した対象者のみのデータを本研究班で二次利用するために必要な神戸市役所内の手続きを進めている。
1)全年齢における社会階層・地域間の健康格差の実態
歯科保健、がん検診をはじめとする12項目について検討し、市内の行政区間や社会経済階層間に健康格差がある実態が明らかになった。既存のJAGESデータを分析した結果,高齢期の糖尿病罹患率は女性の低所得者で多かった。
2)関連要因の解明
関連要因として、生活困窮者、自営業や非正規職員,低所得者、50~64歳の専業主婦、生活保護受給者などで受診率が低いなど不健康・リスクが高いこと、他方で社会関係があると緩和され、行動変容ステージの関心期にあるものがリスク者に少なくないこと等が明らかになった。
3)健康格差の縮小を目指した地域介入策の立案
12月20日の神戸市「市民の健康とくらしの調査」タスクチーム会議においての論議では,地域間格差,世代間連鎖,生活保護,政令指定都市間比較,女性の健康寿命が延びていない,神戸市に多い専業主婦の健康状態が悪い,区に下ろして考えてもらうのも重要,まちづくりに健康の視点を,高齢者データも活用を,研究者に丸投げでなく行政主導で,といった点に留意して対策を検討すべきだとの意見が出された。これらを元に健康政策課と共に、地域介入策の立案に向けて検討を続けることとした。
結論
①高齢期の糖尿病罹患率は女性の低所得者で多かったことをはじめ、全年齢における社会階層・地域間の健康格差がみられる実態や、②関連要因として、生活困窮者、自営業や非正規職員,低所得者、50~64歳の専業主婦、生活保護受給者などで受診率が低いなど不健康・リスクが高いこと、他方で社会関係があると緩和され、行動変容ステージの関心期にあるものがリスク者に少なくないこと等が明らかになった。③健康格差の縮小を目指した地域介入策の立案に向けて、神戸市「市民の健康とくらしの調査」タスクチーム会議において検討した。

公開日・更新日

公開日
2020-01-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-01-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201809026Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,989,000円
(2)補助金確定額
14,989,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 438,617円
人件費・謝金 6,664,850円
旅費 1,202,770円
その他 3,223,763円
間接経費 3,459,000円
合計 14,989,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-03-23
更新日
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