文献情報
文献番号
201809020A
報告書区分
総括
研究課題名
健康増進施設の現状把握と標準的な運動指導プログラムの開発および効果検証と普及促進
課題番号
H29-循環器等-一般-012
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
澤田 亨(早稲田大学 スポーツ科学学術院)
研究分担者(所属機関)
- 丸藤 祐子(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 身体活動研究部)
- 小熊 祐子(慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター 大学院健康マネジメント研究科)
- 佐藤 真治(大阪産業大学 スポーツ健康学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
3,420,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
厚生労働省は国民の健康づくりを推進するため、昭和63年に健康増進施設の大臣認定を創設した。創設から30年が経過した現在、健康増進施設が国民の健康寿命の延伸に貢献していくために改善すべき点を明らかにし、本制度がさらなる発展をとげることが重要であると考えられる。そこで、本制度の現状をヒアリングや施設や施設利用者を対象にした質問紙調査で明らかにした。同時に、関連団体から本制度の現状や課題をヒアリングし、研究班としていくつかの提案を行う。
研究方法
1)質問紙調査:運動型健康増進施設を対象とする健康増進施設実態調査(183施設)と運動型健康増進施設利用者を対象とする健康増進施設利用者調査(129人)を実施した。
2)視察・ヒアリング調査:4つの専門機関と運動型健康増進施設16施設を訪問し、健康増進施設認定制度の現状や課題をヒアリングした。さらに海外の優れた施設3施設を訪問視察し、健康増進施設認定制度の改善に役立つ情報を入手した。
3)日本臨床運動療法学会の学術総会で2度、研究班によるシンポジウムを開催し総会参加者と意見交換を行った。
4)検討班の組織:現状調査の結果から4つの主要な課題を抽出し、研究代表者および研究分担者がそれぞれの課題について検討班を組織して課題に関する提案や確認を行った。
2)視察・ヒアリング調査:4つの専門機関と運動型健康増進施設16施設を訪問し、健康増進施設認定制度の現状や課題をヒアリングした。さらに海外の優れた施設3施設を訪問視察し、健康増進施設認定制度の改善に役立つ情報を入手した。
3)日本臨床運動療法学会の学術総会で2度、研究班によるシンポジウムを開催し総会参加者と意見交換を行った。
4)検討班の組織:現状調査の結果から4つの主要な課題を抽出し、研究代表者および研究分担者がそれぞれの課題について検討班を組織して課題に関する提案や確認を行った。
結果と考察
(1)健康増進施設認定制度の見直し
調査の結果、本制度の課題が明らかになった。具体的には、① 指定運動療法施設とそれ以外の施設の役割を明確にする必要があること、② 有酸素運動プログラムの実施に大きく偏った認定要件を変更する必要があること、③ 本制度や健康増進施設の認知度を高めるとともに健康増進施設が他の施設に対してリーダーシップを発揮するための環境づくりを支援する必要があることある。そして、これらの課題を改善するために、1) 各施設の役割の明確化、2) 運動型健康増進施設認定要件の変更、3) 健康増進施設大会の開催、4) 健康増進施設研究の実施と研究成果の積極的な発信を提案する。
(2) 医療費控除制度の改善
医療費控除の手続き自体が簡略化されてきている流れの中、指定運動療法施設における医療費控除のフローを簡略化すること、指定運動療法施設における医療費控除についての周知を促進すること、指定運動療法施設自体を増加させることが相互に効果を発揮し、短期的なメリットおよび、長期的には対象者のウェルビーイングの向上・健康寿命の延伸、医療費軽減が期待できる。指定運動療法施設における医療費控除のフローの簡略化については、かかりつけ医が日本医師会認定健康スポーツ医である場合とそうでない場合にわけて、メディカルクリアランスの考えに則って提案する。
(3)医療機関と健康増進施設の連携
健康増進施設が医療と連携するための手段の一つとして“地域包括ケアシステムへの統合”を提案し、そのためには、①生活習慣病予防に加えて、認知症、うつ、フレイル予防の運動プログラムを準備すること、②システム内で既に共有されている規範を順守することなどが重要である。
(4)自転車運動の健康効果の確認
通勤・通学時等の自転車利用による健康効果に関する研究では、自転車を使用していない人と比較すると、自転車通勤あるいは自転車利用習慣がある人では、様々な健康アウトカムの相対危険度が低いことが示されていた。通勤・通学の自転車利用促進による医療費抑制効果に関するシミュレーションモデルの研究では、イタリアのフィレンツェにおいて、自転車通勤・通学者の割合が7.5%から17%へ増えると、10年間で予防できる症例数は、2型糖尿病280症例、急性心筋梗塞51症例、脳卒中51症例で、地域医療保健サービスの10年間での貯蓄額は約5億円(1ユーロ125円とした場合)と推定された。
本文献レビューにより、自転車運動トレーニングの生理的効果や健康効果、医療費抑制効果が明らかとなった。
調査の結果、本制度の課題が明らかになった。具体的には、① 指定運動療法施設とそれ以外の施設の役割を明確にする必要があること、② 有酸素運動プログラムの実施に大きく偏った認定要件を変更する必要があること、③ 本制度や健康増進施設の認知度を高めるとともに健康増進施設が他の施設に対してリーダーシップを発揮するための環境づくりを支援する必要があることある。そして、これらの課題を改善するために、1) 各施設の役割の明確化、2) 運動型健康増進施設認定要件の変更、3) 健康増進施設大会の開催、4) 健康増進施設研究の実施と研究成果の積極的な発信を提案する。
(2) 医療費控除制度の改善
医療費控除の手続き自体が簡略化されてきている流れの中、指定運動療法施設における医療費控除のフローを簡略化すること、指定運動療法施設における医療費控除についての周知を促進すること、指定運動療法施設自体を増加させることが相互に効果を発揮し、短期的なメリットおよび、長期的には対象者のウェルビーイングの向上・健康寿命の延伸、医療費軽減が期待できる。指定運動療法施設における医療費控除のフローの簡略化については、かかりつけ医が日本医師会認定健康スポーツ医である場合とそうでない場合にわけて、メディカルクリアランスの考えに則って提案する。
(3)医療機関と健康増進施設の連携
健康増進施設が医療と連携するための手段の一つとして“地域包括ケアシステムへの統合”を提案し、そのためには、①生活習慣病予防に加えて、認知症、うつ、フレイル予防の運動プログラムを準備すること、②システム内で既に共有されている規範を順守することなどが重要である。
(4)自転車運動の健康効果の確認
通勤・通学時等の自転車利用による健康効果に関する研究では、自転車を使用していない人と比較すると、自転車通勤あるいは自転車利用習慣がある人では、様々な健康アウトカムの相対危険度が低いことが示されていた。通勤・通学の自転車利用促進による医療費抑制効果に関するシミュレーションモデルの研究では、イタリアのフィレンツェにおいて、自転車通勤・通学者の割合が7.5%から17%へ増えると、10年間で予防できる症例数は、2型糖尿病280症例、急性心筋梗塞51症例、脳卒中51症例で、地域医療保健サービスの10年間での貯蓄額は約5億円(1ユーロ125円とした場合)と推定された。
本文献レビューにより、自転車運動トレーニングの生理的効果や健康効果、医療費抑制効果が明らかとなった。
結論
各施設の役割の明確化、運動型健康増進施設認定要件の変更、健康増進施設大会の開催、健康増進施設研究の実施と研究成果の積極的な発信を提案する。さらに、医療費控除制度運用の改善に向けた提案は、指定運動療法施設における医療費控除のフロー簡略化については、かかりつけ医が日本医師会認定健康スポーツ医である場合とそうでない場合にわけて、メディカルクリアランスの考えに則り提案する。また、健康増進施設が医療と連携するための手段の一つとして“地域包括ケアシステムへの統合”を提案するとともに、運動指導専門家の国家資格化の必要性についても提案する。
運動型健康増進施設における有酸素運動の中心となる運動形態である自転車運動と健康に関する文献レビューを実施し、自転車運動トレーニングの生理的効果や健康効果、医療費抑制効果が明らかであることを確認した。
運動型健康増進施設における有酸素運動の中心となる運動形態である自転車運動と健康に関する文献レビューを実施し、自転車運動トレーニングの生理的効果や健康効果、医療費抑制効果が明らかであることを確認した。
公開日・更新日
公開日
2019-09-26
更新日
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