文献情報
文献番号
201809019A
報告書区分
総括
研究課題名
重点的な在宅栄養ケアに関する研究 -効果的な介入方法の検証ー
課題番号
H29-循環器等-一般-011
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
榎 裕美(愛知淑徳大学 健康医療科学部)
研究分担者(所属機関)
- 前田 惠子(愛知淑徳大学 健康医療科学部)
- 志村 栄二(愛知淑徳大学 健康医療科学部)
- 武山 英麿(愛知淑徳大学 健康医療科学部)
- 葛谷 雅文(名古屋大学 未来社会創造機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
在宅療養の継続の阻害は、医療および介護に極めて大きな影響を与えることは明らかであり、在宅療養の継続のためには、効果的な栄養ケアの構築が急務である。本研究の目的は、管理栄養士による重点的栄養介入が必要な在宅療養者に対する効果的な栄養介入方法について検証することである。
研究方法
【研究1】
・CQ1:在宅療養中の患者に対する栄養評価法ならびに栄養状態の実態とそのアウトカム
・CQ2:在宅療養中の高齢者に対する摂食嚥下障害評価法ならびに摂食嚥下状態の実態とアウトカム
・CQ3:地域在宅療養者に対する栄養療法ならびにその効果は?
・CQ4:在宅療養中の高齢者を対象とした摂食嚥下障害への介入ならびにその効果は?
・CQ5:終末期患者の栄養療法(介入)はQODに有効か?
5つのCQに対し、システマティック・レビューを行った。
エビデンスレベルは「Minds診療ガイドライン作成マニュアル Ver 2.0 (2016, 03.15)」「診療ガイドラインのためのGRADEシステム―治療介入―」を参照し、エビデンスの強さをA~D(A「高」、B「中」、C「低」、D「非常に低」)で評価した。研究デザインはエビデンスレベルを決定する出発点として使用した。推奨レベルに関しては「Minds診療ガイドライン作成マニュアル Ver 2.0 (2016, 03.15)」を参照した。
【研究2】過去1年間に管理栄養士による居宅療養指導を行った療養者109名(75.9±14.1歳)を登録し、後ろ向き研究として、管理栄養士による居宅療養管理指導開始時の情報から次のア)~カ)を抽出した(ア)基本情報:性、年齢、生活状況、介護度、イ)身体情報と栄養状態:身長、体重、栄養摂取ルート、ウ)嚥下機能の評価、エ)基本的ADL、オ)併存疾患、カ)血液検査値)。栄養ケアの内容については、1回の訪問に対し、実施した栄養介入の内容を仕分け、介入に要した時間を調査する。また、保険料を算定しなかった訪問での介入内容についても同様の調査を行い、算定外の訪問については、管理栄養士4名の協力により、症例の提示と訪問理由についてのヒアリングを実施した。
・CQ1:在宅療養中の患者に対する栄養評価法ならびに栄養状態の実態とそのアウトカム
・CQ2:在宅療養中の高齢者に対する摂食嚥下障害評価法ならびに摂食嚥下状態の実態とアウトカム
・CQ3:地域在宅療養者に対する栄養療法ならびにその効果は?
・CQ4:在宅療養中の高齢者を対象とした摂食嚥下障害への介入ならびにその効果は?
・CQ5:終末期患者の栄養療法(介入)はQODに有効か?
5つのCQに対し、システマティック・レビューを行った。
エビデンスレベルは「Minds診療ガイドライン作成マニュアル Ver 2.0 (2016, 03.15)」「診療ガイドラインのためのGRADEシステム―治療介入―」を参照し、エビデンスの強さをA~D(A「高」、B「中」、C「低」、D「非常に低」)で評価した。研究デザインはエビデンスレベルを決定する出発点として使用した。推奨レベルに関しては「Minds診療ガイドライン作成マニュアル Ver 2.0 (2016, 03.15)」を参照した。
【研究2】過去1年間に管理栄養士による居宅療養指導を行った療養者109名(75.9±14.1歳)を登録し、後ろ向き研究として、管理栄養士による居宅療養管理指導開始時の情報から次のア)~カ)を抽出した(ア)基本情報:性、年齢、生活状況、介護度、イ)身体情報と栄養状態:身長、体重、栄養摂取ルート、ウ)嚥下機能の評価、エ)基本的ADL、オ)併存疾患、カ)血液検査値)。栄養ケアの内容については、1回の訪問に対し、実施した栄養介入の内容を仕分け、介入に要した時間を調査する。また、保険料を算定しなかった訪問での介入内容についても同様の調査を行い、算定外の訪問については、管理栄養士4名の協力により、症例の提示と訪問理由についてのヒアリングを実施した。
結果と考察
【研究1】CQ1からCQ5において、CQ毎に推奨文と解説文を作成した。日本における在宅の療養者を対象とした論文は、限られており、日本人のための栄養介入方法を検討するためには、日本人を対象とした研究に絞り、レビューすることが望ましいが、未だ難しいことが示された。また在宅療養者の論文は、圧倒的に高齢者を対象としたものが多く、成人および小児を対象としたものは少ない。高齢者の栄養評価の方法、栄養介入の方法は、推奨できる指標および方法が使用されていたが、成人、小児については現時点では、エビデンスとして示せる方法はなく、今後の検討課題である。
【研究2】居宅療養管理指導における医師から管理栄養士への指示事項は、低栄養状態が全体の43.1%、嚥下困難が33.0%、糖尿病が32.1%であった。経口摂取可能者は、全体の82.6%であった。DSS分類による摂食嚥下機能評価では、全体の53.2%が正常範囲であったが、残りの46.8%は、嚥下に問題があるという結果を示した。対象者の平均訪問継続月数は、14.7±10.7か月であり、月平均訪問回数は、1.5±0.8回であった。管理栄養士が療養者に実施している指導内容とその平均所要時間を検討した結果、訪問の前後に行う事前準備と事後処理に多くの時間を費やしていることが明らかとなり、1回の所要時間の平均は、74.6分であった。算定外の管理栄養士による訪問の実施は全体の11.1%に認められた。研究協力者である管理栄養士が所属するクリニックの3年間の実績報告によると、管理栄養士の訪問の約4割が算定の限度である月2回を超えての訪問となっている。算定の限度回数を超えての訪問については、疾患の重症化予防、終末期、多職種との連携・情報収集等の理由である。特別な場合においては、算定要件の回数を増やす検討が必要と思われる。
【研究2】居宅療養管理指導における医師から管理栄養士への指示事項は、低栄養状態が全体の43.1%、嚥下困難が33.0%、糖尿病が32.1%であった。経口摂取可能者は、全体の82.6%であった。DSS分類による摂食嚥下機能評価では、全体の53.2%が正常範囲であったが、残りの46.8%は、嚥下に問題があるという結果を示した。対象者の平均訪問継続月数は、14.7±10.7か月であり、月平均訪問回数は、1.5±0.8回であった。管理栄養士が療養者に実施している指導内容とその平均所要時間を検討した結果、訪問の前後に行う事前準備と事後処理に多くの時間を費やしていることが明らかとなり、1回の所要時間の平均は、74.6分であった。算定外の管理栄養士による訪問の実施は全体の11.1%に認められた。研究協力者である管理栄養士が所属するクリニックの3年間の実績報告によると、管理栄養士の訪問の約4割が算定の限度である月2回を超えての訪問となっている。算定の限度回数を超えての訪問については、疾患の重症化予防、終末期、多職種との連携・情報収集等の理由である。特別な場合においては、算定要件の回数を増やす検討が必要と思われる。
結論
居宅療養者への効果的な栄養介入に関する国内外の先行研究から居宅での栄養介入法ならびに効果に関するシステマティック・レビューを実施し、症例文と解説文をとりまとめた。管理栄養士の効果的な介入については、おおむね算定要件内の回数での介入が実施されていたが、退院直後、急激な状態の変化がある場合は、算定要件である回数を超えた訪問の必要性が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2020-01-07
更新日
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