既存データベースの活用による虚血性心疾患・大動脈疾患診療の実態把握ならびに医療体制構築に向けた指標の確立のための研究

文献情報

文献番号
201809007A
報告書区分
総括
研究課題名
既存データベースの活用による虚血性心疾患・大動脈疾患診療の実態把握ならびに医療体制構築に向けた指標の確立のための研究
課題番号
H28-循環器等-一般-010
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
坂田 泰史(国立大学法人 大阪大学 医学部附属病院 循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 安田 聡(国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門 循環器内科学)
  • 宮本 恵宏(国立循環器病研究センター 循環器病統合情報センター 疫学)
  • 西村 邦宏(国立循環器病研究センター 循環器病統合情報センター 統計解析室)
  • 小室 一成(東京大学医学部附属病院 循環器内科学)
  • 磯部 光章(公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院 循環器内科)
  • 今村 知明(奈良県立医科大学 公衆衛生学)
  • 平山 篤志(日本大学医学部 研究所)
  • 辻田 賢一(熊本大学大学院 生命科学研究部 循環器内科学)
  • 中尾 浩一(済生会熊本病院 循環器内科)
  • 高山 守正(公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院 循環器内科)
  • 森野 禎浩(岩手医科大学 内科学講座循環器内科分野)
  • 上田 裕一(地方独立行政法人 奈良県立病院機構 奈良県総合医療センター)
  • 添田 恒有(奈良県立医科大学 循環器内科学)
  • 真田 昌爾(国立大学法人大阪大学 医学部附属病院 未来医療開発部)
  • 彦惣 俊吾(国立大学法人大阪大学 医学部附属病院 循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
5,390,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、日本循環器学会の全面的な協力のもと、本邦の死因において第二位を占める循環器疾患の中でも、発症後早急に適切な治療が求められる代表的な疾患である、虚血性心疾患・大動脈疾患の医療体制の整備のため、既存のデータを活用し、診療実態把握ならびに医療体制整備方策検討のための指標の構築を目的とするものである。
研究方法
改めて指標の再検討を行い、指標項目を抽出し、JROAD-DPCからデータ収集を行った。またアウトカム指標としては、信頼性の高い指標として、急性心筋梗塞による院内死亡率を用いることとし、これもJROAD-DPCからデータ収集を行った。
これらの指標データを用いてアウトカムを予測するモデルを作成することにより、アウトカム改善に有用な指標項目を抽出することとした。2014年度JROADおよびJROAD-DPCから得られたデータを用いて重回帰分析をおこない、2013年のデータでvalidationを取ることで予後予測モデルを検討した。
大動脈解離については、JROAD-DPCにおいて、手術を行った症例のみを対象として抽出し、病院毎の手術症例数を含む様々な因子を共変量として、院内死亡率をエンドポイントとする重回帰分析を実施した。
結果と考察
いくつかのモデルを作成したうち、年齢、性別、心筋梗塞重症度(Killip分類4の割合)、PCI実施率、都道府県面積を説明変数として用いた線形回帰モデルにおいて、2013年のデータを入力して急性心筋梗塞院内死亡率を算出した予測値を実際の2013年の死亡率(実測値)と比較したところ、多くの都道府県において実測値に近い死亡率を予測することが可能であり、今回検討したモデルの中では、このモデルがもっとも予測能が高いのではないかと考えられた。
一方、大動脈解離で手術を受けた症例においては、症例数の少ない病院で手術を受けることが院内死亡率高値と関連していた。
結論
虚血性心疾患に関しては適切な医療体制構築を目指すための指標として「PCI実施率の向上」が挙げられた。一方で、大動脈疾患については同様の指標は得られなかったが、手術実施症例に関しては胸部手術件数が多い施設での実施が予後良好と関連していることを見出した。

公開日・更新日

公開日
2019-08-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-08-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201809007B
報告書区分
総合
研究課題名
既存データベースの活用による虚血性心疾患・大動脈疾患診療の実態把握ならびに医療体制構築に向けた指標の確立のための研究
課題番号
H28-循環器等-一般-010
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
坂田 泰史(国立大学法人 大阪大学 医学部附属病院 循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 安田 聡(国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門)
  • 宮本 恵宏(国立循環器病研究センター 循環器病統合情報センター)
  • 西村 邦宏(国立循環器病研究センター 予防医学・疫学情報部)
  • 小室 一成(東京大学医学部附属病院 循環器内科学)
  • 磯部 光章(公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院 循環器内科)
  • 今村 知明(奈良県立医科大学 公衆衛生学)
  • 平山 篤志(日本大学医学部 研究所)
  • 辻田 賢一(熊本大学大学院 生命科学研究部 循環器内科学)
  • 中尾 浩一(済生会熊本病院 循環器内科)
  • 高山 守正(公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院 循環器内科)
  • 森野 禎浩(岩手医科大学 内科学講座循環器内科分野)
  • 上田 裕一(地方独立行政法人 奈良県立病院機構 奈良県総合医療センター)
  • 添田 恒有(奈良県立医科大学 循環器内科学)
  • 真田 昌爾(国立大学法人大阪大学 医学部附属病院 未来医療開発部)
  • 彦惣 俊吾(国立大学法人大阪大学 医学部附属病院 循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、本邦の死因において第二位を占める循環器疾患の中でも、発症後早急に適切な治療が求められる代表的な疾患である、虚血性心疾患・大動脈疾患の医療体制の整備のため、既存のデータを活用し、診療実態把握ならびに医療体制整備方策検討のための指標の構築を目的とするものである。
研究方法
既存データベースとして、JROAD/JROAD-DPCを用いた。
研究班内の合議により指標項目を決定した。
JROAD/JROAD-DPCから指標項目のデータを抽出し、都道府県毎に集計をおこなった。
各指標の都道府県差およびアウトカムとの相関を検討した。
指標を用いて都道府県ごとのAMI院内死亡率を予測するモデルを作成し、実測値との比較をおこなった。
大動脈解離に関しては。大動脈解離との診断のもと、緊急手術を行った症例(Stanford A型と考えられる症例)のみをJROAD-DPCから抽出し、病院毎の手術症例数を含む様々な因子を共変量として、院内死亡の有無をアウトカムとするロジスティック回帰を実施した
結果と考察
初年度(平成28年度)は、JROAD/JROAD-DPC、東京CCUネットワークの、虚血性疾患・大動脈疾患の診療実態に関する既存データについて研究班内で情報を共有するとともに、診療実態の把握のために必要なストラクチャー指標、プロセス指標、アウトカム指標などの指標項目を策定し、施設、搬送、人員、診療内容、予後やその地域差に関する情報収集の基礎的検討を実施した。平成29年度は、平成28年度に策定した指標項目について、JROADおよびJROAD-DPCからデータ収集および都道府県別の解析をおこない、地域差について検討するとともに、虚血性心疾患の予後と各指標の相関についても検討し、医療体制構築の検討に有用と考えられる指標の抽出を図った。平成30年度は、さらなるデータ収集をおこない、急性心筋梗塞予後予測モデル構築による診療体制構築のための指標として「PCI実施率」が有用である可能性を見出すともに、大動脈疾患に関しては、大動脈解離に対して手術を受けた症例に限ればある一定数の手術数を実施している病院で手術を受けることが予後良好に関連していることを見出した。
結論
虚血性心疾患に関しては、「PCI実施率の向上」を目指して医療体制を構築することが予後改善に有用と考えられたが、大動脈疾患に関しては疾患特性の問題もあり、適切な医療体制構築のための指標を同定することは困難であった。今後のさらなる検討が必要と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2019-08-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201809007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
虚血性心疾患に関しては適切な医療体制構築を目指すための指標として「PCI実施率の向上」が挙げられた。一方、大動脈疾患については同様の指標は得られなかったが、手術実施症例に関しては胸部手術件数が多い施設での実施が予後良好と関連していることを見出した。本研究成果は、令和2年度厚生労働科学研究費(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)心臓大血管救急におけるICTを用いた革新的医療情報連携方法の普及と広域救急医療体制確立に資する研究に引き継がれ、その優位性について引きつづき検討している。
臨床的観点からの成果
急性心筋梗塞に対してPCI実施率の向上を図ることが院内死亡率低下につながる可能性が、全国レベルのデータベースをもとにした解析で確認された。今後、そのためにはどのようにすれば良いかについて検討が必要と思われる。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
本研究の成果が、今後の循環器疾患診療体制構築に向けた参考となり、地域医療計画に反映されることが期待される。
その他のインパクト
第83回および第84回日本循環器学会学術集会シンポジウムにおいて、本研究成果を発表した。

発表件数

原著論文(和文)
17件
原著論文(英文等)
151件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
133件
学会発表(国際学会等)
16件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
小島貴行、彦惣俊吾、坂田泰史、他
Impact of Hyperglycemia on Long-term Outcome in Patients with ST-segment Elevation Myocardial Infarction
American Journal of Cardiology , 125 (6) , 851-859  (2020)
10.1016/j.amjcard.2019.12.034.

公開日・更新日

公開日
2022-07-14
更新日
-

収支報告書

文献番号
201809007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,000,000円
(2)補助金確定額
7,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 497,133円
人件費・謝金 957,630円
旅費 2,069,097円
その他 1,867,841円
間接経費 1,610,000円
合計 7,001,701円

備考

備考
自己資金1,701円

公開日・更新日

公開日
2020-02-05
更新日
-