製薬企業等による薬事関連コンプライアンス違反の実態とその背景を踏まえた再発防止策の提案

文献情報

文献番号
201724023A
報告書区分
総括
研究課題名
製薬企業等による薬事関連コンプライアンス違反の実態とその背景を踏まえた再発防止策の提案
課題番号
H27-医薬A-一般-005
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
白神 誠(帝京平成大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 理恵(日本大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
1,003,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
昨今の製薬企業におけるコンプライアンス違反がわが国を代表する企業やグローバルに展開する外資系企業で起こっていることは、体制を整備しただけではコンプライアンス違反を完全には防ぎ得ないことを示している。そこで、これまでに発生したコンプライアンス違反事例について、背景・原因を分析しコンプライアンス違反を防ぐための対策を提案する。
我々は、プロモーション活動におけるコンプライアンス違反に対する行政側の手法として医療従事者による広告監視モニター制度を提言した。この広告監視モニター制度の実現性、実効性を検討するため、パイロットスタディを実施する。また、行政側の対策の参考とするために米国及び英国を訪問して情報収集する。
研究方法
薬局での情報収集に精通している薬剤師及び地区薬剤師会の職員計3名にモニターを依頼し、薬局をベースにした広告監視モニター制度の構築に向けての検討を行った。モニターには随時事例を報告するよう依頼した。
英国における新薬プロモーション監視活動の実態を調査するため、MHRA、製薬企業を訪問し、関係者にインタビューを行った。
結果と考察
薬局をベースにしたモニター制度のパイロットスタディでは約9か月の間に13件の報告があったが、地域の医師への情報提供の実態把握の手段としては十分には機能しないことが明らかとなった。
英国のMHRA内では3名の広告評価担当者がおり、医薬品広告の規制に関する業務を行っていた。英国の医薬品プロモーション活動の監視においては、製薬企業内での自主規制が重要な役割を担っていた。行政の担当官の人数が限られる中、効率的にプロモーション監視を行うには、英国の業界のPMCPAのような機関の存在が重要となる。
コンプライアンス違反の原因が組織にあると思われる事例もスタートは個人のコンプライアンス違反であることが多い。したがって個人(社員等)のコンプライアンス違反を防ぐ方策を考えることが重要となる。社員等が知らずにコンプライアンス違反を犯している場合に対しては、社員等のそれぞれの業務に必要な規則やルールを理解させることが必要である。社会が変化していることを気づかせることもポイントとなろう。社員等がそうとわかってコンプライアンス違反を犯している場合は、コンプライアンス違反を犯すことによる損得を計算した結果だと考えるべきであろう。これに対しては、社員等にコンプライアンス違反を犯しても露見する可能性が高いと認識させることが重要である。一つの業務を一人の社員等に任せないようにするとともに同僚や部下からの情報提供の受け皿として内部通報の仕組みを構築することが重要となろう。部下が上司に気軽に相談できる風通しの良い職場づくりが必要である。通常の業務のラインが利用できない状況では、通報者にとって敷居の低い信頼できる内部通報制度を構築することが必要である。次にコンプライアンス違反に対し会社として弁解を許さない姿勢を徹底することが必要である。処分に情状酌量の余地を与えないことで社員等がコンプライアンス違反を犯す閾値を上げることにつながるはずである。以上のようにコンプライアンス違反を犯すことが得にはならないことを具体的な形で示すことにより、社員等によるコンプライアンス違反を防ぐことが可能になるのではないか。
結論
処方権のない薬局への製薬企業のプロモーション活動は診療所の医師に対するそれとは様相が違っており、地域の医師への情報提供の実態把握の手段としては、薬局をベースにしたモニタリング制度は十分には機能しないことが明らかとなった。
英国における医薬品プロモーションの監視には製薬業界での自主規制が大きな役割を担っている。
コンプライアンス違反の発生を防ぐためには、個人(社員等)のコンプライアンス違反を防ぐ方策を考えればよい。社員等が知らずにコンプライアンス違反を犯している場合に対しては、社員等のそれぞれの業務に必要な規則やルールを理解させることが必要である。社会が変化していることを気づかせることもポイントとなろう。社員等がそうとわかってコンプライアンス違反を犯す場合については、社員等にコンプライアンス違反を犯しても露見する可能性が高いと認識させることが重要である。一つの業務を一人の社員等に任せないようにするとともに部下や同僚からの情報提供の受け皿として内部通報の仕組みを構築することが有力となろう。部下が上司に気軽に相談できる風通しの良い職場づくりが重要であり、通報者にとって敷居の低い信頼できる内部通報制度を構築することが必要である。コンプライアンス違反に対し会社として弁解を許さない姿勢を徹底することが必要である。コンプライアンス違反を犯すことが得にはならないことを具体的な形で示すことにより、社員等によるコンプライアンス違反を防ぐことが可能になるのではないか。

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201724023B
報告書区分
総合
研究課題名
製薬企業等による薬事関連コンプライアンス違反の実態とその背景を踏まえた再発防止策の提案
課題番号
H27-医薬A-一般-005
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
白神 誠(帝京平成大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 理恵(日本大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
昨今の製薬企業によるコンプライアンス違反がわが国を代表する企業やグローバルに展開する外資系企業で起こっていることは、体制を整備しただけではコンプライアンス違反を完全には防ぎ得ないことを示している。そこで、コンプライアンス違反事例について、背景・原因を分析し違反を防ぐための対策を提案する。
我々は、プロモーション活動を監視する行政側の手法として医療従事者による広告監視モニター制度を提言した。この広告監視モニター制度の実現性等を検討するため、パイロットスタディを実施する。また、医療関係者の啓発を目的にスライドを作成する。さらに、行政側の対策の参考とするために米国及び英国を訪問して情報収集する。
研究方法
パイロットスタディは病院薬剤師をモニターとするもの及び薬局薬剤師等をモニターとするものを実施した。スライドは、広告監視モニター制度のパイロットスタディで報告された事例を参考に作成した。
医薬品プロモーション活動のFDAによる具体的な監視方法及び英国における新薬プロモーション監視活動の実態を調査するため、FDA、MHRA、製薬企業を訪問し、関係者にインタビューを行った。
昨今発生した製薬企業等によるコンプライアンス違反事例について、事件の概要及びコンプライアンス違反の背景と原因を、第三者委員会の報告書等を用いて整理した。
結果と考察
病院薬剤師をモニターとするパイロットスタディにより、併せて36件の報告が、薬局薬剤師等をモニターとするパイロットスタディでは、併せて22件の報告があった。パイロットスタディを実施していく中で、医療関係者が不適切な情報提供を受け入れない環境を作ることが大切であることを痛感した。そこで、医療関係者に対し製薬企業の提供する情報を無批判に受け入れるべきではないことを啓発するためのスライドを作成した。
FDAでは、職員が学会に出向き違反疑いの事例を探していたが、監視活動を教育・啓発型の活動に切り替えている。英国の医薬品プロモーション活動の監視においては、製薬企業内での自主規制が重要な役割を担っていた。
コンプライアンス違反の原因が組織にあると思われる事例もスタートは個人のコンプライアンス違反であることが多い。したがって個人(社員等)のコンプライアンス違反を防ぐ方策を考えることが重要となる。社員等が知らずにコンプライアンス違反を犯している場合に対しては、社員等のそれぞれの業務に必要な規則やルールを理解させることが必要である。社会が変化していることを気づかせることもポイントとなろう。社員等がそうとわかってコンプライアンス違反を犯している場合に対しては、社員等にコンプライアンス違反を犯しても露見する可能性が高いと認識させることが重要である。一つの業務を一人の社員等に任せないようにするとともに同僚や部下からの情報提供の受け皿として内部通報の仕組みを構築することが重要となろう。部下が上司に気軽に相談できる風通しの良い職場づくりや通報者にとって敷居の低い信頼できる内部通報制度を構築することが必要である。またコンプライアンス違反に対し会社として弁解を許さない姿勢を徹底することで社員等がコンプライアンス違反を犯す閾値を上げることにつながるはずである。コンプライアンス違反を犯すことが得にはならないことを具体的な形で示すことにより、社員等によるコンプライアンス違反を防ぐことが可能になるのではないか。
結論
広告監視活動におけるモニター制度の有用性が確認され、この研究成果は、厚生労働省の広告監視モニター事業の設計に生かされた。また、地域の医師への情報提供の実態把握の手段としては、薬局ベースのモニター制度は十分には機能しないことが明らかとなった。
FDAでは医薬品プロモーション監視活動を教育・啓発型の活動に切り替えている。英国での医薬品プロモーションの監視には製薬業界での自主規制が大きな役割を担っている。
コンプライアンス違反の発生を防ぐためには、個人(社員等)のコンプライアンス違反を防ぐ方策を考えればよい。社員等が知らずに違反を犯している場合に対しては、社員等に規則やルールを理解させることが必要である。社員等がそうとわかって違反を犯す場合については、社員等に違反を犯せば露見する可能性が高いと認識させることが重要である。一つの業務を一人の社員等に任せないようにするとともに、部下が上司に気軽に相談できる風通しの良い職場づくりが重要であり、通報者にとって敷居の低い信頼できる内部通報制度を構築することが必要である。違反に対し会社として弁解を許さない姿勢を徹底することが必要である。違反を犯すことが得にはならないことを具体的な形で示すことにより、社員等による違反を防ぐことが可能になるのではないか。

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201724023C

収支報告書

文献番号
201724023Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,003,000円
(2)補助金確定額
1,003,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 259,624円
人件費・謝金 355,140円
旅費 388,236円
その他 0円
間接経費 0円
合計 1,003,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-