血漿分画製剤の安定的確保・製造供給体制のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201724011A
報告書区分
総括
研究課題名
血漿分画製剤の安定的確保・製造供給体制のあり方に関する研究
課題番号
H28-医薬-指定-003
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
河原 和夫(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 津田 昌重(般社団法人 日本血液製剤機構・戦略本部経営戦略部)
  • 金谷 泰宏(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
  • 松田 利夫(北里大学薬学部 社会薬学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
8,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血液事業分野でのAPECの会議の進捗状況や今後の政策の方向性などを調べ、わが国の血漿分画製剤の安定的確保のために必要な事項等の提言を行うことが目的である。
研究方法
最新のAPECの動きを分析し、アジア太平洋諸国に対する献血思想の普及や献血者の確保方策、血漿分画事業の育成方策、精度が高い検査方法を確立するために必要な事項、医療体制・水準を同定するなど、個々の内容を総論的に研究して論点を明確にした。さらに特定の国の血液事業を精査するためにロシア、台湾、ラオスの血液事業について、担当者と意見交換をするとともに、公表資料からその現状を調査した。『血液製剤の安定供給に関する計画』を用いて原料血漿の標準価格に対する「材料費」「人件費」「経費」「管理供給費」の寄与率を求めて各因子の影響度を調べた。加えて、日本赤十字社の「血液事業の現状」を用いて確保可能な原料血漿量とその1L当たりの価格を算定した。さらにアジア太平洋関係各国における血漿製剤の流通について関係者よりヒアリングを実施した。これらの結果をもとに血漿分画製剤のサプライチェーンを維持および原料血漿の安定供給にとり必要な要因を分析した。
結果と考察
APECは2020年をGoalとして血液製剤供給体制の充実に向けてのロードマップを作成しているところである。内容は、“血液製剤の安全性向上のための官民およびNPO等との連携”、“根拠に基づく血液事業政策の展開”、“適正使用”等である。わが国の政策とも一致しており、わが国としてもAPEC域内国との協力が可能であるものと考えられる。
必要な原料血漿確保量と血液製剤の需給及び献血者確保との関係について調べた。日本赤十字社は原料血漿確保量について、現状の体制下で最大100万Lの確保が可能であると述べている。また、輸血用血液製剤の血漿から72万L、血漿成分採血により28万Lの合計100万Lが最大確保量である。計算上は現体制下でも約120万Lの原料血漿の確保は可能である。今後解決すべき課題としては、血漿分画事業は“連産構造”を有していることから、製造や供給の最優先目標とする製剤とそうではない製剤との調和をいかに確保していくことである。これがうまくいかないと、原料血漿の確保量を増加したために製剤によっては余剰血漿が生じて廃棄に至る事態も想定される。安定供給を阻害する要因にもなりかねない。
 加えて原料血漿を確保する方法として、成分血漿採血があるが、これに要する費用が高額である。輸血用血液と同等の検査や品質を求めるのではなく、安全性に配慮しつつ人件費を削減するなどの方法を新たに考える必要がある。
結論
現体制下でも約120万Lの原料血漿の確保は可能である。今後解決すべき課題としては、血漿分画事業は“連産構造”を有していることから、製造や供給の最優先目標とする製剤とそうではない製剤との調和をいかに確保していくことである。これがうまくいかないと、原料血漿の確保量を増加したために製剤によっては余剰血漿が生じて廃棄に至る事態も想定される。また、現時点において、日本の血漿分画事業者は、東南アジア諸国からニーズのあるアルブミンや免疫グロブリンを輸出することができないこと、東南アジア諸国において販路を有さないことから、製品を輸出するよりも製造を受託することが最も東南アジア諸国に対して貢献できる方策と考えられる。
 また、採血システムなどが未整備の国に対しては、これらを整備する支援も日本が貢献できる一つと考えられ、血漿分画製剤の製造受託を含めて、その国の自給に貢献できる可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2018-06-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-03-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201724011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,800,000円
(2)補助金確定額
8,796,000円
差引額 [(1)-(2)]
4,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 250,694円
人件費・謝金 4,497,268円
旅費 2,290,865円
その他 1,757,634円
間接経費 0円
合計 8,796,461円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-05
更新日
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