食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究

文献情報

文献番号
201723030A
報告書区分
総括
研究課題名
食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究
課題番号
H28-食品-指定-010
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
  • 堤 智昭(国立医薬品食品衛生研究所 食品部 )
  • 井之上 浩一(立命館大学 薬学部)
  • 岡 明(東京大学 医学部医学科)
  • 畝山 智香子(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
37,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品中には、ダイオキシン類(DXNs)、有害元素、PCB類や副生成物などの有害物質が含まれている。食品中の有害物質の基準値設定の検討を行うためには、汚染量実態・摂取量実態の把握が重要である。国際規格設定には我が国の汚染実態データは必須となっている。またDXNs対策特別措置法においても、食品の基準値設定によるリスク管理でなく、摂取量調査によるリスク管理を行うことが方針となっており、継続した摂取量調査が求められている。本研究ではトータルダイエット試料の分析により濃度を明らかにし、食事を介した有害物質の摂取量を推定することを目的とする。一部の有害物質の摂取量に関しては継続的に推定し、摂取量の経年的推移を明らかにする。また乳児におけるDXNs対策の検証や乳幼児への影響を調べるために、人体汚染の指標として母乳中のDXNs濃度を分析し、その経年的な変化を調査する。さらに母乳からのDXNs等が乳幼児の発育発達に与える影響を検討する。
研究方法
暴露マージン(MOE)を指標とした化学物質のリストを更新・発展させながら、摂取量推定すべき有害物質を選定した。全国約10地域で調製するトータルダイエット試料(TD試料)を用いてDXNs、PCB類、有害元素類摂取量を推定した。ヒ素や水銀については、形態別摂取量を推定した。ハロゲン系難燃剤のうち、特に塩素系難燃剤(デクロラン類)について調査し、年次推移を明らかにすること及び全国規模の摂取量推定を検討した。GC-MS/MSを用いた魚中のダイオキシン類分析の基礎検討を行った。出産1か月の母乳提供を求め(3地域、計約22名)、母乳中のDXNs濃度の測定と児の発育を評価した。
結果と考察
トータルダイエット(TD)試料を用いて、ダイオキシン類(PCDD/PCDFs及びCo-PCBs)の国民平均一日摂取量を推定した。体重(50 kgと仮定)あたりのダイオキシン類の全国平均摂取量は0.65(範囲:0.21~1.77) pg TEQ/kg bw/dayと推定された。ポリ塩化ビフェニル(PCBs)の国民平均一日摂取量を推定した。PCBsの全国平均摂取量は、364 ng/person/dayと推定された。体重(50 kgと仮定)あたりでは7.3 ng/kg bw/dayと推定され、この値は日本の暫定耐容一日摂取量(TDI)の0.15%であった。GC-MS/MSを用いた魚中のダイオキシン類分析の基礎検討を行った。試料中(50 g使用時)の検出下限値(定量下限値)はPCDD/PCDFsで0.010~0.069 pg/g(0.035~0.23 pg/g)、Co-PCBsで0.0053~0.34 pg/g(0.018~1.1 pg/g)であった。鉛、カドミウム、ヒ素(総ヒ素並びに無機ヒ素)、水銀(総水銀並びにメチル水銀)を含む17種の元素類の平均摂取量(全国摂取量ave.)を推定した。主要な元素類の全国摂取量ave.はカドミウム:17.8 μg/man/day、鉛:10.0 μg/man/day、スズ:179 μg/man/day、クロム:62.5 μg/man/day等と推定された。総ヒ素と無機ヒ素の全国摂取量は、それぞれ232 μg/man/day、21.9 μg/man/dayと推定された。総水銀とメチル水銀の全国摂取量は、それぞれ7.2 μg/man/day、6.1 μg/man/dayと推定された。初産婦の出産後1か月の母乳中のダイオキシン濃度を測定した母乳中のダイオキシン濃度は、WHO2006年の毒性等価係数を用いた毒性等価量の計算では平均9.26 pg-TEQ/g-fatであった。
結論
ダイオキシン摂取量は行政施策の効果などもあり経年的な減少傾向が示唆されている。しかし、依然としてTDIの16%程度を占めており、この値はDDT等の塩素系農薬やPCBsの摂取量がそれらのTDIに占める割合と比較すると非常に高い値である。PCBsの一日摂取量の全国平均値は7.3 ng/kg bw/dayと推定され、この値は日本の暫定TDIの僅か0.15%であった。GC-MS/MSによるダイオキシン類の分析は高分解能GC/MSと比較するとLODs及びLOQsは劣るものの、殆ど全てのダイオキシン類異性体を選択的に分析することが可能であった。平成29年度に提供を受けた母乳中のダイオキシン類濃度は、調査開始時からの長期間の漸減傾向の後、平成25年以降は同レベルで推移しており、定常的なレベルに達していることが考えられた。

公開日・更新日

公開日
2018-05-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-07-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201723030Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
37,000,000円
(2)補助金確定額
36,999,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 21,726,653円
人件費・謝金 750,669円
旅費 2,193,681円
その他 12,328,633円
間接経費 0円
合計 36,999,636円

備考

備考
振込手数料分が見積れなかったため差が生じた。

公開日・更新日

公開日
2019-03-18
更新日
-