文献情報
文献番号
201723027A
報告書区分
総括
研究課題名
「健康食品」の安全性・有効性情報データベースを活用した健康食品の安全性確保に関する研究
課題番号
H27-食品-指定-014
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
梅垣 敬三(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部)
研究分担者(所属機関)
- 千葉 剛(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部)
- 山田 浩(静岡県立大学薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
11,230,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
健康効果や保健効果を標榜した健康食品の流通が国内外で拡大している。平成27年度からは科学的根拠があれば消費者庁に届出することにより、事業者責任で機能性表示ができる機能性表示食品の制度が始まった。錠剤、カプセル等の健康食品は、過剰摂取による健康被害発生が懸念される。そこで本研究は、申請者らがこれまで運用してきた「健康食品」の安全性・有効性情報(HFNET)データベースを活用して、健康食品の安全性確保への対応をさらに発展させることを目的に、1)「健康食品」の安全性・有効性情報(HFNet)データベースのさらなる拡充、2)健康食品の安全性確認法の検討、3)有害事象が医療機関や消費者等から保健所へ報告されるに当たっての支障に関する検討を行った。
研究方法
HFNetデータベースの拡充では、国内外の健康食品関連の論文を収集してデータに追加した。また、新たな情報提供法として、FacebookとTwitterによる情報提供、情報にアクセスしにくい人への情報伝達の対応としてリーフレット等を試作し、その配布について検討した。健康食品の安全性確認法の検討では、健康食品に関する有害事象を消費者から短期間に積極的に収集する方法として、全国的なインターネット調査の活用を検討した。27年度は下痢、28年度は皮膚症状、本年度は肝機能障害を含めた臨床検査値への影響、および個別製品の利用による体調不良の発生頻度の把握法について検討した。医療機関や消費者等から有害事象が保健所へ報告されるに当たっての支障に関する検討では、本年度は医療関係者が保健所に報告しやすいフォーマット作成を試みた。
結果と考察
HFNetデータベースの拡充では、データ追加を継続的に行い、迅速な提供に努めた。その結果、HFNetへのアクセス数は約16,000件/日が維持できた。新たにFacebookとTwitterの採用、リーフレットの作成とPDFとしてのHFNetへの掲載により、これまで以上の情報提供ができた。体調不良情報の全国的なインターネット調査では、サプリメント摂取との関連が疑われる体調不良(臨床検査値への影響)事例を1週間程度で収集でき、特定成分を対象とした同様の調査で個別製品による体調不良の発生頻度が推定できることを示した。また、医療関係者が保健所に報告しやすいフォーマット作成を試み、その有用性を検討した。
結論
健康食品は消費者の自己判断で利用されており、その製品選択と利用の判断に資する科学的根拠に基づく安全性や有効性の情報をHFNetにデータベースとして継続的に蓄積し、提供することは、粗悪製品の選択や製品の乱用防止につながる。今後もHFNetの掲載情報を充実させ、その内容を国民にできるだけ参照される取り組みが重要である。一方、健康食品による健康被害が発生しても、それに気づかずに放置されている可能性があるため、軽微な被害であっても、できるだけ被害事例を集約して活用することが必要である。本研究で実施した情報提供や有害事象収集の取り組みは、健康食品が関係した潜在的な健康被害の把握に寄与できると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2018-05-25
更新日
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