食品微生物試験法の国際調和に関する研究

文献情報

文献番号
201723025A
報告書区分
総括
研究課題名
食品微生物試験法の国際調和に関する研究
課題番号
H29-食品-一般-006
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
朝倉 宏(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 五十君静信(東京農業大学 応用生物科学部)
  • 松岡 英明(東京農工大学 工学府)
  • 岡田 由美子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部 )
  • 倉園 久生(帯広畜産大学 グローバルアグロメディシン研究センター)
  • 泉谷 秀昌(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
12,210,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は“食品からの微生物標準試験法検討委員会”を活動の軸に置きつつ、国内の食品微生物試験法を国際調和の取れた形へと導くための科学的根拠を創出することを目的として本年度より開始した。
研究方法
本研究班では、食品微生物試験法の国際調和に向けて、(1)衛生指標菌試験法に関する研究、(2)食品微生物試験法の国際動向及び妥当性確認に関する研究、(3)ボツリヌス試験法に関する研究、(4)遺伝子検査法に関する研究、の4つに区分し、それぞれの分担研究項目に係る知見の収集にあたった。
結果と考察
(1)衛生指標菌試験法に関する研究では、ISO 21528-1:2017の改定に伴い、先行研究で作成した腸内細菌科菌群の標準試験法NIHSJ-15及び16の改訂に向けた検討を行うこととし、ST1案を作成し、検討委員会の議題とした。また、低温殺菌牛乳計7製品・126検体を対象とした各種指標菌の定量検出試験により、ISO法と国内公定法との間で一般細菌数及び大腸菌群の数値は相関性が高いことが示されたほか、複数検体より腸内細菌科菌群および大腸菌群が検出され、当該食品の衛生管理関する更なる知見の収集が必要と考えられた。また、国際動向として、欧州等では乳及び乳製品の製造工程管理に腸内細菌科菌群が採用されており、これらの動きへの調和をはかる上でも低温殺菌牛乳を主体とした検討を更に推し進める必要性が提起された。(2)国際動向及び妥当性確認に関する研究としては、食品衛生のリスクマネージメントにおける微生物試験法の国際整合性の重要性から、2017年6月に東京でISO/TC34/ SC9(食品の微生物試験法に関するサブコミティ)総会を開催し、研究分担者である五十君教授は開催委員長としてアジア初となる同会議を主催し、国内からの情報発信ならびに海外からの情報収集を担った。更に、ISOでの検討課題については逐次情報収集を行い、検証すべき項目の集約化につとめた。現在改訂が進められているISOのバリデーションガイドライン(ISO 16140)及びAOACインターナショナルが公表している妥当性確認ガイドを比較検討し、国内における妥当性確認の手法の方向性を検討した。初年度は、AOACインターナショナルとISOのガイドを元に、標準試験法を策定するためのガイドライン原案の作成を進めた。(3)ボツリヌス試験法に関する研究では、国際動向調査および国内法と国際的に利用されている方法の比較検討を行った上で食品からの標準法検討委員会で整備・提案するボツリヌス検査法としてボツリヌス遺伝子試験法(Technical Specification)のST1案(NHISJ-20-ST1)を作成し、了承された。(4)遺伝子検査法に関する研究では、近年、遺伝子検査法の発展により、また微生物の性状の多様化により、遺伝子検査法を微生物試験法に取り入れる動きがある状況を踏まえ、食品における遺伝子検査法について情報収集を行い、その活用にあたってのガイドラインの検討を目的として、本年度は、現在発表されているISO法及びBAM法にて示されている、遺伝子検査法の情報を収集し、取り纏めた。
結論
食品衛生管理の国際調和に向けて微生物試験法の国際整合性の確保は必要不可欠な課題である。本年度は乳のうち、特に過去の実績等を踏まえ、低温殺菌牛乳を対象とした試験を実施し、適切な衛生指標菌の設定に関する知見を得た。また、国際動向としては日本初のISO/TC34/ SC9を主催し、Pメンバーとして発言権を行使しつつ、対応した。今後も収集のみならず、我が国から発信すべき事項を整理することが国内の実態を踏まえた国際調和に必要な事項と思われる。ボツリヌス試験法はST2へと次年度進むことを想定しており、速やかな検討と議論を通じて当該試験法の国際調和に向けたアウトプットが得られるものと期待される。遺伝子検査法に関しては本年度実施した情報整理を踏まえ、次年度にはその評価にあたるガイドラインの作成等を主体とした検討が必要と思われる。

公開日・更新日

公開日
2018-05-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-05-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201723025Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,310円
(2)補助金確定額
13,310円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 10,794,780円
人件費・謝金 622,400円
旅費 367,738円
その他 412,482円
間接経費 1,110,000円
合計 13,307,400円

備考

備考
分担研究者泉谷秀昌博士の担当分について、当初予定に比べ、若干ではあるが情報収集に要する金額が少なくなったことから、研究班全体で2600円の余剰がでた。

公開日・更新日

公開日
2018-05-17
更新日
-