労働生産性の向上に寄与する健康増進手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201722008A
報告書区分
総括
研究課題名
労働生産性の向上に寄与する健康増進手法の開発に関する研究
課題番号
H28-労働-一般-004
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
島津 明人(北里大学 一般教育部人間科学教育センター)
研究分担者(所属機関)
  • 西 大輔(東京大学大学院医学系研究科・精神保健学分野)
  • 荒川 豊(奈良先端科学技術大学院大学 ユビキタスコンピューティングシステム)
  • 黒田祥子(早稲田大学教育総合科学学術院)
  • 松平 浩(東京大学医学部附属病院運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座)
  • 中田光紀(国際医療福祉大学大学院医学研究科;国際医療福祉大学赤坂心理・医療マネジメント学部)
  • 梶木繁之(産業医科大学産業生態科学研究所産業保健経営学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,(1)労働生産性の多面的測定手法の確立,(2)労働生産性の向上に寄与する健康増進手法について主要な職種・業種ごとのガイドラインの開発,(3)ガイドラインで提示された介入手法の有効性の科学的検証,(4)これらの手法の具体的な手順を示すマニュアルの開発,を目的とした。
研究方法
2年目にあたる本年度は,①労働生産性の多面的な測定手法を提案するために,労働生産性の心理社会的・経営学的指標と健康指標との関連を検討した。②主要な職種・業種ごとの健康増進手法に関するガイドラインの開発を行うために,主要な職種・業種ごとの健康増進に関する対策優先順位の検討を行った。③労働生産性の向上に寄与する健康増進手法の効果検証を行った。
結果と考察
1. 労働生産性の測定手法の検討:心理社会的・経営学的指標として、労働時間は労働生産性向上の重要な要因ではないことを示した。その他の経営学的指標に関しても分析が進行している。生体工学的指標について,腕時計型の脈波計および皮膚電位,さらにスマートフォンから得られる移動状態などを長期的に収集し,機械学習によってパターンを学習することで労働生産性と健康指標との関連を見出すことができた。経済学的指標について,メンタルヘルス不調・仕事満足度と長時間労働との関係を計量経済学の統計手法を用いて実証的に明らかにするとともに,大手小売業より従業員の満足度調査・健診データおよび部署ごとの売上情報を突合できるデータを入手,メンタルヘルス(個人・組織の活力)の向上と生産性の向上との関連の検証に着手した。

2. 主要な職種・業種ごとの健康増進手法の検討:文献レビュー,データ解析,産業保健スタッフ等の意見に基づき効果的な介入手法に関するガイドライン(案)を主要な職種・業種ごとに作成した。

3. 生産性の向上に寄与する健康増進手法の開発:労働生産性とメンタルヘルスの向上に寄与する介入手法のマニュアル(案)を作成し,モデル事業を開始した。非特異的腰痛に関してガイドライン(案)で提案された内容を考慮しながら,分担者(松平)が提唱する介入手法(腰痛予防体操)の有効性を約3,000名の集団にて検証した。

結論
本研究では,実証データの解析を通じて,労働生産性の測定における心理社会的指標,生体工学的指標,経済学的指標に関する,有用な情報が得られた。また,科学的根拠と産業保健スタッフ等への意見調査から,主要な職種・業種ごとの健康増進に関するニーズと課題が抽出され,有望なガイドラインが提案された。加えて,労働生産性の向上に寄与するメンタルヘルス対策に関して,組織および個人のポジティブな要因に着目したアプローチが有用である可能性が示された。また,勤労者の腰痛に関しては,腰痛体操や心理教育などの予防対策により,罹患リスクを低減することができる可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2018-06-18
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-06-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201722008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,600,000円
(2)補助金確定額
3,600,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 470,299円
人件費・謝金 723,104円
旅費 994,149円
その他 308,258円
間接経費 830,000円
合計 3,325,810円

備考

備考
ワーク・エンゲイジメントの向上を目的としたポジティブ介入に関するマニュアル作成において、現場との調整が遅れたため、予定していた印刷会社への編集料が支出されなくなったため。

公開日・更新日

公開日
2018-06-18
更新日
-