臨床検査における品質・精度の確保に関する研究

文献情報

文献番号
201721047A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床検査における品質・精度の確保に関する研究
課題番号
H29-医療-指定-007
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
矢冨 裕(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 宮地 勇人(東海大学 医学部)
  • 村上 正巳(群馬大学 大学院医学系研究科)
  • 佐々木 毅(東京大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
1,540,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の最終目的は、医療、さらには、evidence-based medicineの根幹をなす臨床検査、とくに検体検査の品質・精度を確保することである。従来、我が国においては、検体検査の結果の質を担保するための法令上の事項は十分なものではなかった。そのような状況下、平成28年度 厚生労働行政推進調査事業費補助金(厚生労働科学特別研究事業)「臨床検査における品質・精度の確保に関する研究」(以下、平成28年度研究班)においては、医療法、臨検法における検体検査の品質・精度の確保のために必要な項目を挙げ、それに解説を加えた。具体的には、我が国の検体検査における状況を踏まえ、また、諸外国との比較を踏まえ、1.医療機関が自ら検査を実施する場合に設定する基準、2.衛生検査所及びブランチラボに追加すべき基準、3.遺伝子関連検査等を実施する場合に追加的に設定する基準、4.検体検査の分類、に関しての指針を示した。
本研究においては、我が国の医療機関、衛生検査所・ブランチラボの精度管理実態調査を行うことも含め、上記の指針の検証を行うとともに、外部精度管理のあり方も含め、今後の課題を抽出、議論することを目的とした。
なお、平成29年6月7日には、検体検査の品質・精度の確保の規定も含まれた医療法等の一部を改正する法律(平成29年法律第57号)が成立し、同法の検体検査に関する部分は公布後1年6ヶ月以内に施行されることとなった。そして、平成29年10月から30年3月にかけて計5回にわたる厚生労働省の「検体検査の精度管理等に関する検討会」(以下、検討会)が開催され、具体的な基準が議論され、最終的なとりまとめが公表された。この過程で、本研究班においても、関連する議論を行い、検討会に反映させた。
研究方法
計8回の会議を開催するとともに、頻回のメールによる議論を展開し、各検査機関に対する『精度管理実態調査』(アンケート調査)を以下の通り、企画、実行するとともに、結果の分析を行った。
・医療機関の『精度管理実態調査』
・国立病院機構および国立大学病院の『精度管理実態調査』
・衛生検査所の『精度管理実態調査』
・ブランチラボの『精度管理実態調査』
その後、研究代表者、研究分担者、研究協力者がそれぞれの専門性を踏まえ、また、アンケート調査結果を踏まえた上で、
・医療機関に新たに設定する基準に関して
・衛生検査所及びブランチラボに追加すべき基準に関して
・遺伝子関連検査・染色体検査における品質・精度の確保に関して
・病理検査における品質・精度の確保に関して
・国立大学病院,国立病院機構における検体検査の品質・精度の確保に関して
について、議論の内容を取りまとめた。
さらには、検体検査の品質・精度の確保において極めて重要である外部精度管理のあり方に関して、
・今後の外部精度管理事業のあり方:日臨技精度管理調査事業の現状を踏まえて
・今後の外部精度管理事業のあり方:日本医師会臨床検査精度管理調査の現状を踏まえて
を取りまとめた。
結果と考察
検討会においては、平成28年度研究班において示された指針の方向性が踏襲され、最終のとりまとめにも大きく反映されたと考えられた。
本研究において今回施行した精度管理実態調査は、一般医療機関、国立大学病院及び国立病院機構、並びに衛生検査所及びブランチラボ、それぞれにおいて実施されたもので、これまでに例を見ないものであり、今後の活用が望まれる。この精度管理実態調査の結果も指針と整合するものと考えられた。なお、その調査結果の一部は、中間報告として検討会で紹介され、検討会のとりまとめにも反映された。
我が国における外部精度管理調査の実施体制については、強制力がない中、日本医師会、日本臨床衛生検査技師会を中心に、全病院の約4割の参加が得られていることは評価できるが、より拡充される必要があると考えられる。実施回数、報告方法、項目数、低評価項目・低評価施設に対するフォローアップなど多くの課題があり、これらの中でも実現化の可能性が高いものから順次体制を整備し、外部精度管理調査のさらなる拡充を推進させる必要があると考えられた。
結論
以上、本研究成果は、平成28年度に検討・明確化された検体検査の品質・精度を確保するために必要な項目の検証、医療法施行規則への新たな基準設定や臨床検査技師等に関する法律施行規則の基準の見直しに大きく反映され、意義深いものになったと考えられる。ただ、今後も検討を必要とする課題が残っているのも事実であり、本研究成果も踏まえて、さらなる議論・検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2018-06-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
総括研究報告書
総括研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-06-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201721047C

収支報告書

文献番号
201721047Z