中小医療機関向け医療機器保守点検のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201721030A
報告書区分
総括
研究課題名
中小医療機関向け医療機器保守点検のあり方に関する研究
課題番号
H27-医療-指定-018
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
菊地 眞(公益財団法人 医療機器センター)
研究分担者(所属機関)
  • 石原 美弥(防衛医科大学校 医用工学講座)
  • 高倉 照彦(亀田総合病院 医療技術部)
  • 中島 章夫(杏林大学 保健学部臨床工学科)
  • 須田 健二(杏林大学 保健学部臨床工学科)
  • 中村 淳史(杏林大学 保健学部臨床工学科)
  • 新 秀直(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
  • 山田 紀昭(済生会横浜市東部病 院臨床工学部)
  • 櫛引 俊宏(防衛医科大学校 医用工学講座)
  • 青木 郁香(中村 郁香)  (公益財団法人医療機器センター 医療機器産業研究所)
  • 青木 茂樹(順天堂大学大学院医学研究科 放射線医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
7,314,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 第5次医療法改正(平成19年施行)では医療機関に対して医療機器に係る安全確保のための体制の確保が義務づけられたが、各種医療機器の保守点検水準を示したものはない。本研究においては、施設の規模や専門家の有無によらず活用可能な医療機器の保守点検ガイドラインなどを作成することを目的とした。他方、平成29年6月に成立した医療法の付帯決議において、MRI、CT、PETなど高度な検査機器の精度管理方法・仕様の国際標準化について必要な措置を講ずる旨が記された。これを受け、高度な画像診断検査機器の精度管理方法について、実情の調査と標準化に係る制度設計などの実現性の検討を行うこととした。
研究方法
 中小医療機関向け保守点検ガイドラインの策定研究グループ(以下、中小グループ):平成27-28年度、当グループにおいて生命維持管理装置の日常点検の点検項目を中心に検討を行ってきた。29年度はガイドラインを完成すべく議論を深めた。また、放射線関連機器等について、対象医療機器としてCT装置およびMR装置を選定し、医療機関における保守点検の際に参考とすべき保守点検ガイドラインを作成すべく検討を行った。
 保守管理のガイドライン策定の普及に向けた諸課題の調査研究グループ(以下、諸課題グループ):これまでに生命維持管理装置の安全使用に関するガイドライン、保守点検のための教育資材を公表していた。平成29年度は、これらを完成させるために議論を行った。
 高度な画像診断検査装置の精度管理の国際標準化の調査研究グループ(精度管理グループ):CT、MRI、核医学検査などの高度な画像検査の標準的検査方法の遵守状況に関する調査を施行した。
結果と考察
 中小グループ:生命維持管理装置(対象医療機器:人工呼吸器、除細動器(AEDを含む)、輸液ポンプおよびシリンジポンプ、閉鎖式保育器、生体情報モニター)を主な対象として日常点検の内容を検討するとともに、中小医療機関へのインタビューにより医療機器保守管理の実態を踏まえて「医療機器安全管理の手引書 -生命維持に関わる医療機器について-」を取りまとめた。また、CT装置およびMR装置に対する保守点検の計画立案の際に参考とすべき指針として「放射線関連機器の保守点検指針」を作成した。いずれの作成過程においても、保守点検に関連する既存のガイドラインや各社製品の添付文書などの記載内容を分析・整理し、関連する学会や産業界のレビューを経て完成に至った。
 諸課題グループ:これまでに作成・公表していた輸液ポンプ、医用テレメータ、人工呼吸器、人工心肺装置、透析装置および麻酔器の「安全使用に関するガイドライン」について、ガイドラインユーザや医療機器産業界の意見聴取を経て、ガイドラインを精査し、完成・公表(医療機器の安全使用に関するガイドラインダウンロードと研究成果公表サイトhttp://plaza.umin.ac.jp/~me-guidelines/)した。また、医療機器の保守点検を実施するための教育資材について、これまでに作成していた輸液ポンプに加えて、人工呼吸器を作成し、さらに多数の医療機器に対応できるようウェブサイトの構成も変更した(医療機器保守点検の研修・教育サイトhttp://plaza.umin.ac.jp/~iryoukiki/)。
 精度管理グループ:CT、MRI、核医学検査などの高度な画像検査の標準的検査方法について、(公社)日本医学放射線学会の修練機関(666施設)における遵守状況を調査した。回収施設は399施設(回答率50.9%)であり、標準プロトコルの遵守は臓器やモダリティによってばらつきがみられたが、全体的に総合修練機関の方が修練機関よりも遵守率が高い傾向にあった。いずれの領域においても標準プロトコルが十分に遵守されていない事態が明らかとなり、今後は学会などにおいて同プロトコルの教育や周知をさらに徹底する必要が考えられた。
結論
 本研究では、生命維持管理装置や放射線関連機器等について、医療機関の現状を踏まえた保守点検に関するガイドラインを作成することができた。また、高度な画像検査における標準的な検査プロトコルの遵守状況を明らかにすることができた。今後は、患者をはじめ、医療従事者や医療機器に関わる多くの関係者が望む医療機器の適正かつ安全な使用の実現に向けて、ガイドラインの普及や継続的に研究が実施されることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201721030B
報告書区分
総合
研究課題名
中小医療機関向け医療機器保守点検のあり方に関する研究
課題番号
H27-医療-指定-018
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
菊地 眞(公益財団法人 医療機器センター)
研究分担者(所属機関)
  • 石原 美弥(防衛医科大学校 医用工学講座)
  • 高倉 照彦(亀田総合病 院医療技術部)
  • 中島 章夫(杏林大学保健学部 臨床工学科)
  • 須田 健二(杏林大学保健学部 臨床工学科)
  • 中村 淳史(杏林大学保健学部 臨床工学科)
  • 新 秀直(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
  • 山田 紀昭(済生会横浜市東部病院 臨床工学部)
  • 櫛引 俊宏(防衛医科大学校 医用工学講座)
  • 青木 郁香(中村 郁香)(公益財団法人医療機器センター 医療機器産業研究所)
  • 青木 茂樹(順天堂大学大学院医学研究科 放射線医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 第5次医療法改正(平成19年施行)では医療機関に対して医療機器に係る安全確保のための体制の確保が義務づけられたが、各種医療機器の保守点検水準を示したものはない。本研究においては、施設の規模や専門家の有無によらず活用可能な医療機器の保守点検ガイドラインなどを作成することを目的とした。他方、平成29年6月に成立した医療法の付帯決議において、MRI、CT、PETなど高度な検査機器の精度管理方法・仕様の国際標準化について必要な措置を講ずる旨が記された。これを受け、高度な画像診断検査機器の精度管理方法について、実情の調査と標準化に係る制度設計などの実現性の検討を行うこととした。
研究方法
 中小医療機関向け保守点検ガイドラインの策定研究グループ(以下、中小グループ):生命維持管理装置の保守点検について、日常点検の点検項目を中心に検討を行った。さらに、中小医療機関における医療機器保守管理の実態調査を踏まえ、保守管理の実施体制構築する際の手引きとなる文書を取りまとめることとした。また、放射線関連機器等について、対象医療機器としてCT装置およびMR装置を選定し、医療機関における保守点検の際に参考とすべき保守点検ガイドラインを作成すべく検討を行った。
 保守管理のガイドライン策定の普及に向けた諸課題の調査研究グループ(以下、諸課題グループ):これまでに生命維持管理装置の安全使用に関するガイドライン、保守点検のための教育資材を公表していたが、これらを完成させるために議論を行った。
 高度な画像診断検査装置の精度管理の国際標準化の調査研究グループ(精度管理グループ):CT、MRI、核医学検査などの高度な画像検査の標準的検査方法の遵守状況に関する調査を施行した。
結果と考察
 中小グループおいては、生命維持管理装置(対象医療機器:人工呼吸器、除細動器(AEDを含む)、輸液ポンプおよびシリンジポンプ、閉鎖式保育器、生体情報モニタ)を対象とし、中小医療機関において医療機器を安全に使用するための体制づくりの際に参考となる手引書として「医療機器安全管理の手引書 -生命維持に関わる医療機器について-」を作成した。また、CT装置およびMR装置に対する保守点検の計画立案の際に参考とすべき指針として「放射線関連機器の保守点検指針」を作成した。いずれの作成過程においても、保守点検に関連する既存のガイドラインや各社製品の添付文書などの記載内容を分析・整理し、関連する学会や産業界のレビューを経て完成に至った。
 諸課題グループ:これまでに作成・公表していた輸液ポンプ、医用テレメータ、人工呼吸器、人工心肺装置、透析装置、および麻酔器の「安全使用に関するガイドライン」の精査を実施し、ガイドラインユーザや医療機器産業界の意見聴取を経て、ガイドラインを精査し、完成・公表(医療機器の安全使用に関するガイドラインダウンロードと研究成果公表サイトhttp://plaza.umin.ac.jp/~me-guidelines/)した。また、医療機器の保守点検を実施するための教育資材について、これまでに作成していた輸液ポンプに加えて、人工呼吸器を作成し、さらに多数の医療機器に対応できるようウェブサイトの構成も変更した(医療機器保守点検の研修・教育サイトhttp://plaza.umin.ac.jp/~iryoukiki/)。
 精度管理グループ:CT、MRI、核医学検査などの高度な画像検査の標準的検査方法について、(公社)日本医学放射線学会の修練機関(666施設)における遵守状況を調査した。回収施設は399施設(回答率50.9%)であり、標準プロトコルの遵守は臓器やモダリティによってばらつきがみられたが、全体的に総合修練機関の方が修練機関よりも遵守率が高い傾向にあった。いずれの領域においても標準プロトコルが十分に遵守されていない事態が明らかとなり、今後は学会などにおいて同プロトコルの教育や周知をさらに徹底する必要が考えられた。
結論
 本研究では、生命維持管理装置や放射線関連機器等について、医療機関の現状などを踏まえた保守点検に関するガイドラインを作成することができた。また、高度な画像検査における標準的な検査プロトコルの遵守状況を明らかにすることができた。今後は、患者をはじめ医療従事者や医療機器に関わる多くの関係者が望む「医療機器の適正かつ安全な使用」の実現に向けて、ガイドラインの普及や継続的な研究が実施されることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201721030C

収支報告書

文献番号
201721030Z