百日咳とインフルエンザの患者情報及び検査診断の連携強化による感染症対策の推進に資する疫学手法の確立のための研究

文献情報

文献番号
201718017A
報告書区分
総括
研究課題名
百日咳とインフルエンザの患者情報及び検査診断の連携強化による感染症対策の推進に資する疫学手法の確立のための研究
課題番号
H29-新興行政-一般-007
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
神谷 元(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 砂川 富正(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
  • 蒲地 一成(国立感染症研究所 細菌第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
●百日咳
(1)百日咳サーベイランスの精度向上を目的に,ノバグノストIgM/IgAキットの性能評価を実施する。
(2)百日咳アウトブレイクに関して現地調査を実施し患者の疫学情報を収集するとともに、診断確定に至った理由について検討し、新しいサーベイランスの導入に向けて注意すべき点などについて検討する
(3)DTPの就学前児に対する追加接種の効果と安全性の評価を行う準備を行う

●インフルエンザ
(1)インフルエンザの患者・病原体を一体視したサーベイランスシステムの評価を行い、さらに、サーベイランスを通したインフルエンザの疾病負荷やワクチンの有用性を中心に疫学的な知見の提出を行う
(2)海外における病原体サーベイランスを中心としたインフルエンザサーベイランスの考え方についても情報収集を行い、国内体制に資する情報を整理する。
研究方法
●百日咳
(1)実際に発生した百日咳集団発生事例において現行のサーベイランス、検査結果の評価を行った
(2)これまでの百日咳の疫学上の問題点の整理と、それに対する対策を評価する調査体制の準備を行った
(3)健常者における百日咳IgM/IgA抗体保有率を調査するため、ヒト血清(460検体)の使用を感染研の血清銀行に申請し、医学研究倫理審査委員会に申請書及び研究計画書を提出した。当該年度は百日咳抗体測定キット(ノバグノスト百日咳/IgA,ノバグノスト百日咳/IgM)の感度と特異度について基礎評価を実施した。

●インフルエンザ
(1)インフルエンザの網羅的なサーベイランスを実施している地域のリクルートを行った。
(2)現行の国内及び海外の病原体サーベイランスのあり方について分析を開始した。
結果と考察
●百日咳
平成30年1月から感染症法における百日咳の届け出基準が変更され,これまでの臨床診断から検査診断に基づく報告となった。この検査診断には病原体の分離・同定,病原体の遺伝子検出のほか,抗体検出が検査所見となっており,新たに導入された百日咳抗体測定キットの評価は百日咳サーベイランスの精度向上に貢献する。
これまでの疫学的エビデンスから就学前児(5~6歳)が追加接種の対象となり得ると思われるため、その効果や安全性が評価できるように、今年度は準備を行った。次年度は5~6歳児で4回の百日咳含有ワクチンを接種している児に対してDTPを追加接種し抗体価の上昇、並びに健康観察を行うこととしている。

●インフルエンザ
インフルエンザの網羅的なサーベイランスを実施している地域のリクルートを沖縄県宮古市にて実施した。海外における病原体サーベイランスを中心としたインフルエンザサーベイランスの状況に関する情報収集と分析を行い、各国の状況を比較したうえでの国内体制へのフィードバックを予定している。
結論
●百日咳
感染症法上2018年1月1日より検査診断に基づく全数報告疾患となった。検査の質だけでなく、検査結果の解釈を正しく行い、より正確な疫学の把握ができるように今回の結果に基づいた届出ガイドラインを今後作成していく。また疫学で明らかになった患者の分布に対して効果的な介入策、具体的にはワクチンの追加接種についても今後検討していく。

●インフルエンザ
新しく強化された病原体定点を中心としたサーベイランスシステム評価の観点から、サーベイランスの感度を考慮した病原体収集の切り替え方法などを中心に、質向上に資する、対策と直結した提言を具体的に行っていくことが重要である。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201718017Z