文献情報
文献番号
201718011A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における感染症対策に係るネットワークの標準モデルを検証・推進するための研究
課題番号
H29-新興行政-一般-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
田辺 正樹(国立大学法人三重大学医学部附属病院 感染制御部)
研究分担者(所属機関)
- 鈴木 圭 (国立大学法人三重大学医学部附属病院 救命救急・総合集中治療センター)
- 新居 晶恵(国立大学法人三重大学医学部附属病院 感染制御部)
- 村木 優一(京都薬科大学 医療薬科学系 臨床薬剤疫学分野)
- 中村 明子(国立大学法人三重大学医学部附属病院 中央検査部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成28年6月に策定された薬剤耐性(AMR)対策アクションプランにおいて、地域の病院と関係機関(診療所、薬局、高齢者施設、保健所、地方衛生研究所等)とが連携した地域における総合的な感染症対策に係るネットワークの構築が求められているが、既存のネットワークについては様々な形態があり、標準モデルは定まっていない。感染症対策のネットワークを各地域で構築するため、具体的なモデルを提唱し、種々のAMR 対策の効果について検証を行うのが本研究の目的である。
研究方法
本研究は、Ⅰ 感染症対策に係る地域ネットワークの構築状況に関する全国調査と、Ⅱ 三重県における取り組みの2部構成で実施した。
Ⅰ 感染症対策の地域ネットワークの標準モデルを検討するにあたり、全国の感染症対策の地域ネットワークの現状と課題を把握するため、47都道府県・20指定都市の院内感染対策担当部局又は感染症対策担当部局を対象にアンケート調査を実施した。
Ⅱ 三重県においては、平成27 年度に三重県感染対策支援ネットワーク(Mie Infection Control Newtork: MieICNet)を構築し、AMR 対策も含めた感染症対策の地域連携を進めている。モニタリングとアクションを2つの柱として、様々な活動を行っている。既存の取り組みに加え、新たに実施する取り組みも含め、地域ネットワークで行う各種事業の内容・体制構築のプロセスを整理した。AMRに関するモニタリングとしては、県内の医療機関を対象に微生物サーベイランス(MINIS)と抗菌薬サーベイランス(MACS)を実施。上記に加え、本研究班では、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて全国の抗菌薬使用量を網羅的に把握する取り組みを行った。アクションとしては、感染予防・管理と抗菌薬適正使用を2つの大きなテーマとして、医療従事者向け、高齢者施設向け、市民向けに研修会を開催するなど教育・啓発活動を実施した。
Ⅰ 感染症対策の地域ネットワークの標準モデルを検討するにあたり、全国の感染症対策の地域ネットワークの現状と課題を把握するため、47都道府県・20指定都市の院内感染対策担当部局又は感染症対策担当部局を対象にアンケート調査を実施した。
Ⅱ 三重県においては、平成27 年度に三重県感染対策支援ネットワーク(Mie Infection Control Newtork: MieICNet)を構築し、AMR 対策も含めた感染症対策の地域連携を進めている。モニタリングとアクションを2つの柱として、様々な活動を行っている。既存の取り組みに加え、新たに実施する取り組みも含め、地域ネットワークで行う各種事業の内容・体制構築のプロセスを整理した。AMRに関するモニタリングとしては、県内の医療機関を対象に微生物サーベイランス(MINIS)と抗菌薬サーベイランス(MACS)を実施。上記に加え、本研究班では、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて全国の抗菌薬使用量を網羅的に把握する取り組みを行った。アクションとしては、感染予防・管理と抗菌薬適正使用を2つの大きなテーマとして、医療従事者向け、高齢者施設向け、市民向けに研修会を開催するなど教育・啓発活動を実施した。
結果と考察
Ⅰ 自治体を対象としたアンケートでは、(1)既存のネットワークについての質問と、(2)今後ネットワークを構築するにあたり、どのような形が望ましいか、あるべき論での質問の2部構成とした。47 都道府県のうち37(79%)、20 指定都市のうち16(80%)より回答を得た。回答があった37 都道府県のうち24(51%)、16 指定都市のうち9(56%)において、何らかのネットワークが構築されていた。また、自治体の98%の担当者が感染症対策の地域ネットワークは必要との回答であった。調査結果を報告書として取りまとめ、ネットワークの実施主体、参加施設、活動内容、対象としている感染症・感染対策などを整理した(http://www.mie-icnet.org/wp-content/uploads/2017/08/infection_network_result.pdf)。
Ⅱ MieICNet及び研究班で実施した取り組みを整理した。(1)アウトブレイク発生時の改善支援・感染対策相談支援として、県内の医療機関からの依頼に対する支援体制の構築に加え、本年度は、改善支援班員を対象とした研修会を実施した。(2)三重県内医療機関の感染対策担当者を対象とした感染対策研修会を2回開催した。(3)県内40病院を対象に微生物サーベイランスを実施した。本年度は、AMR対策アクションプランの成果指標を出せるようシステムを拡充した。(4)抗菌薬サーベイランスについては、2015年度、県内19施設のデータを分析した。また、抗菌薬使用動向の把握のため、NDB第三者提供の申請を行い、承認を得た。(5)抗菌薬適正使用に関する教育については、初期研修医を対象とした教育プログラム(MiMID)を立ち上げた。(6)高齢者施設等を対象とした研修会を県内3箇所で開催した。(7)市民への啓発活動として、チラシ・ポスター配布や啓発グッズを作成するとともに、AMR対策推進月間の11月に市民公開講座を開催した。
Ⅱ MieICNet及び研究班で実施した取り組みを整理した。(1)アウトブレイク発生時の改善支援・感染対策相談支援として、県内の医療機関からの依頼に対する支援体制の構築に加え、本年度は、改善支援班員を対象とした研修会を実施した。(2)三重県内医療機関の感染対策担当者を対象とした感染対策研修会を2回開催した。(3)県内40病院を対象に微生物サーベイランスを実施した。本年度は、AMR対策アクションプランの成果指標を出せるようシステムを拡充した。(4)抗菌薬サーベイランスについては、2015年度、県内19施設のデータを分析した。また、抗菌薬使用動向の把握のため、NDB第三者提供の申請を行い、承認を得た。(5)抗菌薬適正使用に関する教育については、初期研修医を対象とした教育プログラム(MiMID)を立ち上げた。(6)高齢者施設等を対象とした研修会を県内3箇所で開催した。(7)市民への啓発活動として、チラシ・ポスター配布や啓発グッズを作成するとともに、AMR対策推進月間の11月に市民公開講座を開催した。
結論
本年度の研究において、地域ネットワークでサーベイランスを実施するための仕組みや、AMRに関する教育・啓発方法を提示することができた。MieICNetの運営要綱、活動内容、講演資料、各種サーベイランスデータ等については、ホームページ上(http://www.mie-icnet.org/)で公開しており、今回、全都道府県・指定都市を対象にアンケート調査を行うことで、三重県での取り組みやAMR対策を含めた感染症対策に係る地域ネットワークの必要性について自治体担当者へ情報提供することができた。
公開日・更新日
公開日
2018-06-07
更新日
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