地域のストレングスを活かした精神保健医療改革プロセスの明確化に関する研究

文献情報

文献番号
201717039A
報告書区分
総括
研究課題名
地域のストレングスを活かした精神保健医療改革プロセスの明確化に関する研究
課題番号
H27-精神-指定-002
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
竹島 正(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神保健計画研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 立森 久照(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神疾患病態研究部)
  • 山之内 芳雄(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神保健計画研究部)
  • 我澤 賢之(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)
  • 河崎 建人(全国精神医療審査会連絡協議会)
  • 古屋 龍太(日本社会事業大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
5,325,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、地域ごとの精神科医療の課題の可視化と情報共有を行い、地域の実情とニーズを踏まえた地域精神保健医療の協働開発の資料および手引きの開発を行うことを目的とした。また、自立支援医療の適正な給付と、地域および精神科医療施設における精神障害者の人権擁護のあり方を検討することを目的とした。
研究方法
「地域ニーズに対応した地域精神保健医療の協働開発に関する研究」においては、各地に共有可能な「地域と研究の協働による地域精神保健医療に関する協議の場づくりの手引き」(以下、「手引き」)をまとめることとして3府県において研究会を行った。「精神保健医療改革に資する資料の作成」においては精神病床利用者の数的状況に基づいて精神保健医療福祉の改革ビジョン中およびその後の状況を評価指標に基づいて量的に明らかにした。「精神保健医療改革の達成プロセスの円滑化と資源活用に関する研究」においては患者調査、NDB、新630調査の利用可能性の検討とヒアリング調査を行った。「自立支援医療の適正な提供に関する研究」においては、川崎市のデータをもとに自立支援医療(精神通院)利用者数予測のためのプロトコルの検討を行った。「精神障害者の人権確保に関する研究」においては、全国67の精神医療審査会事務局に対して、審査会活動の実績、過去1年間の審査過程で問題となった事例の報告を依頼し、その内容を分析した。また、全国精神医療審査会連絡協議会シンポジウムを企画・開催した。「地域における精神障害者の人権確保に関する研究」においては、高齢者領域に従事する介護支援専門員(ケアマネジャー)を対象としたアクションリサーチを行った。
結果と考察
「地域ニーズに対応した地域精神保健医療の協働開発に関する研究」においては3年間の研究成果物として「手引き」をまとめた。「精神保健医療改革に資する資料の作成」においては、精神病床からの退院の時系列データを解析することにより、他の都道府県と比べて退院が起こりやすくなった地域などを特定した。「精神保健医療改革の達成プロセスの円滑化と資源活用に関する研究」においては改革ビジョン終了時点での数値を数値目標と比べると改善は見られたが,目標に届いたものはなかったことがわかった。「自立支援医療の適正な提供に関する研究」においては自立支援医療(精神通院)利用者数予測のためのプロトコルの検討結果をまとめた。「精神障害者の人権確保に関する研究」においては、精神医療審査会の委員構成、1合議体開催あたりの書類審査件数、請求受理から審査結果通知までに要する日数の地域差についてまとめた。また問題事例群を類型化した。「地域における精神障害者の人権確保に関する研究」では、介護支援専門員に対する精神障害者支援にかかわる標準的なテキストの作成と研修の実施、事例検討に基づくグループスーパービジョンの実施が有効であることを示した。
結論
本研究は、地域ごとの精神科医療の課題の可視化と情報共有を行い、地域の実情とニーズを踏まえた地域精神保健医療の協働開発の資料および手引きの開発を行った。また、自立支援医療の適正な給付と、地域および精神科医療施設における精神障害者の人権擁護のあり方を検討した。

公開日・更新日

公開日
2018-11-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
2018-11-21

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201717039B
報告書区分
総合
研究課題名
地域のストレングスを活かした精神保健医療改革プロセスの明確化に関する研究
課題番号
H27-精神-指定-002
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
竹島 正(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神保健計画研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 立森 久照(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神疾患病態研究部 )
  • 山之内 芳雄(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神保健計画研究部)
  • 我澤 賢之(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)
  • 河崎 建人(全国精神医療審査会連絡協議会)
  • 古屋 龍太(日本社会事業大学大学院)
  • 岩谷  力(国立障害者リハビリテーションセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、地域ごとの精神科医療の課題の可視化と情報共有を行い、地域の実情とニーズを踏まえた地域精神保健医療の協働開発の資料および手引きの開発を行うことを目的とした。また、自立支援医療の適正な給付と、地域および精神科医療施設における精神障害者の人権擁護のあり方を検討することを目的とした。
研究方法
「地域ニーズに対応した地域精神保健医療の協働開発に関する研究」においては、各地に共有可能な「地域と研究の協働による地域精神保健医療に関する協議の場づくりの手引き」(以下、「手引き」)をまとめることとして、3府県において研究会、23条通報の分析、都道府県等における精神保健医療の課題についての対話の場の調査、川崎市をフィールドにした調査を行った。「精神保健医療改革に資する資料の作成」においては精神病床利用者の数的状況に基づいて精神保健医療福祉の改革ビジョン中およびその後の状況を評価指標に基づいて量的に明らかにした。「精神保健医療改革の達成プロセスの円滑化と資源活用に関する研究」においては患者調査、NDB、新630調査の利用可能性の検討とヒアリング調査を行った。「自立支援医療の適正な提供に関する研究」においては、川崎市のデータをもとに自立支援医療(精神通院)利用者数予測のためのプロトコルの検討を行った。「精神障害者の人権確保に関する研究」においては、全国67の精神医療審査会事務局に対して、審査会活動の実績、過去1年間の審査過程で問題となった事例の報告を依頼し、その内容を分析した。また、全国精神医療審査会連絡協議会シンポジウムを企画・開催した。「地域における精神障害者の人権確保に関する研究」においては、高齢者領域に従事する介護支援専門員(ケアマネジャー)を対象としたアクションリサーチを行った。
結果と考察
地域ニーズに対応した地域精神保健医療の協働開発に関する研究」においては3年間の研究成果物として「手引き」をまとめた。「精神保健医療改革に資する資料の作成」においては、精神病床からの退院の時系列データを解析することにより、他の都道府県と比べて退院が起こりやすくなった地域などを特定した。「精神保健医療改革の達成プロセスの円滑化と資源活用に関する研究」においては改革ビジョン終了時点での数値を数値目標と比べると改善は見られたが,目標に届いたものはなかったことがわかった。「自立支援医療の適正な提供に関する研究」においては自立支援医療(精神通院)利用者数予測のためのプロトコルの検討結果をまとめた。「精神障害者の人権確保に関する研究」においては、精神医療審査会の委員構成、1合議体開催あたりの書類審査件数、請求受理から審査結果通知までに要する日数の地域差についてまとめた。また問題事例群を類型化した。「地域における精神障害者の人権確保に関する研究」では、介護支援専門員に対する精神障害者支援にかかわる標準的なテキストの作成と研修の実施、事例検討に基づくグループスーパービジョンの実施が有効であることを示した。
結論
本研究は、地域ごとの精神科医療の課題の可視化と情報共有を行い、地域の実情とニーズを踏まえた地域精神保健医療の協働開発の資料および手引きの開発を行った。また、自立支援医療の適正な給付と、地域および精神科医療施設における精神障害者の人権擁護のあり方を検討した。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
2018-11-21

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
2018-11-21

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201717039C

成果

専門的・学術的観点からの成果
精神保健福祉資料データをもとに都道府県ごとの毎年6月の退院患者数の2004年度から2015年度までの12年間のデータを用いて退院の発生の時間的なトレンドを推定した。全国的にこの期間に退院は発生しやすくなっていたが、退院の相対リスクが増加傾向にある都道府県、相対リスクが減少傾向にある都道府県、および相対リスクが減少した後に再び増加している都道府県に分類された。
臨床的観点からの成果
精神障害者の支援に不慣れな地域の支援者の力量を上げ、地域のリソースとストレングスを活かした地域生活支援のノウハウを伝えていくために、居宅介護支援事業所等に従事する介護支援専門員等を対象としたアクションリサーチを実施した。介護支援専門員に対する精神障害者支援にかかわる標準的なテキストの作成と研修の実施、事例検討に基づくグループスーパービジョンの実施が有効であることを示した。
ガイドライン等の開発
「地域と研究の協働による地域精神保健医療に関する協議の場づくりの手引き」をまとめた。まとめられた手引きの構成は(1)地域精神保健医療の方向、(2)関係者協働の場づくり-大阪、鹿児島、神奈川での取組から-、(3)地域のストレングスを発見するために-空間疫学、精神保健福祉資料の活用-、(4)地域社会への共有プロセス、(5)協議の場の意義と精神保健福祉センターの役割、(6)研究班の成果等の活用、であった。
その他行政的観点からの成果
全国の精神医療審査会事務局に、審査会活動の実績、過去1年間の審査過程で問題となった事例の報告を依頼し、その内容を分析した。分析結果は「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」に活用された。
自立支援医療(精神通院医療)の利用者数が増加している状況に着目し、利用者数の予測プロトコル開発を試みた。年齢構成は利用率に影響しないと言い切れないものの、他の要因が大きく影響していることが示唆された。
その他のインパクト
患者調査の目的外集計を用いて、近年の精神病床の入院患者のトレンドを分析した。また、全国のレセプトデータベースを用いて、地域ごとの医療特性の描出を試みた。それらをもとに個別地域の状況を把握するため、大阪、鹿児島、神奈川においてヒアリング調査を行った。これらの資料を地域医療計画の企画立案やモニタリングで活用していくためには、重層的な研修体制や円卓的なステークホルダーの合意の場が必要と考えられた。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
13件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
9件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Takahashi K, Tachimori H, Kan C,et al.
Spatial analysis for regional behavior of patients with mental disorders in Japan
Psychiatry Clin Neurosci , 71 (4) , 254-261  (2017)
原著論文2
長沼洋一,長沼葉月,竹島正
SSTや心理教育等のプログラムを実施している精神科デイケア等の組織運営体制に関する研究.
日本社会精神医学会雑誌 , 24 (3) , 240-252  (2015)
原著論文3
河野稔明, 白石弘巳, 立森久照,他
精神科病院の長期在院患者の退院動態と関連要因.
精神神経学雑誌 , 117 (9) , 713-729  (2015)
原著論文4
Tachimori H, Takeshima T, Kono T, et al.
Statistical aspects of psychiatric inpatient care in Japan: Based on a comprehensive nationwide survey of psychiatric hospitals conducted from 1996 to 2012.
Psychiatry Clin Neurosci , 69 (9) , 512-522  (2015)

公開日・更新日

公開日
2018-11-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201717039Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,922,000円
(2)補助金確定額
6,920,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,158,015円
人件費・謝金 1,234,269円
旅費 883,122円
その他 2,048,128円
間接経費 1,597,000円
合計 6,920,534円

備考

備考
補助金が千円以下切り捨てのため端数534円の差異を自己負担とする

公開日・更新日

公開日
2020-06-09
更新日
-