障害者ピアサポートの専門性を高めるための研修に関する研究

文献情報

文献番号
201717006A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者ピアサポートの専門性を高めるための研修に関する研究
課題番号
H28-身体・知的-一般-002
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
岩崎 香(早稲田大学 人間科学学術院)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 剛(NTT東日本 関東病院)
  • 藤井 千代(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター )
  • 山口 創生(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター )
  • 宮本 有紀(東京大学大学院 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
3,355,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本における障害者のピアサポート活動は「障害者の権利に関する条約」の批准や、障害福祉サービスの改編の中で注目を集めている。活動が注目されている反面、ピアサポートの質の担保や労働環境の整備については、各事業所に任されているというのが現状である。そこで、本研究はピアサポートを担う人材の専門性の向上をめざし、養成制度及び研修プログラムを開発することを目的としている。特に精神障害領域ではサービス事業所での雇用が進んでいるが、専門職で構成された組織におけるピアサポートの位置付けや雇用体制、人材育成等の具体的な課題が生じている。そこで、どの障害領域にも共通する基礎研修案を作成するとともに、ピアサポートがまだ十分に周知されていない高次脳機能障害に関しては、基礎研修に参加するための準備性を高める研修についても検討を行う。また、精神障害領域においては専門研修、フォローアップ研修、ファシリテーター養成研修のプログラムを含めて作成する。また、今後のピアサポートの活用を促進するために、雇用が進む条件の明確化にも取り組んだ。
研究方法
平成28年度は、精神障害、身体障害、知的障害、難病、高次脳障害の当事者及び専門職等に協力者としての参加を依頼し、研究班を構成した。各障害領域におけるピアサポートの歴史と現状を共有し、実施しているピアサポートの養成制度やプログラムに関する検討を実施した。その成果を受け、平成29年度は東京、札幌の全国2か所で、平成28年度に作成したテキストを使用して基礎研修、専門研修を実施し、研修の評価を行った。その他、平成29年度の研究として、専門研修を終えた人を対象としたフォローアップ研修のプログラム案の構築、研修を普及していくためのファシリテーター養成のための研修プログラム構築に関する検討、及び高次脳機能障害者を対象とした基礎研修に参加する前の準備性を高める研修を構築するための検討を実施した。具体的には、ピアサポートを現に実践している高次脳機能障害に係る団体等に対してインタビュー調査を実施し、高次脳機能障害当事者によるピアサポート活動の現状を明らかにすることを目的とした。また、ピアサポートの現状を把握する目的で平成27年度に厚生労働省がみずほ情報総合研究所に委託して実施した「障害福祉サービス事業所等におけるピアサポート活動状況等調査事業のデータについて、了解を得た上で再分析を実施した。
結果と考察
基礎研修と専門研修に関しては、参加者の満足度については高い結果が得られた。研修前後における調査票への回答を比較した結果、基礎・専門研修の双方において、やりがいや不安などに関する独自項目、知識を測る独自項目、ピアサポーターへの期待に関する項目についての改善がみられた。研修への参加が、参加者のピアサポーターに関する主観的態度や知識、ピアサポーターへの期待についての向上と関連する可能性が示唆された。フォローアップ研修に関しては、プログラム案を作成し、今年度札幌、東京でモデル研修を実施する。ファシリテーター研修についても昨年度まで検討を継続しているが、平成30年度にプログラムを確定する予定である。高次脳機能障害のピアサポートに関するインタビューの結果からは、社会的な繋がりを通して情報を得、経験を積み重ねることが、ピアサポート活動参加への動機づけを高める要因であることが示唆された。次年度も基礎研修への準備性を高めるための研究を継続する。ピアサポートの活用実態に関する調査においては、身体障害の方や精神障害の方を主たる支援対象としており、従業員規模が10人未満の個別給付化前からの地域移行支援事業所でピアサポート活動従事者はより効果的に活躍できるという傾向が示された。
結論
ピアサポートの基礎・専門研修は概ね参加者の高い評価を得た。研修前後における調査票への回答を比較した結果、基礎研修と専門研修への参加は、参加者のピアサポーターに関する主観的態度や知識、ピアサポーターへの期待についての向上と関連する可能性が示唆されており、ピアサポーターのバーンアウトや職場風土については今年度調査を実施する予定である。今年度は最終年であり、高次脳機能障害領域における基礎研修への参加における準備性を高める活動を含め、継続してモデル研修を実施し、修正を加えながら最終的なプログラムを構築していく予定である。既存の調査データの再分析によりピアサポートの活用については一定の可能性が示唆されたが、地域移行支援を中心とするピアサポートの有効性に関しては、今後より精緻な調査と分析を実施できればと考えている。

公開日・更新日

公開日
2018-11-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-11-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201717006Z