介護保険施設等の状況把握を平時と有事にシームレスに可能とするICTシステムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
201715007A
報告書区分
総括
研究課題名
介護保険施設等の状況把握を平時と有事にシームレスに可能とするICTシステムの開発に関する研究
課題番号
H29-長寿-一般-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
久保 達彦(産業医科大学 医学部 公衆衛生学)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 晋哉(産業医科大学 医学部 公衆衛生学)
  • 近藤 久禎(国立病院機構 災害医療センター)
  • 藤本 賢治(産業医科大学 医学部 公衆衛生学)
  • 藤野 善久(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
5,834,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、我が国の大災害に伴う防ぎえた死および災害関連死の多くは高齢障害者に局在している(東日本大震災における震災関連死に関する報告 復興庁 2012 年)。想定される南海トラフ大地震等においてこの課題に効果的に対処するためには、高齢障害者が集まる介護保健施設等の支援ニーズをいち早く「見える化」し、かつ、そのニーズを多様な団体による総力的支援につなげていくことが重要である。一方で、現状においては我が国に災害時に介護保険施設等の状況把握を行うことを目的として設置されているInformation and Communication Technology (ICT)システムは存在しない。また、多くの既存システムは、平時と災害時等有事の利用目的およびユーザが分断されている。その結果、特に有事システムの認知度や習熟度があがらず、結果的に有時に充分に活用できない等の課題が指摘されている。また一般的には平時システムへの投資が優先され、有事システムの開発は後手に回ることも多い。本研究はこのような課題・現状認識に立って開始されたものであり、研究の目的は、平時から利用できるサービスを提供しつつ、有事にも利活用可能な介護保険施設等の情報把握を行うためのICT システムを経済性等も踏まえて研究開発し、その社会実装に向けた具体的な道筋を示すことである。
研究方法
①平時(平時ICT検討のための既存データベースに関する調査)・②有事(介護保険施設等が災害時に優先的に報告すべき被災情報に関する研究)・③ICT(介護保険施設等の状況把握を行うためのICTシステムの整備指針)の3要素に分解して研究を実施した。
結果と考察
【平時】1. 地域包括ケア「見える化」システム(厚生労働省老健局老人保健課)、2. 介護保険総合データベース(厚生労働省老健局老人保健課)、3. けあプロnavi(トーテックアメニティ株式会社)の責任組織にインタビュー調査を実施したところ、特に収集対象地域の全国網羅性が高く、外部システムとの連携の可能性が担保されている観点から、有事システムとの連携の可能性が最も高いのは、『地域包括ケア「見える化」システム』であると結論づけた。
【有事】FAX報告様式の開発が、熊本地震の実対応知見および災害医療分野の関係知見及びインタビュー調査により、A4用紙一枚で収まる情報量を上限として、自然災害発生時に介護保険施設等自らが優先的に発信すべき情報項目が収載されたFAX報告様式「介護保険施設等被災状況の全国共通報告様式」の開発を完了した。
【ICT】災害医療分野の基幹ICTシステムである広域災害救急医療情報システム(Emergency Medical Information System: EMIS)の設置経緯や特性をレビューした。また、注目すべき関係動向として、東日本大震災を契機として設置された「災害時の診療録のあり方に関する合同委員会」が提唱する①災害診療記録(災害医療チーム等が利用する標準診療記録(カルテ))と②J-SPEED(災害診療記録を利用して診療を行ったチームがその日の診療活動終了後に、どこで・どのような患者を・何人診療したかを本部に報告するための診療概況日報様式)の標準様式とその電子化動向を分析した。そしてその結果に基づき、今後のICTシステムの整備にむけての指針を得た。
結論
次年度は、ICTシステムの試作と防災訓練での試用を行う。同研究開発は、インタビュー調査を通じて協力関係が構築された関係団体とのコンタクトを維持し、また災害に対して脆弱な小規模施設等の存在に常に留意しつつ進捗を図っていく。

公開日・更新日

公開日
2019-05-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-05-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201715007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,584,000円
(2)補助金確定額
7,412,000円
差引額 [(1)-(2)]
172,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 21,600円
人件費・謝金 758,656円
旅費 577,590円
その他 4,305,124円
間接経費 1,750,000円
合計 7,412,970円

備考

備考
千円未満切り捨て

公開日・更新日

公開日
2019-03-20
更新日
-