ソーシャルマーケティング手法を用いた心停止下臓器提供や小児の臓器提供を含む臓器提供の選択肢提示を行う際の理想的な対応のあり方の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201713003A
報告書区分
総括
研究課題名
ソーシャルマーケティング手法を用いた心停止下臓器提供や小児の臓器提供を含む臓器提供の選択肢提示を行う際の理想的な対応のあり方の確立に関する研究
課題番号
H28-難治等(免)-一般-102
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
江口 有一郎(国立大学法人佐賀大学 医学部附属病院 肝疾患センター)
研究分担者(所属機関)
  • 市川 光太郎(北九州市立八幡病院 救命救急センター・小児救急センター)
  • 名取 良弘(飯塚病院 脳神経外科 副院長・脳神経外科部長)
  • 中尾 一彦(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 消化器内科 教授)
  • 江口 晋(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 移植外科学・消化器外科学 教授)
  • 平井 啓(大阪大学 経営企画オフィス 准教授)
  • 竹田 昭子(公益財団法人 長崎県健康事業団 長崎県臓器移植コーディネーター)
  • 北村 聖(国際医療福祉大学大学院 教授)
  • 田崎 修(長崎大学病院 救命救急センター 教授)
  • 大宮 かおり(公益社団法人 日本臓器移植ネットワーク あっせん事業部 副部長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(免疫アレルギー疾患等政策研究 移植医療基盤整備研究分野)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
12,099,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
選択肢提示を行う医師やコーディネーター(Co)の心理的負担を減らしつつ効果的な選択肢提示を行うための方法を見出し、そのマニュアルや説明ツールの開発や選択肢提示の理想的な対応のあり方を解明する。
研究方法
小児脳死症例のオプション提示の現場での課題・問題点の抽出では、小児の脳死下臓器移植症例に特有の課題を明らかにするため、小児専門の救急センターで保護者を対象にアンケートを実施した。
 急性期病院における終末期医療の一要素としての臓器提供の選択肢呈示に関する研究では、臓器提供の意思確認の役割は、だれが担うべきか、国内外の実情の調査を行った。
 臓器提供の選択肢提示を行う際の理想的な対応のあり方に関する研究」では、選択肢提示を積極的に行っている医師及び選択肢提示を積極的に行っていない医師を対象に半構造化面接を続け、そこから得られた知見を基に説明ツールの開発を行った。
 レセプトから見た臓器提供にかかわるコスト調査では、実際に脳死判定後に臓器提供を行った症例を対象に脳死判定後から摘出までの生体管理に必要とされた費用を保険診療として計上すると仮定し、これにかかる保険請求額を試算した。
 臓器提供医療機関における選択肢提示に関わる研究では、ドナー情報が多い5類型医療機関における選択肢呈示における現在の取り組みを調査し、改善点を明らかにすることを目的とし、研究を行った。
 臓器提供が可能な医療機関及び医師が抱える選択肢提示における課題の特定・解明」では、ドナー主治医を検討した医師と都道府県コーディネーターを対象とし対面式の半構造化面接を実施した。
 さらに自動車運転免許証裏面の意思表示欄の存在の認知と記入状況および臓器提供の意思表示を促進するメッセージの開発を目的として、WEB調査および運転免許センターでアンケートを実施した。
結果と考察
小児救命センターを受診した小児の保護者に対するアンケート調査の結果として、1,445名のうち、22.9%の保護者が子供の脳死下臓器移植に対して賛成を選択した一方で、それが自分の子供の脳死下臓器移植となると提供を希望するのは0.7%に留まることが明らかになった。したがって、小児の臓器提供に関しては、社会的な啓発は進んでいる一方で、保護者の自分の子供に対する考え方に関しては、学校教育などによる早期の意識などが必要と考えられた。

臓器提供に関する意思確認を最終的に家族に対して行うのは治療を担当している医師で、臓器提供の経験がある施設では、医師が行うことに対しての抵抗感はあまり見られなかったが、経験がない施設では、医師自身の抵抗感が強い印象があった。
また、諸外国では外部の専門スタッフが患者家族に直接臓器提供の意思を確認しており、国内と海外の状況には大きな差があることが分かった。

説明ツールを完成させ、実際にパイロット医療機関で2例の家族に対して使用された。その後、リーフレットを使用した医師に対して詳細なヒアリングを行った結果、通常の終末期のインフォームドコンセントにおける医師・患者顔家族コミュニケーションの流れに沿った内容の構成であり、説明の中で違和感や負担感なく使用できたとの回答を得た。

臓器提供された脳死下7例、心停止下4例について解析を行い、JOTから支払われる脳死臓器提供管理料により充足されていた。

また、都道府県Coへのヒアリングでは、Coと医療機関の医師との良好な関係が臓器提供に関する選択肢提示数に関与していることが示唆された。しかし対象Co全員は、活動内容にはばらつきがあることが明らかになった。

WEB調査と免許更新センターに訪れた人を対象とする質問紙調査を実施、実際に運転免許証を更新者に対して、新しく交付された運転免許証への臓器提供の意思は21.4%であった。質問紙調査でのメッセージの効果の検証として、免許更新センターで運転者講習を受講した人7,615人へ配布し、3,747人から回答を得たので、現在、解析を行っている。
 研究の2年目である平成29年度は、説明ツールを完成させ、実臨床でのパイロット運用を開始した。また移植医療に関わる医療従事者や家族、一般市民への詳細な調査によって、選択肢提示や臓器提供に関する様々なハードルや効果的なメッセージ開発の基盤となる市民を対象とした大規模調査を実施した。
結論
選択肢提示の説明ツールを作成し、パイロット運用を行った。説明ツールの全国展開及を進め、臓器提供が可能な施設を対象とした制度・体制的アプローチにおいては、関連する患者家族、ドナー側の医師、院内、都道府県、JOT コーディネーターの相互理解を深め、選択肢提示および臓器提供数の増加のための政策施策への提言を行う。

公開日・更新日

公開日
2019-09-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2019-09-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201713003Z