文献情報
文献番号
201711119A
報告書区分
総括
研究課題名
指定難病制度の公平性を担保するための方法論の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H29-難治等(難)-指定-002
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
千葉 勉(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 島津 章(国立病院機構京都医療センター)
- 天谷 雅行(慶應義塾大学 医学部皮膚科)
- 小崎 健次郎(慶應義塾大学医学部・臨床遺伝学・小児科学・分子遺伝学)
- 堀江 稔(滋賀医科大学 内科学講座)
- 伊藤 俊之(滋賀医科大学 医学部臨床教育講座)
- 西村 正治(北海道大学 大学院医学研究科内科学講座)
- 楠 進(近畿大学医学部 神経内科学)
- 松山 晃文(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 難治性疾患研究開発支援センター)
- 井田 博幸(東京慈恵会医科大学 小児科学講座)
- 川村 孝(京都大学 環境安全保健機構健康科学センター)
- 宮坂 信之(東京医科歯科大学 膠原病・リウマチ内科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
16,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
指定難病制度を横串で俯瞰することで、公平性を担保した難病施策を継続するためのデータを収集し、その方策を討議した。
研究方法
1.円滑な指定難病追加のための準備
2.重症度分類の整合性のチェック
3.臨床調査個人票のありかた、及び臨個票を用いたデータベースの構築についての検討
4.指定難病の指定に必要な検査についての検討
5.従来の方法で検討にあがりにくい「指定難病候補」の洗い出し
6.海外の難病制度の調査
2.重症度分類の整合性のチェック
3.臨床調査個人票のありかた、及び臨個票を用いたデータベースの構築についての検討
4.指定難病の指定に必要な検査についての検討
5.従来の方法で検討にあがりにくい「指定難病候補」の洗い出し
6.海外の難病制度の調査
結果と考察
1.適切な指定難病追加のための準備
あ)指定難病の追加のための「指定難病の要件」の整理
a)ウィルス等の感染症について
・血清中でlytic infectionがある場合は感染症とする
・ウィルスの関与する症例が疾患全体の一部で、切り分けることが可能な場合は、ウィルスが関与しない部分について難病とすることは可能
b)がんについて
・「がんの定義」に前がん病変(良性腫瘍)も含めるべきかどうか
・ある疾病全体の一部症例のみが傍腫瘍症候群である場合は指定難病として良い
c)「治療法が確立していない」ことについて
・治療法が確立しつつある疾患をどうするか(卒業問題)
d)「長期の療養を必要とする」ことについて
・致命的な合併症を発症するリスクが高いが普段生活面で支障が生じない疾病の場合(心筋梗塞、不整脈)、基本的に「長期の療養を必要とする」要件に該当しない
e)「患者が本邦において一定の人数に達しないこと」について
・重症例が少ない疾病をどうするか
・疾病の一部の症状のみをあげて指定難病に申請してくる、また一部重症例のみを切り分けて申請してくる傾向が見受けられる
f)小満からの移行疾患について
・小慢からの移行疾患については、小児期に発症し成人になっても治療を継続しないと進行する疾患は難病として差し支えない
い)適切な疾病単位のとらえ方を整理:自然炎症症候群やライソゾーム病など類似疾患については、運用上ひとつの疾患としてくくるのが適切。
う)第4次指定難病の検討に資する情報収集を円滑におこなうため、診断基準や重症度分類を作成する際のより詳細な標準フォーマットやチェックリストを作成:診断基準、重症度分類、概要等の記載方法について、指定難病指定の作業の円滑化のために、チェックリスト、標準フォーマットを作成した。
2.疾患概要・診断基準・重症度分類の整合性のチェック
・炎症性疾患はBIは不適
・不整脈疾患と心全疾患とは別の重症度分類が必要
・小慢の診断基準、重症度分類と整合性をあわせるべき
・疾患概要や診断基準について、国際的、教科書的な定義や、コンセンサスから逸脱しないような記載にすべき
・公平な重症度分類が必要
・治療により症状が改善していても、軽症者として登録が可能な仕組みが必要
3.臨床調査個人票のありかた、及び臨個票を用いたデータベースの構築
a)患者数の多い疾患については指定医の負担があまりにも大きいため、臨個票を簡素化。
b)データベース構築のためのデータと、医療費助成判定用のデータの整合性について下記の議論がなされた。
・AMEDの難病プラットフォームに連結させるべき
・臨個票のデータをデータベースにいれるためには、同意書を改変する必要がある。また小児慢性疾患の同意書との整合性が必要
・患者数の多少によって臨個票の意義、作り方は異なる
・なんのためのデータベースか(創薬、施策、疫学調査のため?)
・臨個票のデータを創薬に使うにはどうすればよいか?
・軽症者のデータがぬけてしまう問題点
4.指定難病の指定に必要な検査についての検討:診断基準にprobableをもうけて遺伝子検査を必須要件としない工夫を行った。
5.従来の方法で検討にあがりにくい「指定難病候補」の洗い出し:各都道府県の難病拠点病院、各学会、研究班に依頼する方法が考えられた。
6.海外の難病制度の調査:海外の難病制度について調査を行った。その結果、難病をrare diseaseとしてとらえる国と、intractable disease (難治性疾患)もあわせてとらえる国が存在した。
あ)指定難病の追加のための「指定難病の要件」の整理
a)ウィルス等の感染症について
・血清中でlytic infectionがある場合は感染症とする
・ウィルスの関与する症例が疾患全体の一部で、切り分けることが可能な場合は、ウィルスが関与しない部分について難病とすることは可能
b)がんについて
・「がんの定義」に前がん病変(良性腫瘍)も含めるべきかどうか
・ある疾病全体の一部症例のみが傍腫瘍症候群である場合は指定難病として良い
c)「治療法が確立していない」ことについて
・治療法が確立しつつある疾患をどうするか(卒業問題)
d)「長期の療養を必要とする」ことについて
・致命的な合併症を発症するリスクが高いが普段生活面で支障が生じない疾病の場合(心筋梗塞、不整脈)、基本的に「長期の療養を必要とする」要件に該当しない
e)「患者が本邦において一定の人数に達しないこと」について
・重症例が少ない疾病をどうするか
・疾病の一部の症状のみをあげて指定難病に申請してくる、また一部重症例のみを切り分けて申請してくる傾向が見受けられる
f)小満からの移行疾患について
・小慢からの移行疾患については、小児期に発症し成人になっても治療を継続しないと進行する疾患は難病として差し支えない
い)適切な疾病単位のとらえ方を整理:自然炎症症候群やライソゾーム病など類似疾患については、運用上ひとつの疾患としてくくるのが適切。
う)第4次指定難病の検討に資する情報収集を円滑におこなうため、診断基準や重症度分類を作成する際のより詳細な標準フォーマットやチェックリストを作成:診断基準、重症度分類、概要等の記載方法について、指定難病指定の作業の円滑化のために、チェックリスト、標準フォーマットを作成した。
2.疾患概要・診断基準・重症度分類の整合性のチェック
・炎症性疾患はBIは不適
・不整脈疾患と心全疾患とは別の重症度分類が必要
・小慢の診断基準、重症度分類と整合性をあわせるべき
・疾患概要や診断基準について、国際的、教科書的な定義や、コンセンサスから逸脱しないような記載にすべき
・公平な重症度分類が必要
・治療により症状が改善していても、軽症者として登録が可能な仕組みが必要
3.臨床調査個人票のありかた、及び臨個票を用いたデータベースの構築
a)患者数の多い疾患については指定医の負担があまりにも大きいため、臨個票を簡素化。
b)データベース構築のためのデータと、医療費助成判定用のデータの整合性について下記の議論がなされた。
・AMEDの難病プラットフォームに連結させるべき
・臨個票のデータをデータベースにいれるためには、同意書を改変する必要がある。また小児慢性疾患の同意書との整合性が必要
・患者数の多少によって臨個票の意義、作り方は異なる
・なんのためのデータベースか(創薬、施策、疫学調査のため?)
・臨個票のデータを創薬に使うにはどうすればよいか?
・軽症者のデータがぬけてしまう問題点
4.指定難病の指定に必要な検査についての検討:診断基準にprobableをもうけて遺伝子検査を必須要件としない工夫を行った。
5.従来の方法で検討にあがりにくい「指定難病候補」の洗い出し:各都道府県の難病拠点病院、各学会、研究班に依頼する方法が考えられた。
6.海外の難病制度の調査:海外の難病制度について調査を行った。その結果、難病をrare diseaseとしてとらえる国と、intractable disease (難治性疾患)もあわせてとらえる国が存在した。
結論
1.円滑な指定難病追加のための準備、2.疾患概要・診断基準・重症度分類の整合性のチェック、3. 臨床調査個人票のありかた、及び臨個票を用いたデータベースの構築について、4.指定難病の指定に必要な検査、5.従来の方法で検討にあがりにくい「指定難病候補」の洗い出し、6.海外の難病制度の調査、について様々な検討がなされた。
公開日・更新日
公開日
2018-05-21
更新日
-