びまん性肺疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
201711074A
報告書区分
総括
研究課題名
びまん性肺疾患に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-023
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
稲瀬 直彦(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 弘毅(札幌医科大学 医学部)
  • 今野 哲(北海道大学 大学院医学研究科)
  • 海老名 雅仁(東北医科薬科大学 医学部)
  • 坂東 政司(自治医科大学 内科学講座)
  • 酒井 文和(埼玉医科大学 国際医療センター)
  • 蛇澤 晶(国立病院機構東京病院 臨床検査センター)
  • 慶長 直人((公財)結核予防会結核研究所)
  • 針谷 正祥(東京女子医科大学 附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 本間 栄(東邦大学 医学部医学科)
  • 吾妻 安良太(日本医科大学 大学院医学研究科)
  • 岸 一馬(虎の門病院 呼吸器センター内科)
  • 須田 隆文(浜松医科大学 内科学第二講座)
  • 長谷川 好規(名古屋大学 大学院医学研究科)
  • 伊達 洋至(京都大学 大学院医学研究科)
  • 井上 義一(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 臨床研究センター)
  • 服部 登(広島大学 大学院医歯薬保健学研究科)
  • 西岡 安彦(徳島大学 大学院医歯薬学研究部)
  • 渡辺 憲太朗(福岡大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
15,322,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
指定難病である特発性間質性肺炎、閉塞性細気管支炎、肺胞蛋白症(自己免疫性および先天性)、サルコイドーシスおよび周辺疾患を対象として、診療ガイドラインの刊行・普及・検証、重症度分類の確立、難病患者の実態把握、医療水準の向上、QOLの向上を目的とした。
研究方法
研究代表者に加えて、18名の研究分担者と46名の研究協力者により研究を推進した。研究組織として特発性間質性肺炎分科会、難治性気道疾患分科会、稀少びまん性肺疾患分科会、サルコイドーシス分科会の4つの分科会を設置した。さらに、特発性間質性肺炎分科会には11部会(診療ガイドライン部会、IPF合併肺癌ガイドライン部会、ANCA陽性間質性肺炎部会、臨床調査個人票・重症度分類部会、レジストリ部会、画像部会、病理部会、PPFE部会、バイオマーカー部会、多施設治療研究支援部会、疾病の普及・啓発・患者会設立部会)、稀少びまん性肺疾患分科会には3部会(HPS・若年進行性肺線維症部会、肺胞蛋白症部会、肺胞微石症部会)を設置した。
結果と考察
特発性間質性肺炎については国際基準と整合性のある診断基準を策定した。重症度分類の策定も済んでいるが、診断基準と同様に学会承認が次年度の課題である。また、わが国の重症度分類と欧米の重症度分類は整合しておらず、臨床調査個人票を用いた全国疫学調査などにより検証することが長期的な課題である。診療ガイドラインについては国際ガイドラインと整合した、Minds準拠の「特発性肺線維症治療ガイドライン」を刊行し、日本呼吸器学会の学会承認を得た。また、日本呼吸器学会腫瘍学術部会およびびまん性肺疾患学術部会が主体となる編集委員会に当班も加わり「間質性肺炎合併肺癌に関するステートメント」を刊行した。レジストリも構築され、多分野診断チームによるレジストリ症例のMDD診断を開始した。また、長年の懸案であった患者会が本年度に発足し、患者と家族を対象とした勉強会を開催した。閉塞性細気管支炎については、診断基準と重症度分類の策定を終了したが、学会承認が次年度の課題である。診療ガイドラインについては診療の手引き書として「難治性びまん性肺疾患診療の手引き」を刊行し、日本呼吸器学会から学会承認を得た。肺胞蛋白症については、診断基準と重症度分類の策定を終了し、日本呼吸器学会の学会承認を得ている。レジストリも構築され、前向きの疫学研究が計画されている。肺胞蛋白症患者会が設立されており、患者と家族を対象とした勉強会が定期開催された。サルコイドーシスについては、診断基準と重症度分類の策定を終了し、日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会、日本呼吸器学会,日本循環器学会,日本眼科学会,日本皮膚科学会,日本神経学会の学会承認を得ている。診療ガイドラインについては診療の手引き書として昨年「サルコイドーシス診療ガイド」を刊行し、上記6学会から学会承認を得た。
 難病患者の実態把握、診断・治療の標準化、難病患者のQOL向上が当班に期待されている。臨床調査個人票を使用した全国疫学調査により、国際基準との整合性がとれていない重症度分類が検証され、あわせて難病患者の実態把握が必要と考えられる。また、最近刊行された診療ガイドラインの普及により診断・治療の標準化が進み、難病患者の実態把握にも寄与すると思われる。特発性間質性肺炎の診断には呼吸器医、画像診断医、病理医によるMDD診断が推奨されているが、一般の病院で実行するのは困難であり、診断の標準化の観点から多分野診療提供体制の構築が望まれる。クラウド型統合データベースとして構築された難病レジストリの症例(524例)を対象に実施する遠隔診断システムを用いたMDD診断の経験が、今後の多分野診療提供体制の構築に繋がると考えられる。また、難病患者の実態把握により診断・治療の地域差等が課題として抽出されることが予想され、班研究の推進により診断・治療の標準化が実現すれば難病患者のQOL向上に貢献することが期待される。肺胞蛋白症患者会の設立に続いて、特発性間質性肺炎の患者会を設立することができた。現在のところ関西と関東の2地域で患者と家族を対象とした勉強会を開催しているが、疾病の普及・啓発を進めるとともに難病患者が抱えている現実的な課題を拾い上げ、わが国の難病政策に資する活動としたい。
結論
指定難病である特発性間質性肺炎、閉塞性細気管支炎、肺胞蛋白症(自己免疫性および先天性)、サルコイドーシスおよび類縁疾病を対象として、診断基準・重症度・診療ガイドラインの策定・改訂、レジストリを活用した多分野診療提供体制の構築、関連学会や患者会と連携した普及・啓発活動などを推進した。

公開日・更新日

公開日
2018-05-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-05-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711074Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
19,918,000円
(2)補助金確定額
18,339,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,579,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,542,649円
人件費・謝金 263,318円
旅費 2,551,240円
その他 4,385,806円
間接経費 4,596,000円
合計 18,339,013円

備考

備考
1,579,000円 返還

公開日・更新日

公開日
2019-03-04
更新日
-