難治性腎障害に関する調査研究

文献情報

文献番号
201711068A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性腎障害に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-017
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
成田 一衛(国立大学法人新潟大学 大学院医歯学総合研究科 腎・膠原病内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 柏原 直樹(川崎医科大学医学部 腎臓・高血圧内科学)
  • 和田 隆志(金沢大学医薬保健研究域医学系 腎臓内科学)
  • 丸山 彰一(名古屋大学大学院医学系研究科 腎臓内科学)
  • 横山 仁(金沢医科大学医学部 腎臓内科学)
  • 旭 浩一(福島県立医科大学医学部 腎臓内科学)
  • 長田 道夫(筑波大学医学医療系 病理学)
  • 安藤 昌彦(名古屋大学医学部付属病院 臨床疫学)
  • 鈴木 祐介(順天堂大学大学院医学研究科 腎臓内科学)
  • 川村 哲也(東京慈恵会医科大学医学部 腎臓内科学)
  • 山縣 邦弘(筑波大学医学医療系 腎臓内科学)
  • 杉山 斉(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎臓内科学)
  • 猪阪 善隆(大阪大学大学院医学研究科 腎臓内科学)
  • 中川 直樹(旭川医科大学内科学講座 腎臓内科学)
  • 武藤 智(順天堂大学大学院医学研究科寄附講座遺伝子疾患先端情報学講座 泌尿器科)
  • 望月 俊雄(東京女子医科大学 多発性嚢胞腎病態研究部門 )
  • 服部 元史(東京女子医科大学医学部 腎臓小児科学)
  • 岩野 正之(福井大学学術研究院医学系部門 腎臓内科学)
  • 岡田 浩一(埼玉医科大学医学部 腎臓内科学)
  • 安田 宜成(名古屋大学大学院医学系研究科 循環器・腎臓・糖尿病(CKD)先進診療システム学寄附講座)
  • 藤元 昭一(宮崎大学医学部医学科 血液・血管先端医療学講座)
  • 要 伸也(杏林大学医学部 内科学(Ⅰ)(腎臓・リウマチ膠原病内科))
  • 柴垣 有吾(聖マリアンナ医科大学医学部 腎臓内科学)
  • 土谷 健(東京女子医科大学血液浄化療法科 腎臓内科学)
  • 金子 佳賢(新潟大学大学院医歯学総合研究科 腎・膠原病内科学)
  • 忰田 亮平(新潟大学大学院医歯学総合研究科 腎・膠原病内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
30,514,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究事業が重点的に対象としてきた4疾患は、エビデンスに基づく診療ガイドラインが公表されているが、医療者・患者への周知と普及、腎予後、生命予後の改善に結びつく効果的な運用の実践には課題が残る。腎疾患登録システム (J-RBR/J-KDR)、電子カルテから直接データを抽出するJ-CKD-DBを有効に活用し、この課題の解決を目指す。ガイドラインの普及とともに、エビデンスの蓄積、診断基準・重症度分類・治療指針の検証(日本人の臨床データの収集と諸外国のガイドラインとの比較を含む)を通じて、診療ガイドラインの改訂を行うことが求められる。さらに4疾患以外のすべての難治性腎疾患に対し、普及・啓発、診療体制の構築を行い、医療水準向上を目指す必要がある。指定難病7疾患 (IgA腎症、多発性嚢胞腎、急速進行性糸球体腎炎、抗糸球体基底膜腎炎、一次性ネフローゼ症候群、一次性膜性増殖性糸球体腎炎、紫斑病性腎炎)の判定・重症度分類の検証、申請書様式の見直し、申請書のデータベース化と2次利用、申請を促す普及活動、診療体制の整備、巣状分節性糸球体硬化症などの指定拡大なども重要な課題である。
研究方法
研究組織は、「研究代表者」が統括する「疾患登録・調査研究分科会」と「診療ガイドライン分科会」の2つの分科会、「研究管理推進委員会」「事務局」を合わせて研究班全体を統括する「研究運営委員会」で構成する。研究推進委員会は、「指定難病における重症度の見直しを行い、疾患間での重症度分類の整合性をはかる。医療提供体制における問題点についても全体を総括しながら、検討する。「疾患登録・調査研究分科会」では各WGにおいて各疾患の診療実態と予後を検討し、2次研究を行う。「診療ガイドライン分科会」は各疾患のガイドライン改訂を行う。
結果と考察
研究管理推進委員会では、AMEDとも連携した腎臓病に関する全国規模の包括的データベース(J-CKD-DB)への取り組みと腎臓病領域の指定難病の普及について検討を進めた。
疾患登録・調査研究分科会では、ウエブによる登録システム(J-RBR/J-KDR)は累計38,000例を超え順調に進行している。このレジストリを利用し解析を進め、指定難病の対象疾患についてこの10年間の疾患発症推移を明らかにした。腎生検レジストリ(J-RBR)にバーチャルスライドシステムを導入した。既存のデータベースに病理診断に重要なバーチャルスライドがリンクすることで、診断の標準化、予後に関するより詳細な検討が可能となる。
各ワーキンググループ(IgA腎症WG、急速進行性糸球体腎炎WG、ネフローゼ症候群WG、多発嚢胞腎WG)は、重点4疾患とともに指定難病 7疾患 (IgA腎症、多発性嚢胞腎、急速進行性糸球体腎炎、抗糸球体基底膜腎炎、一次性ネフローゼ症候群、一次性膜性増殖性糸球体腎炎、紫斑病性腎炎)を対象とし、これら疾患の診断基準・重症度分類・治療指針の検証を行い、診療ガイドラインの改訂、治療法未確立の腎障害に対する普及・啓発、診療体制の整備に貢献するに資する充実した研究成果を挙げている。
診療ガイドライン分科会は、2020年度版ガイドライン作成のための体制整備を行い、統括委員会、作成グループ、SRチームをそれぞれ独立して組織した。本研究のガイドラインの特徴として、①GL2017年度版およびQI・アンケート結果、J-CKD-DBや疫学研究班の成果を踏まえた完全改訂版を目指している、②多領域専門家や患者が参加した作成委員会を組織している、③SRチームを組織してIT技術を導入している、④難病拠点病院への適応・紹介基準の作成・提案をする内容としている点が挙げらる。これらは、今までにない先進的な取り組みといえる。
結論
本研究班全体として、滞りなく成果が上がっている。今後、AMEDとの連携を進めつつ、指定難病 7疾患 (IgA腎症、多発性嚢胞腎、急速進行性糸球体腎炎、抗糸球体基底膜腎炎、一次性ネフローゼ症候群、一次性膜性増殖性糸球体腎炎、紫斑病性腎炎)の判定・重症度分類の検証、申請書様式の見直し、申請書のデータベース化と2次利用、申請を促す普及活動、診療体制の整備とバーチャルスライドの利活用、2020年にむけたガイドライン改正を着実に履行していく必要がある。本研究は今までの積み上げられた研究内容を踏襲しつつも新規性を取り入れている。本研究の成果として、腎臓疾患の発症・増悪の抑制、腎代替療法を要する患者数の抑制に結びつく医療水準の向上が期待される。


公開日・更新日

公開日
2018-06-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711068Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
36,787,000円
(2)補助金確定額
36,510,000円
差引額 [(1)-(2)]
277,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 14,445,663円
人件費・謝金 2,065,287円
旅費 5,592,104円
その他 8,134,409円
間接経費 6,273,000円
合計 36,510,463円

備考

備考
277,000円返還

公開日・更新日

公開日
2019-03-07
更新日
-