本邦における反復発作性運動失調症の実態把握調査研究

文献情報

文献番号
201711054A
報告書区分
総括
研究課題名
本邦における反復発作性運動失調症の実態把握調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-003
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 正紀(大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学)
研究分担者(所属機関)
  • 水澤 英洋(国立精神・神経医療研究センター)
  • 石川 欽也(東京医科歯科大学 医学部附属病院 長寿・健康人生推進センター)
  • 杉浦 嘉泰(福島県立医科大学神経内科学)
  • 久保田 智哉(大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
1,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
反復発作性運動失調症(episodic ataxia:EA)は、間欠的な運動失調を呈する希少疾患であり、根本的な治療法が存在しない難病である。主に国外の研究により、現在8つの病型が知られており、EA2型(EA2)が最多、EA1型が次に多いとされている。ともに常染色体優性遺伝の遺伝病であり、EA2はカルシウムチャネル、EA1はカリウムチャネル遺伝子に変異を持つ。本邦におけるEAについては、EA2の症例報告が散見されるものの、遺伝子診断確定例は数例にとどまり、各病型の有病率・自然歴など実態は不明である。失調に対してアセタゾラミドがEA2の50-75%で有効という報告もあり、正確な診断は重要である。本研究は、本邦におけるEAの実態を把握するとともに、神経内科医・小児神経科医の協力を得て、EA患者の診断・治療体制の基盤を作ることを目的とした。
研究方法
EA診療に携わる可能性の高い医療機関に対し、郵送による記述式質問表(資料1)を用いた一次調査を行った。EA診療の経験の有無、臨床診断のみで診療をしているか、遺伝子解析まで施行しているか、など本邦におけるEA診療の実態を把握できる内容を盛り込むようにした。また、前述のような事実確認条項とは別に、典型的でない軽症の失調症状患者に対して脳波検査まで実施しているかどうかなど、意識調査の内容も盛り込んだ。
(倫理面への配慮)
質問票を含めた研究計画について研究代表機関での倫理委員会での審査を完了した。
結果と考察
平成30年1月中旬に日本神経学会、てんかん学会ならびに日本小児神経学会の研修認定施設の責任者宛に送付し、2月28日までに回収できたアンケート結果について集計を行った。全体で576施設に送付し、計259施設より回答を得た(回収率 45.0%)。内訳は、日本神経学会教育施設 376施設中155施設、小児神経学会教育施設145施設中80施設、てんかん学会教育施設(神経学会との重複除)57施設中24施設であった。EAの経験施設は、全部で21施設、29症例であり、EA1が2例、EA2が19例、その他が1例、不明無記載が7例であった。遺伝子解析施行例は9例で、全てEA2であった。
EA診療に携わる可能性の高い医療機関からの一次調査の結果、29例のEAの経験例があることがわかり、希少疾患であることが再認識された。遺伝子解析施行はその半数に満たず、全てEA2であった。本邦におけるEAの大部分がEA2であるという従来の見解を支持するデータである。有病率の推定のために、頭痛・てんかん・積水小脳変性症の経験数は情報を取得したが、それら自体が施設により大きな幅があった。有病率の推定には更なる検討を要する。また、今回、存在が示唆された29例について、その臨床的特徴について二次調査を通じて行っていくことが、本邦でのEAの実態を把握することに繋がると考えられる。
結論
本年度行った一次調査で、本邦では29例のEAの存在が示唆され、希少疾患であることがあらためて確認された。

公開日・更新日

公開日
2018-05-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711054Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,690,000円
(2)補助金確定額
1,690,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 424,524円
人件費・謝金 392,317円
旅費 31,940円
その他 451,219円
間接経費 390,000円
合計 1,690,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2019-02-22
更新日
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