小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患の移行期を包含し診療の質の向上に関する研究

文献情報

文献番号
201711036A
報告書区分
総括
研究課題名
小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患の移行期を包含し診療の質の向上に関する研究
課題番号
H28-難治等(難)-一般-021
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
仁尾 正記(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 黒田 達夫(慶應義塾大学 医学部)
  • 窪田 正幸(新潟大学 医歯学総合研究科)
  • 佐々木 英之(東北大学 病院小児外科)
  • 須磨崎 亮(筑波大学 医学医療系)
  • 清水 俊明(順天堂大学 医学部)
  • 安藤 久實(愛知県心身障害者コロニー・発達障害研究所)
  • 島田 光生(徳島大学 大学院医歯薬学研究部)
  • 田口 智章(九州大学 大学院医学研究院)
  • 浜田 吉則(関西医科大学)
  • 神澤 輝実(東京都立駒込病院)
  • 虫明 聡太郎(近畿大学 医学部奈良病院小児科)
  • 林 久允(東京大学 大学院薬学系研究科)
  • 玉井 浩(大阪医科大学)
  • 工藤 豊一郎(茨城県済生会水戸済生会総合病院小児科)
  • 田尻 仁(大阪急性期・総合医療センター・臨床研究支援センター)
  • 呉 繁夫(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 乾 あやの(済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科)
  • 依藤 亨(大阪市立総合医療センター 小児代謝・内分泌内科)
  • 金森 豊(国立成育医療研究センター 臓器・運動器病態外科部)
  • 正宗 淳(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 竹山 宜典(近畿大学 医学部)
  • 成瀬 達(みよし市民病院)
  • 石黒 洋(名古屋大学 総合保健体育科学センター)
  • 滝川 一(帝京大学 医学部)
  • 田中 篤(帝京大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
11,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は小児期発症の希少肝胆膵疾患患者が抱える問題を解決し、最終的に当該疾患の診療水準のさらなる向上に貢献することである。現在、各疾患の共通の診断基準と重症度分類が作成されているが、調査研究を重ねてより現状に即した基準や分類の見直しを行うと同時に診療ガイドライン(CPG)の作成・普及および改訂が必要である。本研究は平成26年度から実態把握と診断基準・重症度分類、CPG作成を目指した研究「小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患における包括的な診断・治療ガイドライン作成に関する研究」を継続、発展することを基本とする。以上の状況で、小児期から成人期までを切れ目なく捉え、医療水準の向上を通じて患者の療育環境を改善するための研究が必要である。本研究の特色は、関連する学会・研究会を中心に研究班を結成した既存の研究班を発展させ、さらに成人診療関連学会との連携を強化することにより移行期医療を包含して研究することである。
研究方法
本研究では、以下の1-12の各疾患の研究および包括的研究として移行期医療を見据え、成人症例を中心とした調査研究と非専門医に対する周知に対する研究活動を行う。
研究対象疾患:
1.胆道閉鎖症
2.アラジール症候群
3.遺伝性膵炎
4.先天性胆道拡張症
5.家族性肝内胆汁うっ滞症
6.カロリ病
7.肝内胆管減少症
8.原因不明肝硬変症
9.先天性門脈欠損症
10.新生児ヘモクロマトーシス
11.先天性高インスリン血症
12.嚢胞性線維症
研究方法は以下の通りである。
1) 診断基準・重症度分類を作成または改訂するための調査研究を行う。この調査では、当該疾患を診療している医療機関・研究者に対するアンケート調査を実施する。
2) 現行の診断基準・重症度分類の問題点を抽出して、必要な改訂を行う。
3) CPGの作成または現行CPGの問題点の抽出し改訂を行う。
4) 成人症例を中心とし、重症度分類を含めた医学的状況ならびに就学就業状況を含めた社会的状況についての調査研究を行う。この調査では当該疾患を診療している医療機関を通じたアンケート調査を実施する。医学的状況については1)の調査と連動して実施し、社会的状況については担当医師を介して患者本人へのアンケート調査を実施する。
5) 非専門医に対する適切な周知に関する必要項目の検討を行う。このために、当該疾患を診療する可能性のある成人診療科へのアンケート調査を実施する。
結果と考察
診療ガイドラインの作成については、既に完成している疾患や次回改定に向けた作業が開始されている疾患もある一方で、きわめて希少で、疾患概念の十分なコンセンサスが得られるにいたっていない疾患や、診断基準や重症度分類の見なおし作業中の疾患もあり、それぞれのレベルに応じた作業が進行中である。トランジションの問題は患者にとって重要であるが、とくに小児医療者にとって切実な問題となっている。今回、主に成人疾患を扱う「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班との連携による作業が開始された。小児期発症の希少疾患のトランジションに関する諸問題についての討論が行われた結果、当該疾患患者が成人の医療機関を受診した際に参考となる診療指針の必要性を確認、その作成に向けての調査研究が開始された。また本研究班は成人を含む肝胆膵疾患の主要学会・研究会の医療者が一堂に会して検討を行い、それぞれの疾患の特徴や経過に応じて、理想的なトランジションを追及することができる貴重な組織体制が構築されている。さらなる調査研究に基づき、小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患の標準的な治療法を示す診療ガイドラインを提示し、その普及を図るとともに、小児期医療者と成人期医療者が密に連携して、よりスムースなトランジションを図って診療の質の向上を達成することが期待される。
結論
小児期発症の稀少難治性肝胆膵疾患の診療水準を高レベルで均てん化し、理想的なトランジション体制を図るための研究が徐々に進行している。専門医療職のコンセンサスに基づき、かつ患者にとって有用性の高い診療ガイドライン、あるいはこれに準じた指針形成に向けて、個々の疾患の状況に応じて、関連する学会、研究会間の連携を深めて作業を継続している。小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患をトランジションまで包含して扱うためには、本研究班で構築された全日本的な学会連携の枠組みを継続的に活用することが重要である。

公開日・更新日

公開日
2018-06-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711036Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,950,000円
(2)補助金確定額
14,932,000円
差引額 [(1)-(2)]
18,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,420,186円
人件費・謝金 2,820,074円
旅費 2,217,692円
その他 3,024,686円
間接経費 3,450,000円
合計 14,932,638円

備考

備考
18000円返還

公開日・更新日

公開日
2019-02-14
更新日
-