ホルモン受容機構異常に関する調査研究

文献情報

文献番号
201711014A
報告書区分
総括
研究課題名
ホルモン受容機構異常に関する調査研究
課題番号
H27-難治等(難)-一般-031
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
赤水 尚史(和歌山県立医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 正信(群馬大学 大学院医学系研究科)
  • 廣松 雄治(久留米大学 医療センター)
  • 大薗 惠一(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 杉本 利嗣(島根大学 医学部)
  • 岡崎 亮(帝京大学 ちば総合医療センター)
  • 片桐 秀樹(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 小川 渉(神戸大学 大学院医学研究科)
  • 福本 誠二(徳島大学 先端酵素学研究所)
  • 谷澤 幸生(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 海老原 健(自治医科大学 医学部)
  • 三宅 吉博(愛媛大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
6,844,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、ホルモン受容機構異常に起因する疾患の病態を解明し、それらの疾患の診断基準や治療指針を策定することである。ホルモン受容機構異常に起因する疾患の中には、その頻度や臨床的特徴が明らかになっておらず、標準的な治療法が確立されていない疾患が多く存在する。本研究班では、そのような難病のうち、 (1)甲状腺中毒性クリーゼ、(2)悪性眼球突出症、(3)粘液水腫性昏睡、(4)甲状腺ホルモン不応症、(5)偽性副甲状腺機能低下症、(6)くる病・骨軟化症、(7)低Ca 血症性疾患、(8)ビタミンD欠乏・不足症、糖尿病部会では、(9)インスリン抵抗症(インスリン受容体異常症 A型,B型,亜型)、(10) Wolfram症候群、Wolfram症候群関連疾患、(11)脂肪萎縮症 について、疾患の実態を把握し、それに基づいた診断基準・治療指針を策定することによって、それらの疾患に苦しむ患者の診断と治療の発展に貢献することを目標としている。
研究方法
本調査研究は、①全国患者数や臨床的特徴の疫学調査による基盤的情報の収集、②診断基準・治療指針案の作成、③関連学会の学術集会やホームページ上への素案の公表、④パブリックコメントの募集、⑤関連学会の承認を経た後の、診断基準・治療指針の確定・公表、⑥多施設前向き調査、⑦診断基準・治療指針の改定 といった研究手法をとっている。日本内分泌学会、小児内分泌学会、日本甲状腺学会、日本骨代謝学会、日本糖尿病学会などと連携し専門部会会議や全国疫学調査を行い、解析結果および海外を含む最新の知見をもとにホルモン受容機構異常に起因する上述の疾患頻度や臨床的特徴の実態を把握する。それと並行して各疾患の診断基準および治療指針の草案を作成する。作成した診断基準・治療指針は、各学会承認を経て、専門医や一般医家に周知と理解を深めるために学会ホームページや刊行物を通じて公表する。研究全般において、被験者保護の観点を踏まえ、医学研究に関する倫理指針に則し実施する。
結果と考察
これまでに、『甲状腺中毒性クリーゼの診療ガイドライン』、『バセドウ病悪性眼球突出症の診断基準と治療指針』、『くる病・骨軟化症診断マニュアル』、『甲状腺ホルモン不応症の診断基準と重症度分類』『ビタミンD不足・欠乏の判定指針』を、公表した。本年度は、『バセドウ病悪性眼球突出症の診断基準と治療指針』の改定を行ない、『甲状腺ホルモン不応症の遺伝子診断の手引き』、『インスリン受容体異常症の診断基準案および重症度分類案』を策定、公表した。また、甲状腺部会で取り扱う調査研究課題に、『甲状腺クリーゼ疾病登録システム開発』を新たに加えた。これらの診断基準・治療指針の策定によって、診断の確実性を高め、より均質かつ精度の高い疾患情報を得られることが期待される。現在、多施設前向きレジストリ研究の準備も行っている。診断基準・治療指針が未策定の課題においては、関連学会を通じて、全国患者数や臨床的特徴の疫学調査を実施している。
各疾患の現在の進捗状況は、以下の通りである。
(1)甲状腺中毒性クリーゼ:多施設前向きレジストリ研究開始
(2)悪性眼球突出症:日本甲状腺学会のホームページに「バセドウ病悪性眼球突出症の診断指針と治療指針2018」を公開
(3)粘液水腫性昏睡:診断基準を策定
(4)甲状腺ホルモン不応症:「甲状腺ホルモン不応症の診断基準、重症度分類、遺伝子診断の手引き」を作成し、日本甲状腺学会のホームページに公表
(5)偽性副甲状腺機能低下症:診断基準改定に向けて、「偽性副甲状腺機能低下症とその類縁疾患および副甲状腺機能低下症(二次性を除く)の全国疫学調査研究」を実施中
(6)くる病・骨軟化症:「くる病・骨軟化症診断マニュアル」を策定
(7)低Ca 血症性疾患:疫学調査中
(8)ビタミンD欠乏・不足症:「ビタミンD不足・欠乏の判定基準」を策定
(9) インスリン抵抗症:インスリン受容体異常症の疾患分類、診断基準、重症度分類案を作成
(10) Wolfram症候群、Wolfram症候群関連疾患:Wolfram症候群の診断基準改定に関する要否の確認中
(11)脂肪萎縮症:「脂肪萎縮症診療ガイドライン案(ver. 1.0)」を作成
結論
ガイドラインは、関連学会のホームページや刊行物を通じて専門医のみならず一般医家に提供する。ガイドラインが診療に活用され、迅速かつ的確な診断・治療により本症の予後改善に寄与することが期待される。診断基準・診療指針が策定済の疾患については、前向き多施設共同研究を実施することによって、今後の改定に向けた情報収集を行う。また、診断基準・診療指針が未策定の疾患については、診断・治療指針の早期策定が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2018-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

その他
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-05-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201711014B
報告書区分
総合
研究課題名
ホルモン受容機構異常に関する調査研究
課題番号
H27-難治等(難)-一般-031
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
赤水 尚史(和歌山県立医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 正信(群馬大学 大学院医学系研究科)
  • 廣松 雄治(久留米大学 医療センター)
  • 大薗 惠一(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 杉本 利嗣(島根大学 医学部)
  • 岡崎 亮(帝京大学 ちば総合医療センター)
  • 片桐 秀樹(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 小川 渉(神戸大学 大学院医学研究科)
  • 福本 誠二(徳島大学 先端酵素学研究所)
  • 橋本 貢士(東京医科歯科大学 大学院医歯学 総合研究科)
  • 谷澤 幸生(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 海老原 健(自治医科大学 医学部)
  • 三宅 吉博(愛媛大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、ホルモン受容機構異常に起因する疾患の病態を解明し、それらの疾患の診断基準や治療指針を策定することである。ホルモン受容機構異常に起因する疾患の中には、その頻度や臨床的特徴が明らかになっておらず、標準的な治療法が確立されていない疾患が多く存在する。本研究班では、そのような難病のうち、 (1)甲状腺中毒性クリーゼ、(2)悪性眼球突出症、(3)粘液水腫性昏睡、(4)甲状腺ホルモン不応症、(5)バセドウ病再燃再発、(6)偽性副甲状腺機能低下症、(7)くる病・骨軟化症、(8)低Ca 血症性疾患、(9)ビタミンD欠乏・不足症、糖尿病部会では、(10)インスリン抵抗症、(11) Wolfram症候群、Wolfram症候群関連疾患、(12)脂肪萎縮症 について、疾患の実態を把握し、それに基づいた診断基準・治療指針を策定することによって、それらの疾患に苦しむ患者の診断と治療の発展に貢献することを目標としている。
研究方法
本調査研究は、①全国患者数や臨床的特徴の疫学調査による基盤的情報の収集、②診断基準・治療指針案の作成、③関連学会の学術集会やホームページ上への素案の公表、④パブリックコメントの募集、⑤関連学会の承認を経た後の、診断基準・治療指針の確定・公表、⑥多施設前向き調査、⑦診断基準・治療指針の改定 といった研究手法をとっている。日本内分泌学会、小児内分泌学会、日本甲状腺学会、日本骨代謝学会、日本糖尿病学会などと連携し専門部会会議や全国疫学調査を行い、解析結果および海外を含む最新の知見をもとにホルモン受容機構異常に起因する上述の疾患頻度や臨床的特徴の実態を把握する。それと並行して各疾患の診断基準および治療指針の草案を作成する。作成した診断基準・治療指針は、各学会承認を経て、専門医や一般医家に周知と理解を深めるために学会ホームページや刊行物を通じて公表する。研究全般において、被験者保護の観点を踏まえ、医学研究に関する倫理指針に則し実施する。
結果と考察
平成27年から29年の3年間に『甲状腺中毒性クリーゼの診療ガイドライン』、『バセドウ病悪性眼球突出症の診断基準と治療指針』、『甲状腺ホルモン不応症の診断基準と重症度分類、遺伝子診断の手引き』『くる病・骨軟化症診断マニュアル』、『ビタミンD不足・欠乏の判定指針』を策定し、公表した。また、『インスリン受容体異常症の診断基準案および重症度分類(案)』、『脂肪萎縮症診療ガイドライン(案)」を作成し、その妥当性を検証中である。これらの診断基準・治療指針の策定によって、診断の確実性を高め、より均質かつ精度の高い疾患情報を得られることが期待される。診断基準・治療指針が未策定の課題においては、関連学会を通じて、全国患者数や臨床的特徴の疫学調査を実施している。
各疾患の現在の進捗状況は、以下の通りである。
(1)甲状腺中毒性クリーゼ:『甲状腺中毒性クリーゼの診療ガイドライン』を刊行。多施設前向きレジストリ研究開始
(2)悪性眼球突出症:日本甲状腺学会のホームページ上に「バセドウ病悪性眼球突出症の診断指針と治療指針2018」を公開
(3)粘液水腫性昏睡:診断基準を策定
(4)甲状腺ホルモン不応症:『甲状腺ホルモン不応症の診断基準、重症度分類、遺伝子診断の手引き』を作成し、日本甲状腺学会のホームページ上に公表
(5)再発・再燃するバセドウ病:白血球中のSiglec1 mRNA レベルがバセドウ病の再発(再燃)予測の有用性を検証
(6)偽性副甲状腺機能低下症:診断基準改定に向けて、「偽性副甲状腺機能低下症とその類縁疾患および副甲状腺機能低下症(二次性を除く)の全国疫学調査研究」を実施中
(7)くる病・骨軟化症:「くる病・骨軟化症診断マニュアル」を策定
(8)低Ca 血症性疾患:低Ca血症の診断基準の改訂、および診療ガイドラインの策定に向け、疫学調査中
(9)ビタミンD欠乏・不足症:「ビタミンD不足・欠乏の判定基準」を策定
(10) インスリン抵抗症:インスリン受容体異常症の疾患分類、診断基準、重症度分類案を作成
(11) Wolfram症候群、Wolfram症候群関連疾患:Wolfram症候群の診断基準改定に関する要否の確認中
(12)脂肪萎縮症:「脂肪萎縮症診療ガイドライン案(ver. 1.0)」を作成
結論
ガイドラインは、関連学会のホームページや刊行物を通じて専門医のみならず一般医家に提供する。ガイドラインが診療に活用され、迅速かつ的確な診断・治療により本症の予後改善に寄与することが期待される。診断基準・診療指針が策定済の疾患については、前向き多施設共同研究を実施することによって、今後の改定に向けた情報収集を行う。また、診断基準・診療指針が未策定の疾患については、診断・治療指針の早期策定が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2018-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

その他
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201711014C

収支報告書

文献番号
201711014Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,896,000円
(2)補助金確定額
8,896,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,093,583円
人件費・謝金 185,830円
旅費 724,506円
その他 1,840,081円
間接経費 2,052,000円
合計 8,896,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2019-03-18
更新日
-