文献情報
文献番号
201711003A
報告書区分
総括
研究課題名
早老症の実態把握と予後改善を目指す集学的研究
課題番号
H27-難治等(難)-一般-017
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
横手 幸太郎(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
- 井原 健二(大分大学 医学部)
- 花岡 英紀(千葉大学医学部附属病院)
- 小崎 里華(国立成育医療研究センター)
- 松尾 宗明(佐賀大学 医学部)
- 葛谷 雅文(名古屋大学未 来社会創造機構)
- 塚本 和久(帝京大学 医学部)
- 森 聖二郎(東京都健康長寿医療センター)
- 窪田 吉孝(千葉大学 大学院医学研究院)
- 中神 啓徳(大阪大学 大学院医学系研究科)
- 谷口 晃(奈良県立医科大学)
- 金子 英雄(国立病院機構長良医療センター)
- 谷口 俊文(千葉大学医学部付属病院)
- 竹本 稔(千葉大学大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
6,038,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
早老症は、全身に老化徴候が早発・進展する疾患の総称である。その代表例としてWerner症候群(以下WSと略)とHutchinson-Gilford Progeria症候群(以下HGPSと略)が知られる。WSは思春期以降に発症し、がんや動脈硬化のため40歳半ばで死亡する早老症であり、国内推定患者数は約2,000名、世界の報告の6割を日本人が占める。平成21~25年度の難治性疾患克服研究事業により25年ぶりの診断基準改訂と治療の標準化や世界初のWS診療ガイドラインが作成され、平成26年度の政策研究事業によりWS重症度分類が作成され、平成26年5月指定難病に指定された。一方、HGPSは1~2歳時に早老徴候が出現し、10歳代でほぼ全例が死亡する重篤な小児疾患である。平成25年度に施行した全国調査により、我が国で6名の患者が新規に同定している。このような背景の下、本事業ではエビデンスに基づく早老症の診断基準、重症度分類、診療ガイドラインの作成・改訂と普及を研究目的とした。
研究方法
難治性疾患実用化研究において施行されている「早老症レジストリー」と、すでに開始している医師主導治験とも情報を共有しつつ、①Mindsガイドラインセンターの「診療ガイドラインの手引き」に基づくWSの診療ガイドライン改訂、②WSの重症度分類の検証、③HGPSの診断基準作成を行なった。
結果と考察
WSの診療に関わる、下肢潰瘍治療、2. 糖尿病、3.脂質異常症、脂肪肝、4. サルコペニア、5 感染症、6.骨粗しょう症といったクリニカルクエスチョンに対して過去10年間のWSに関する症例報告の文献データベースを作成し、システマィクレビューを行い、診療ガイドラインをMindsガイドラインセンターの「診療ガイドラインの手引き」に基づいて改訂を行った。診療ガイドラインは全て英訳され、今後英文誌に報告予定である。解析結果の一部は既に英文誌に報告した。さらに重症度分類に関して、一部文言の改定を行った。
平成25年度に全国の200床以上の病院の小児科を対象にして一次アンケート調査を行い、続いて臨床症状に関するアンケート調査を行った。その結果、9名のHGPS患者の臨床所見に関する結果を得ることができた。これまで学会報告あった1名の所見と併せて、その臨床的特徴を解析した。そして平成27年8月、平成28年2月、8月開催の班会議にてHGPS患者の診断基準に関して審議が行われ、最終的に平成28年9月に診断基準が完成し、日本小児遺伝学会の承認を受け、英文誌にも掲載された。重症度分類も作成され、今後学会の承認を受ける予定である。
これまでの研究成果の国内外への発信や早老症に関する啓蒙、国内外の老化研究者との意見交換を目的に2019年2月に千葉県木更津で国際シンポジウムを企画開催した。この国際会議はアジアで初めての、ウェルナー、ブルーム、ロスムンド・トムソンのRECQヘリカーゼ関連早老症候群を対象としたもので、総勢135名(うち29名が外国人)の参加を得た。海外からの5名を含む計21名の患者様、ご家族も参加され、研究者と患者の間に活発な交流がなされた。
今後、我々は、①WS診療ガイドラインの普及啓蒙、②早老症レジストリー研究と連携した診療ガイドラインの検証、③その他の早老症研究 (Rothmund-Thomson症候群の現状把握、WS類似疾患の診断基準作成)、④HGPSの診療ガイドライン作成、⑤ WS、HGPSの早期診断の実現と小児成人期移行医療の推進、さらに⑥本研究の成果をベースとして新規研究課題が採択された、AMED「再生医療実現拠点ネットワークプログラム(疾患特異的iPS細胞の利活用促進・難病研究加速プログラム)」(課題名:早老症疾患特異的iPS細胞を用いた老化促進メカニズムの解明を目指す研究)および「老化メカニズムの解明・制御プロジェクト/個体・臓器老化研究拠点」(課題名:早老症に立脚したヒト老化病態の解明とその制御への応用)の研究推進を支援してゆく予定である。
平成25年度に全国の200床以上の病院の小児科を対象にして一次アンケート調査を行い、続いて臨床症状に関するアンケート調査を行った。その結果、9名のHGPS患者の臨床所見に関する結果を得ることができた。これまで学会報告あった1名の所見と併せて、その臨床的特徴を解析した。そして平成27年8月、平成28年2月、8月開催の班会議にてHGPS患者の診断基準に関して審議が行われ、最終的に平成28年9月に診断基準が完成し、日本小児遺伝学会の承認を受け、英文誌にも掲載された。重症度分類も作成され、今後学会の承認を受ける予定である。
これまでの研究成果の国内外への発信や早老症に関する啓蒙、国内外の老化研究者との意見交換を目的に2019年2月に千葉県木更津で国際シンポジウムを企画開催した。この国際会議はアジアで初めての、ウェルナー、ブルーム、ロスムンド・トムソンのRECQヘリカーゼ関連早老症候群を対象としたもので、総勢135名(うち29名が外国人)の参加を得た。海外からの5名を含む計21名の患者様、ご家族も参加され、研究者と患者の間に活発な交流がなされた。
今後、我々は、①WS診療ガイドラインの普及啓蒙、②早老症レジストリー研究と連携した診療ガイドラインの検証、③その他の早老症研究 (Rothmund-Thomson症候群の現状把握、WS類似疾患の診断基準作成)、④HGPSの診療ガイドライン作成、⑤ WS、HGPSの早期診断の実現と小児成人期移行医療の推進、さらに⑥本研究の成果をベースとして新規研究課題が採択された、AMED「再生医療実現拠点ネットワークプログラム(疾患特異的iPS細胞の利活用促進・難病研究加速プログラム)」(課題名:早老症疾患特異的iPS細胞を用いた老化促進メカニズムの解明を目指す研究)および「老化メカニズムの解明・制御プロジェクト/個体・臓器老化研究拠点」(課題名:早老症に立脚したヒト老化病態の解明とその制御への応用)の研究推進を支援してゆく予定である。
結論
今後、さらなる内科医・外科医・小児科医・臨床研究専門家・基礎研究者の連携・融合による集学的な取り組みを通じて、小児から成人までの「早老症」の予後改善が期待される。
公開日・更新日
公開日
2018-06-13
更新日
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