慢性期における脳卒中を含む循環器病診療の質の評価に関する研究

文献情報

文献番号
201709018A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性期における脳卒中を含む循環器病診療の質の評価に関する研究
課題番号
H29-循環器等-一般-005
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
安田 聡(国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
研究分担者(所属機関)
  • 坂田 泰史(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 辻田 賢一(熊本大学大学院生命科学研究部)
  • 中山 健夫(京都大学大学院医学研究科)
  • 豊田 一則(国立循環器病研究センター)
  • 宮本 恵宏(国立循環器病研究センター 循環器病統合情報センター)
  • 西村 邦宏(国立循環器病研究センター 予防医学・疫学情報部)
  • 中村 文明(国立循環器病研究センター循環器病統合情報センター)
  • 中尾 一泰(国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
  • 中尾 葉子(国立循環器病研究センター 予防医学・疫学情報部)
  • 宍戸 稔聡(国立循環器病研究センター 研究推進支援部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
7,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国における全国的循環器病データベースとして、循環器疾患診療実態調査JROAD(日本循環器学会主導, 全国循環器専門医研修施設・研修関連施設1327施設)と脳卒中データバンク(国立循環器病研究センター運営, 全国200対象施設)がある。本研究の目的は、これら既存のデータベースとNational Database(NDB)の電子レセプト情報を活用・整備して、①慢性期における脳卒中を含む循環器病診療及び急性期診療との診療連携体制の現状把握を行うこと(H29-30年度:データ抽出, H30-31年度:全国レベルでの実態評価)、②循環器病の再発や増悪(慢性心不全)による再入院の予防、急性期診療と慢性期診療のシームレスな連携のための評価指標を作成すること(H29年度:システマティックレビュー作成, H30年度: プロセス指標やアウトカム指標策定, H31年度:再入院リスク因子解明) ③脳卒中後遺症を含む介護実態を調査すること(H29-31年度)、により我が国における脳卒中を含む循環器病診療の質向上へとつなげることにある。
研究方法
我が国における全国的循環器病データベースとして、循環器疾患診療実態調査JROADと脳卒中データバンクがある。これら既存のデータベースとNational Data
base(NDB)の電子レセプト情報を活用する。
結果と考察
高齢化社会の我国において患者数増加が著しくその対策が求められている「心不全」をモデル疾患として本研究を進めた。医療の質指標(QI)の理論的背景、その策定法を基礎に、心不全診療に関するシステマティックレビューを行い、評価指標(QI)を検討した。心不全のQI候補は、基本的にすでに各国で定義され実用に供されている指標、および科学的根拠に基づく診療ガイドラインで推奨されている指標を候補として抽出した。循環器疾患診療実態調査(JROAD)-DPCデータベースでは、様式1(診療録情報)をもとに収集した解析データセットが3年間延べ~235万件にまで蓄積されている。2012-2014年度の3年間延べ216,157,例の心不全患者について解析すると 男; 75±13歳, 女; 81±12歳と入院患者の高齢化が著しいこと、本邦では3年間で20%が複数回の入院(再入院)していること、この再入院率は既報の心不全レジストリ(CHART-2; Circ J. 2015;79:2396-407.)での3年間再入院率:17%と同等であることが明らかになった。今後ナショナルデータベース(NDB)を用いて、心不全外来診療実態を分析することにより、心不全再発・再入院に至るリスクや診療の課題を明らかにする。脳卒中診療に関しては、脳卒中データバンクデータを解析して、脳卒中の再発例の特徴や急性期病院退院時の脳卒中スコア、自宅退院率とその関連因子について検討した。日本全体の人口構成と類似している延岡市において介護情報も含めた慢性期循環器疾患の診療実態を分析している。熊本大学付属病院の介護指示書のデータなどを用いた介護実態に関する調査では、①介護申請は脳血管疾患や認知症、整形疾患での申請が多いこと、②一方で心臓疾患での申請は一般に少なく、また介入も内服管理、バイタル確認が多く、具体的な塩分制限や体重管理指示は少ない という実態が明らかになった。
結論
入院データであるJROAD-DPCに加えてナショナルデータベース(NDB)レセプトデータも活用して、心不全外来診療実態についても分析することにより、心不全再発・再入院に至るリスクや診療の課題を明らかにすることが重要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2018-07-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-07-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201709018Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
10,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,917,000円
人件費・謝金 571,042円
旅費 2,751,220円
その他 2,454,617円
間接経費 2,307,000円
合計 10,000,879円

備考

備考
自己資金879円あり。

公開日・更新日

公開日
2018-10-17
更新日
-