文献情報
文献番号
201708003A
報告書区分
総括
研究課題名
全国がん登録と連携した臓器がん登録による大規模コホート研究の推進及び高質診療データベースの為のNCD長期予後入力システムの構築に関する研究
課題番号
H27-がん対策-一般-003
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
平田 公一(北海道公立大学法人札幌医科大学 医学部 消化器・総合、乳腺・内分泌外科)
研究分担者(所属機関)
- 森 正樹(大阪大学大学院消化器外科学)
- 伊佐地秀司(三重大学大学院医学系研究科肝胆膵・移植外科学)
- 石黒めぐみ(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科応用腫瘍学講座)
- 今村将史(札幌医科大学医学部消化器・総合、乳腺・内分泌外科)
- 岩月啓氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学)
- 上本伸二(京都大学医学研究科外科学講座肝胆膵・移植外科学分野)
- 海野倫明(東北大学大学院消化器外科学)
- 岡本高宏(東京女子医科大学医学部外科学第二講座)
- 沖田憲司(札幌医科大学消化器・総合、乳腺・内分泌外科 )
- 掛地吉弘(神戸大学大学院医学研究科食道胃腸外科学)
- 木下義晶(九州大学大学病院総合病院周産期母子医療センター小児外科)
- 桑野博行(群馬大学大学院・総合外科学講座)
- 小寺泰弘(名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学)
- 小林宏寿(東京都立広尾病院外科)
- 後藤満一(大阪府立病院機構大阪府立急性期・総合医療センター)
- 今野弘之(浜松医科大学外科学第二講座・消化器外科)
- 佐伯俊昭(埼玉医科大学国際医療センター・乳腺腫瘍科)
- 佐藤雅美(鹿児島大学大学院医歯学総合研究所循環器・呼吸器病学講座・呼吸器外科学分野)
- 柴田亜希子(国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター全国がん登録分析室)
- 竹政伊知朗(札幌医科大学医学部消化器・総合、乳腺・内分泌外科)
- 藤 也寸志(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター・消化器外科)
- 徳田 裕(東海大学医学部外科学系乳腺内分泌外科学)
- 中村清吾(昭和大学医学部・乳腺外科)
- 西山正彦(群馬大学大学院医学系研究科・病態腫瘍薬理学)
- 野々村祝夫(大阪大学泌尿器科学)
- 袴田健一(弘前大学消化器外科学)
- 長谷川潔(東京大学大学院医学系研究科・肝胆膵外科学)
- 原 勲(和歌山県立医科大学・泌尿器科)
- 平野 聡(北海道大学消化器外科学分野Ⅱ)
- 福井次矢(聖路加国際大学・聖路加国際病院)
- 藤原俊義(岡山大学医歯薬学総合研究科・消化器外科学)
- 古川俊治(慶應義塾大学院法務研究科)
- 堀口明彦(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院消化器外科)
- 三上幹男(東海大学医学部専門診療学系産婦人科学)
- 宮田裕章(東京大学大学院医学系研究科・医療品質評価学講座)
- 横井香平(名古屋大学大学院医学系研究科・呼吸器外科学)
- 渡邉聡明(東京大学大学院医学系研究科・腫瘍外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
15,708,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者渡邉聡明先生が平成29年9月29日にご逝去されたことにより、平成29年10月31日付で
厚労省に分担研究項目交替届を提出し、渡邉聡明先生の研究項目を小林宏寿先生に引き継いだ。
渡邉聡明先生(東京大学大学院医学系研究科 教授)
研究項目:「大腸癌診療ガイドライン推奨内容の吟味に関する臨床研究の実情と将来」
(11月1日以降小林宏寿先生に引き継いだ)
小林宏寿先生(東京都立広尾病院 部長)
研究項目:「大腸癌診療のがん登録情報を応用した臨床研究」
「大腸癌診療ガイドライン推奨内容の吟味に関する臨床研究の実情と将来」
(11月1日以降)
このことにより、渡邉聡明先生に配分していた分担研究費の残額を小林宏寿先生に追加配分した。
渡邉聡明先生使用分分担研究費(当初配分された120,000円のうち70,559円)
渡邉聡明先生分担研究費残額(当初配分された120,000円のうち49,441円)
小林宏寿先生分担研究費合計(当初配分された120,000円に49,441円を加算し、合計169,441円)
よって
渡邉聡明先生分担研究費 70,559円
小林宏寿先生分担研究費 169,441円 とした。
研究報告書(概要版)
研究目的
皆医保険制度に支えられ本邦のがん医療は、国民へ平等に高度な医療を提供しうる体制にあり、国際的にも評価の高い医療制度と評価されている。その結果、アウトカムにどのような影響を与えているのか、今後に必要となる新規医療の開発にどう貢献してきたか、の検証は重要となっている。これまで、本邦においては診療データを精緻に科学的に分析しうる体制は十分とは言えず、本邦のデータは国際的には必ずしも注視されてこなかった。信頼に向けたデータベース体制の為の展開の糸口として、(A)既存の臓器がん登録体制の法的・倫理的支援に向けた研究、(B)臓器がん登録に関し、既存の高い信頼性を有する第三者機関との研究協力と実践の為の体制確立、(C)「(全国)がん登録」と「臓器がん登録」の連結と活用、その倫理の周知・徹底が要求されている。その上で、(D)既存の臓器がん登録データを活用した臨床研究の推進が必要となっている。
学会間の壁を取り除いた連絡体制を構築する中で、新規のガイドライン作成体制および臓器がん登録体制を共有し、メガデータ等によるがん医療の臨床研究・医療評価へ寄与しうる独創的、学会間横断的な組織造りの為の基盤研究を目的とした。
学会間の壁を取り除いた連絡体制を構築する中で、新規のガイドライン作成体制および臓器がん登録体制を共有し、メガデータ等によるがん医療の臨床研究・医療評価へ寄与しうる独創的、学会間横断的な組織造りの為の基盤研究を目的とした。
研究方法
研究対象者については、臓器がん診療ガイドラインを発刊し、臓器がん登録を実施(予定を含む)する学術団体(研究会を含む)から、研究分担者を推薦いただいた。また、上記条件とは別に本研究課題の研究遂行に必須な人材にあっては研究代表者による指名、そして必要性に応じて研究協力者を依頼した。
研究内容については、(1)推奨医療に関する臨床研究に全国がん登録データと臓器がん登録との結びつけに関する方針・企画・課題の抽出とその解決策、(2)「臓器がん登録」を実施する学会のデータ活用方針・臓器がん登録体制の充実化と課題そして解決策、を対象とした。研究課題内容別に三種の分科会組織を構成した。分科会Ⅰは主課題に関する総論的な課題研究、分科会ⅡはNCD等第三者機関登録を活用し、その応用研究の促進、分科会Ⅲは臓器がん登録を第三者機関に委ねる計画を確定しえていない組織における今後の展開に関しての課題解決研究を行なった。個別の研究成果を全体会議にて集約し研究班内で相互確認し、研究成果としてまとめた。
研究内容については、(1)推奨医療に関する臨床研究に全国がん登録データと臓器がん登録との結びつけに関する方針・企画・課題の抽出とその解決策、(2)「臓器がん登録」を実施する学会のデータ活用方針・臓器がん登録体制の充実化と課題そして解決策、を対象とした。研究課題内容別に三種の分科会組織を構成した。分科会Ⅰは主課題に関する総論的な課題研究、分科会ⅡはNCD等第三者機関登録を活用し、その応用研究の促進、分科会Ⅲは臓器がん登録を第三者機関に委ねる計画を確定しえていない組織における今後の展開に関しての課題解決研究を行なった。個別の研究成果を全体会議にて集約し研究班内で相互確認し、研究成果としてまとめた。
結果と考察
本年度の研究結果の概要を示す。
平成29年度の研究成果は、各種の臓器がん登録を牽引する学会等に於いて、(1)直近の「ヒトを対象とする臨床研究に関する倫理指針」に呼応する登録基盤体制整備とその内容の共有化に関する研究、(2)ビッグデータを活用する疫学的臨床研究の体制の在り方に関する体制、即ち第三者機関への登録、第三者機関による客観的分析と実践、(3)医療の質向上に向けた各種臓器がん登録を応用した研究動向の実情・成果、(4)全国がん登録のデータの活用可能時期へ向けた体制作りの確認とその周知、(5)国際的貢献を果たしうるエビデンス創生への学術団体としての努力状況と実情成果、(6)上記研究課題の各々における各種課題解決に関する研究、を行なった。その結果、目的とした臓器がん登録の在り方に関しコンセンサス形成を確実に進展させることができた一方で、時間の経過と共に学会間の実態・進展度に徐々に開きを生じている実態が確認された。その大きな背景には財務状況の余裕の有無の程度、学会役員等の認識の差、等の存在が明らかとなった。今後は、一貫性ある横断的関係組織構築が不可欠との結論に至った。本研究班が唯一の学会横断的な活動・研究を行なえているとの認識の下、その達成への為の解決策項目を明らかにしえた。
平成29年度の研究成果は、各種の臓器がん登録を牽引する学会等に於いて、(1)直近の「ヒトを対象とする臨床研究に関する倫理指針」に呼応する登録基盤体制整備とその内容の共有化に関する研究、(2)ビッグデータを活用する疫学的臨床研究の体制の在り方に関する体制、即ち第三者機関への登録、第三者機関による客観的分析と実践、(3)医療の質向上に向けた各種臓器がん登録を応用した研究動向の実情・成果、(4)全国がん登録のデータの活用可能時期へ向けた体制作りの確認とその周知、(5)国際的貢献を果たしうるエビデンス創生への学術団体としての努力状況と実情成果、(6)上記研究課題の各々における各種課題解決に関する研究、を行なった。その結果、目的とした臓器がん登録の在り方に関しコンセンサス形成を確実に進展させることができた一方で、時間の経過と共に学会間の実態・進展度に徐々に開きを生じている実態が確認された。その大きな背景には財務状況の余裕の有無の程度、学会役員等の認識の差、等の存在が明らかとなった。今後は、一貫性ある横断的関係組織構築が不可欠との結論に至った。本研究班が唯一の学会横断的な活動・研究を行なえているとの認識の下、その達成への為の解決策項目を明らかにしえた。
結論
「臓器がん登録」と「(全国)がん登録」のそれぞれのデータは相互に補完し合うものと捉えられる。そのことによって医療の質を担保・向上させることは可能で、正確な生命予後、がん再発状況の有無の情報等が確認できることは極めて望ましい。今後は、情報の早期乗り入れを可能とし、研究成果の適時適切な可視化体制を築くことが重要で、国際的にも評価の高いがん情報活用体制としての基盤を構築することが可能と考えられる。これらについて、学術団体間で横断的に相互に確認し、その域に到達していない状況にある関係学術団体にも早期導入を積極的に働きかけることとした。研究班として実施したアンケートを分析したところ、可能な限りの臓器がん登録の推進とその研究を促すことにより、信頼性の高いがん診療情報データベースの基盤作りが出来、がん医療の望ましい未来展開の環境造りにつながることが期待できると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2018-05-29
更新日
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