母子の健康改善のための母子保健情報利活用に関する研究

文献情報

文献番号
201707003A
報告書区分
総括
研究課題名
母子の健康改善のための母子保健情報利活用に関する研究
課題番号
H28-健やか-一般-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
山縣 然太朗(山梨大学 大学院総合研究部 医学域 基礎医学系 社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 永光 信一郎(久留米大学 医学部 小児科)
  • 松浦 賢長(福岡県立大学 看護学部)
  • 山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター)
  • 松田 義雄(独立行政法人 地域医療機能推進機構 三島総合病院)
  • 市川 香織(文京学院大学 保健医療技術学部)
  • 尾島 俊之(浜松医科大学 医学部 健康社会学講座)
  • 菅原 準一(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
  • 上原 里程(埼玉県立大学 健康開発学科 健康行動科学専攻)
  • 森 臨太郎(国立成育医療研究センター 政策科学研究部)
  • 近藤 尚己(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 吉田 穂波(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
32,076,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、「健やか親子21(第2次)」の課題である母子保健領域における格差の是正および母子保健情報の利活用の推進のために、乳幼児健康診査(以下、健診)を中心とした市町村事業のデータの利活用システムの構築と母子保健情報利活用のガイドライン・マニュアルを作成することである。
研究方法
研究内容は次の3点である。
1.母子保健情報利活用の推進のための環境整備に関する研究
・乳幼児健診情報の入力システムの構築
・「取り組みのデータベース」および「母子保健・医療情報データベース」の構築・運営
2.特定妊婦への支援に関する医療機関と行政機関との連携に関する研究
3.母子保健領域に関する研究およびシステマティック・レビュー
結果と考察
1.母子保健情報利活用の推進のための環境整備として、情報の利活用の更なる促進を図るため、本研究班で開発し、昨年度に改修した「乳幼児健診情報システム」の更なる改修を行い、システムの汎用性と利便性の向上に努めた。また、全国の自治体から「健やか親子21(第2次)」に関する母子保健事業が登録される「取り組みのデータベース」に関しては、多くの自治体から登録があったが、本データベースの意義や活用方法が十分理解されていない可能性が考えられることから、本データベースの情報を発信し、日常業務へより一層活かしてもらえるよう努めていく必要がある。そして、今年度は研究班主催の情報の利活用に関する研修会を開催し、参加者の多くから好評を得た。来年度は今年度の研修会を踏まえ、改訂を加えた研修プログラムの構築を目指す。また、「健やか親子21(第2次)」の中間評価に向けて、および乳幼児健診の標準化に向けての検討も行い、来年度には詳細な検討結果を出していく予定である。

2.特定妊婦への支援に関する医療機関と行政機関との連携についての研究では、本年度は、医療機関においてハイリスク母児を有効に抽出し妊娠中から行政機関との連携をスムーズにするツールを開発し、複数のモデル地域で実践中である。今後は別地域においてその有用性を検証する予定である。また、宮城県においては全市町村の医療機関と行政の連携状況についての調査を実施し、福岡県では妊娠届出時から思春期まで全ての親子の母子保健情報を集積していく方法を市町村で構築する際の課題を抽出するための介入研究を行った。本ツールが全国に展開しその有用性がさらに確認されることで、妊娠期から支援を必要とする妊婦が有効に抽出され、妊娠中から行政機関と共同して支援に当たることが可能になることが示され、特に0歳、0か月の子供虐待、産褥期の母親の自殺や心中を減らすことができることが期待される。

3.研究分担者によって、福岡県、愛知県、静岡県等特定の地域における母子保健領域に関する研究が実施され、社会的なハイリスクな妊婦とその児の転帰についての実態や地域が抱える問題の要因分析等の結果が明らかにされた。また、全国の市区町村における若年出産の割合の可視化や、産後ケアの普及と連携、市町村における母子保健対策の連携先に関する研究、予防接種、事故リスクソーシャル・キャピタルと子育て中の女性の喫煙およびその経済状況による格差等の研究が実施された。そして、小児保健・医療領域における積極的予防に関する系統的レビューに関する研究も実施し、母子保健領域に関する研究を多方面から検討することができ、エビデンスを集積することができた。
結論
1.母子保健情報利活用の推進のための環境整備として、「乳幼児健診情報システム」の改修、「取り組みのデータベース」および「母子保健・医療情報データベース」の運営、情報の利活用に関する研修会を実施した。また、「健やか親子21(第2次)」の中間評価に向けて、および乳幼児健診の標準化に向けての分析も進めており、来年度には詳細な検討結果を出していく予定である。

2.医療機関と行政機関が連携して特定妊婦への支援できる体制の構築に向け、大阪と東京でツールと体制についての検証を実施中である。今後は他の地域でも実施し、有効性の確認をしていく。

3.特定の地域や全国規模において、妊娠期から乳幼児期に関する研究を実施した。また小児保健・医療領域における積極的予防に関する系統的レビューに関する研究を実施し、母子保健領域に関する研究を多方面から検討することができ、エビデンスを集積することができた。

公開日・更新日

公開日
2018-11-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-11-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201707003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
37,236,000円
(2)補助金確定額
37,236,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,015,967円
人件費・謝金 6,445,514円
旅費 4,833,767円
その他 18,795,665円
間接経費 5,160,000円
合計 37,250,913円

備考

備考
不足分を自己負担金で補填したため。

公開日・更新日

公開日
2018-11-01
更新日
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