文献情報
文献番号
201706024A
報告書区分
総括
研究課題名
神経難病に対するロボット神経工学治療の社会実装ニーズの把握
研究課題名(英字)
-
課題番号
H29-特別-指定-024
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
秋田 定伯(福岡大学 医学部 形成外科・創傷再生学講座)
研究分担者(所属機関)
- 中島 孝(国立病院機構新潟病院・院長)
- 桧垣 靖樹(福岡大学・スポーツ科学部・教授)
- 大慈弥 裕之(福岡大学・医学部形成外科・教授)
- 三浦 伸一郎(福岡大学・心臓血管内科学・教授)
- 谷口 雅彦(聖マリア病院・部長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
2,789,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ロボット治療機器「HAL医療用下肢タイプ」(以下、医療用HALと呼ぶ)は、緩徐進行性の神経・筋疾患のうち計8疾患の患者の歩行機能を改善する目的で、2015年11月に薬事承認を取得し、2016年4月から保険適用された。
最先端の技術を活用した、国際展開が可能な医療機器の実用化推進については、「健康・医療戦略」において繰り返し強調されており、緊急に対応すべき事項であるが、特に単関節HAL(上肢用)を用いた「「ロボット神経工学治療(サイバニクス*治療)」を、医療現場にさらに普及させるためには、有効性および安全性の評価や、人材育成等、様々な課題があると考えられる。また、より効果が期待できる患者の基準、介入のタイミング、客観的な効果検証法等のエビデンスに基づいた診療ガイドラインを早期に作成することが望まれるが、これまで市販後調査やレジストリーの構築等は行われておらず、十分なエビデンスは存在しない。
本研究では、神経難病領域における「ロボット神経工学治療(サイバニクス治療)」の社会実装ニーズを把握することを目的とした調査を行ない、基礎的データを収集する。特に車いす生活の神経難病(沖縄型神経原性筋萎縮症)、筋難病(遠位型ミオパチー)患者さんの上肢単関節HAL(保健未承認)を用いて、実装ニーズを把握することを目的とする。
最先端の技術を活用した、国際展開が可能な医療機器の実用化推進については、「健康・医療戦略」において繰り返し強調されており、緊急に対応すべき事項であるが、特に単関節HAL(上肢用)を用いた「「ロボット神経工学治療(サイバニクス*治療)」を、医療現場にさらに普及させるためには、有効性および安全性の評価や、人材育成等、様々な課題があると考えられる。また、より効果が期待できる患者の基準、介入のタイミング、客観的な効果検証法等のエビデンスに基づいた診療ガイドラインを早期に作成することが望まれるが、これまで市販後調査やレジストリーの構築等は行われておらず、十分なエビデンスは存在しない。
本研究では、神経難病領域における「ロボット神経工学治療(サイバニクス治療)」の社会実装ニーズを把握することを目的とした調査を行ない、基礎的データを収集する。特に車いす生活の神経難病(沖縄型神経原性筋萎縮症)、筋難病(遠位型ミオパチー)患者さんの上肢単関節HAL(保健未承認)を用いて、実装ニーズを把握することを目的とする。
研究方法
ず臨床研究内容の周知と患者会(希の会=沖縄型、PADM=遠位型)には各々平成29年8月13日、平成29年11月8日 デモ装着とともに、臨時患者会で臨床研究内容説明を行った。また、10月8日 沖縄県 宮古島 なりやまあやぐ 音楽祭(一般音楽家参加のオープン コンペ)に沖縄型 患者会(希の会)代表 我如古盛健氏および参議院議員 秋野公造氏の共演で40組中8組の予選通過となった。10月6日に上肢HAL装着しトレーニング実施していた。 平成29年9月27日から 福岡大学 医に関する倫理委員会に研究申請し続けていたが、平成30年5月29日 現在 審査開始されていない。よって、近隣協力施設を探し、福岡県 久留米市内 聖マリア病院 谷口雅彦 を分担研究者に加え、平成30年3月5日 聖マリア病院での希の会 我如古盛健代表参加のもと、キックオフ会議を開催、3月19日~22日 我如古盛健氏に連日外来受診形式で単関節(上肢)HALを用いた臨床研究実施した。3月21日-22日はPADM会(遠位型ミオパチー)代表 織田友里子氏にも臨床研究装着した。
結果と考察
上肢HALを用いると、上肢の運動改善に繋がることが、デモ(8月13日、11月18日)の患者会合同説明会におけるデモで認められた。装着トレーニング実施後数日まで手指の可動域改善、筋力向上が維持された。10月8日の一般参加型の音楽祭コンペにおいても10月6日の上肢HALトレーニングにより、三味線演奏が良好となり、演奏後の易疲労感も軽減した。3月19日-22日の臨床研究では連日の装着(沖縄型)の為、装着終了後のROM改善、筋力維持がより長期間継続した。また1日ではあったが医療施設での体型だった上肢HAL装着により、遠位型ミオパチー患者(PADM会 代表織田友里子)も車イス操縦のjog stickの操作性向上が認められた。臨床研究報告は谷口雅彦分担報告に詳述あるが、今後更に生検を含めた侵襲検査を含めて深化していく必要があると思われた。
結論
神経原性(沖縄型神経原性筋萎縮症)患者、筋原性(遠位型ミオパチー)患者における上肢HALの実装では、筋力向上、可動域改善、疲労感の減少 改善、巧緻性の向上 等の症状改善を認める事があり、装着後一定期間の症状改善の維持も認められたため、そのメカニズムの更なる解明と臨床的改善方法の確立(頻度、間隔、都度強度、回数、 セット数)が課題となった。
公開日・更新日
公開日
2018-06-22
更新日
-