国際保健規則(IHR)に基づく合同外部評価に向けた実施体制と評価手法に関する研究

文献情報

文献番号
201706001A
報告書区分
総括
研究課題名
国際保健規則(IHR)に基づく合同外部評価に向けた実施体制と評価手法に関する研究
課題番号
H29-特別-指定-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 智也(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 浅見 真理(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 山口 一郎(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 温泉川 肇彦(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 松井 珠乃(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
  • 宮崎 義継(国立感染症研究所 真菌部)
  • 斎藤 嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
  • 大曲 貴夫(国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター)
  • 町田 宗仁(金沢大学 医学系国際保健学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
6,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
改正国際保健規則(IHR)に基づくコア・キャパシティ構築を強化するため、従来の自己評価方式から外部評価の視点(合同外部評価;JEE)を加えた、新たな「モニタリング・評価枠組み」へと移行しつつある。我が国は2018年第1四半期にJEEを受け入れることを決定した。しかし、公衆衛生危機管理体制について国際的基準に基づき国の体制を総括的に評価するのは初の試みである。また、評価項目は19項目もの分野があり、様々な分野(省庁・部局)が関係しており、従来の国内行政には馴染みが無いテーマや、従来の枠組みに跨る領域も含まれており、これまで検討をしたことのない視点での評価が含まれる。その中で、外部評価で正当な評価を得るためには、幅広い分野にわたる専門的知見と評価に関する国際的な動向を踏まえた適切な内部評価書を取りまとめる必要がある。一方でWHOが示す評価指標も未成熟な部分があり、専門的知見からの評価手法の妥当性に関するフィードバックを先進国として行う責任もある。本研究は、JEEの実施に関する国際的動向を明らかにし、評価体制と評価手法を確立することを目的とする。各技術分野について、各評価項目における関係領域を総合的に洗い出し、担当課とその分野の専門家が協働し、評価の検討と問題点の抽出を行う。また、ミッション終了後には評価団からの提言の我が国への適用について検討を行う事を目的とする。
研究方法
研究代表者は、実際にJEEを受検した諸外国の内部評価担当者へのヒアリング・実施状況調査ほか諸外国の評価資料の収集・整理を実施し、関係部局及び研究分担者との情報・作業共有プラットフォームを形成し、研究を促進する体制を構築した。加えて、作業手順の標準化、項目ごとの評価の全体調整のあり方について検討を行った。また、評価者を経験した者から実際のJEEの評価プロセスについて知見を得て、その進め方について意見交換した。研究代表者と研究分担者は、JEE Toolの全分野について諸外国の回答状況の調査を実施し、国内の状況と共に整理・検討し、JEEツールに示された質問項目について、実態や政策遂行状況を踏まえ回答内容について検討を行った。特に、国によって公衆衛生背景が異なる中で、国内施策の有効性を説明するには、国内の制度のみならず、海外の諸制度に関する知見が必要であり、また英語での行き届いた説明が必要であることから、評価書の英文資料作成の際には、専門的観点から知見を提供し、文書名の英訳の整理や対訳表の提供を通じて、翻訳の一貫性を保つこととした。研究実施にあたっては、様々な関係部局と資料の共有、意見交換を密に行った。また、改善計画案の検討を行った。研究は、それぞれが所属する研究施設及び研究資料、ほかWHOやJEE実施国からの資料をベースに実施した。専門家との意見交換は、現地訪問等により実施した。
結果と考察
実施体制と評価手法に関する検討を行うため、JEEに関する日本語レビューの作成、JEE評価ツールの翻訳案の修正、クイックアセスメント、海外での先行評価状況の取りまとめ、海外でのミッション事例からのフィードバック、関係者へのヒアリング、視察に関する企画立案、内部評価書の記載案や記載方法に関するガイド資料の作成、内部評価書の英文資料作成補助、対訳表の作成、証拠文書リストの作成と主要文書の英語仮訳の作成を行った。また、プレゼンテーション原稿の作成補助や、外部評価ミッションに参加し、質疑応答に専門的知見を集約してインプットして、高い評価に導いた。また、評価レポートのレビューと行動計画作成に向けた解説を作成し、今後の日本の健康危機管理体制の強化に向けて提言を行った。JEE外部評価ミッションの結果、日本は評価実施時点での合計得点が世界最高得点となった。評価点は未だ十分に標準化されておらず評価ミッションの運営も未成熟な部分があることから、各国間での総得点による比較に相応しい基準では無いことに留意するべきではあるが、研究班による専門的知見からの支援により、特にプレゼンテーションにおいて、評価項目に対して必要な事項を適切にかつわかりやすく回答できたことが功を奏し、日本の健康危機管理体制が外部評価者に適切に理解されたものと考える。
結論
国際保健規則(IHR)に基づく合同外部評価(JEE)の日本評価ミッションの実施に際し、実施体制と評価手法に関する検討を行い、内部評価書原稿の作成プロセス、英語文書の作成、ミッションにおける視察の企画、プレゼンテーション原稿の作成、外部評価ミッションにおける質疑応答に専門的知見を集約してインプットして、高い評価に導くことができた。また、評価レポートのレビューと行動計画作成に向けた解説を作成し、今後の日本の健康危機管理体制の強化に向けて提言を行った。

公開日・更新日

公開日
2018-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-05-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201706001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
JEEミッション受け入れに際しての内部評価書案の作成、国内の健康危機管理に関する英文資料の作成、証拠文書リストの取りまとめ、分野別の評価及び提言に関する解説と提言の作成、評価ツールの問題点の取りまとめを行なった。
臨床的観点からの成果
(非該当)
ガイドライン等の開発
(非該当)
その他行政的観点からの成果
作成された資料は厚労省が受検したJEE評価ミッションにおいて、内部評価資料ほか説明資料として活用された。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
齋藤智也
国際保健規則(2005)に基づく健康危機に対するコア・キャパシティ開発:新たなモニタリングと評価のフレームワーク
保健医療科学 , 66 (4) , 387-394  (2017)

公開日・更新日

公開日
2018-05-21
更新日
2022-05-26

収支報告書

文献番号
201706001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,850,000円
(2)補助金確定額
3,811,251円
差引額 [(1)-(2)]
38,749円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 444,732円
人件費・謝金 0円
旅費 469,729円
その他 2,896,790円
間接経費 0円
合計 3,811,251円

備考

備考
当初の費用見積もりに対して、人件費・謝金が想定ほど発生しなかったため。

公開日・更新日

公開日
2018-05-24
更新日
-