文献情報
文献番号
201705005A
報告書区分
総括
研究課題名
日本の高齢化対策の国際発信に関する研究
課題番号
H29-地球規模-一般-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 尚己(東京大学 大学院医学系研究科 公共健康医学専攻)
研究分担者(所属機関)
- 近藤 克則(千葉大学 予防医学センター・長寿医療センター老年学評価研究部)
- 尾島 俊之(浜松医科大学 医学部)
- 相田 潤(東北大学 大学院 歯学研究科)
- 斉藤 雅茂(日本福祉大学 社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
3,144,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
世界保健機関(WHO)が進めるHealthy Ageingの世界戦略をはじめとした、高齢者保健にむけた世界的な動きが加速している。世界で先駆けて高齢化を迎え、その対応のためのシステムをつくってきた日本からの発信を増やし、世界の施策に貢献すること、また世界的な動向から日本が学ぶべきことを理解し日本の施策への実装の一助とすることを目的とした。
研究方法
初年度は、世界的な動向の把握と国内の高齢者保健に関する最新のエビデンスや各国に有益と思われる概念やツールに関する情報の取りまとめをした。特に、国内において高齢者保健の施策に大きな影響を与えてきた日本老年学的評価研究(JAGES)の学術的成果や自治体との実践経験、対策のためのデータツールを基盤とした国際発信に重点を置いた。
結果と考察
その結果、2017年にWHOが出版した「高齢者のための包括ケアガイドライン(ICOPE)」が二次予防に特化したものにとどまっていることから、日本が培ってきた一次予防のための地域環境整備や組織連携の具体的なノウハウの知識提供や技術移転により、国際的な貢献ができる可能性が高いこと、反対に年齢差別への対策など世界的に重視されながら国内ではあまり議論が進んでいない事があり、対応が求められることなどが分かった。また、JAGESが全国約30の自治体と実施してきたエビデンスの創成とその社会実装のスキームが、今後急速に高齢化を迎える中低所得国にも応用可能なknowledge translationの好事例となり得ることから、そのエビデンスとkey factorsを整理した。Healthy Ageingに関する重要課題である認知症に関して、日本のAge and Dementia Friendly Citiesに関する活動を整理して、国際発信すべき取り組みやツールを確認した。さらに、災害時の高齢者の保健対策において、近年の大規模災害から多くの教訓とエビデンスを得た日本の知見を取りまとめた。H29年度はこれらの知見もとに、WHOの会合参加2回、その他の国際会議・シンポジウムでの報告15回などの活動を行った。
結論
次年度はこれらの結果を英文の雑誌論文・書籍刊行・ウェブサイトでの情報提供を進める。また、JAGESの別プロジェクトで進めているミャンマーやマレーシアでのJAGES調査と社会実装のプロジェクトと協力して推進すること、WHO等の会合に継続的に参加することなどにより、国際的な貢献を本格化させる。
公開日・更新日
公開日
2018-05-29
更新日
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