AI技術を用いた手術支援システムの基盤を確立するための研究

文献情報

文献番号
201703023A
報告書区分
総括
研究課題名
AI技術を用いた手術支援システムの基盤を確立するための研究
課題番号
H29-ICT-一般-013
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
村垣 善浩(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 蓜島 由二(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
  • 村井 純(慶應義塾大学 環境情報学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
11,020,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 東京女子医科大学を中心に(AMED事業として)推進中の「安全性と医療効率の向上を両立するスマート治療室(SCOT:Smart Cyber Operation Theater)の開発」は順調に進捗し成果を得ているが、SCOT概念は既存のIEC、ISO等々の医用機器関連国際規格のスコープには含まれていないという懸念事項がある。つまりSCOTには製品認証に適用する評価規格が存在しないという問題があり、SCOT事業の目的が“我が国の輸出の切り札としての治療室産業を創出すること”でありながら、輸出に必須である “医用機器もしくは医用システムとして国際認証”を得ることが困難となり、この状況では我が国の医療機器産業育成への効果が乏しくなってしまう。
 この様な隘路を突破するには、新たに医用機器もしくは医用システムとしての基本性能と安全性を担保する要求事項を規定した国際規格と、基本性能と安全性を評価する試験方法が必要である。
よってAI技術を用いた手術支援システムの基盤を確立するための研究により、上記のSCOT認証規格策定事業と並行してSCOTシミュレータを開発し、安全性と医療効率の向上を両立するスマート治療室、つまり“AI技術を用いた手術支援システムの基盤”を構築しSCOTシステム認証取得の迅速化をはかる事を目的とする。
研究方法
 SCOTシミュレータ開発委員会を編成し、以下の方針を決定して各WGでの活動に着手した。なおアドホックに特定の要検討事案を深耕するため幹事会メンバーおよび当該テーマに関連する委員および識者を招請し各WGおよび幹事会を開催した。
1.SCOTシミュレータ開発委員会
 平成30年2月14日に第一回会議を開催し、
・AMED事業としてのSCOTの現状と他国の類似機能開発状況を報告
・SCOTシミュレータ開発概要を報告
・慶応義塾大学の取り組みを報告
・国立衛研の取り組みを報告
・東京女子医科大学の取り組みを報告
・関連評価技術としてHIFUビーム可視化技術、精度管理用超音波ファントム、定位放射線治療用のファントム について報告
・これらの活動方針を審議し承認を得た。今後は以下の幹事会、WGにおいて実務活動をする旨合意を得た。
1)幹事会
2)SCOT評価科学WG
3)ハードウエア開発WG
4)ソフトウエア開発WG
5)知的財産権検討WG
6)規格策定リエゾンWG
2.SCOTシミュレータのハードウエアとソフトウエアの仕様検討と策定
3.SCOTシミュレータを用いた場合の評価方法の調査と技術内容策定
 SCOT接続して取り込んだ診断情報の空間分解能、時間分解能、濃度分解能を評価するためにファントムを整備し実測した。
結果と考察
 現存するME機器をSCOTシステムへ接続することで新たに発生するリスクを洗い出し、医療機器として評価すべき項目について検討を進め、SCOTシミュレータが評価可能な範囲と個別の医療機器として評価が必要となる事例等について明らかにすることができた。この成果によりシミュレータのハードウエア、ソフトウエアの仕様を明確化し、多様な機器のSCOTへの参入を円滑可できる事を確認した。その他への活用についても仕様等を検討して得た成果を合わせ下記の1~3に記述する。
1. SCOT認証規格に定めた試験方法を再現するシミュレータとして認証試験等々に活用
 これによりSCOT関連の国際規格に合致した評価試験システムが完成し、すべてのモダリティを有する総合医療機器メーカでなくともSCOTに接続して新製品の事前評価が可能。第三者認証機関は試験項目が明確化することで冗長試験を回避し明快な判定データを得て、認証の迅速化が期待できる。
2. 新システムや新機能を有するME機器開発時のエミュレータとしても使用可能
 コンピュータシステム開発に用いるICE:in-circuit emulatorとして機能するので開発が加速でき、新機能を持ったSCOT対応のME機器が早期に上市可能となり開発費削減により低価格化の効果もある。
3. SCOTのオンサイトメンテナンス試験に活用
 当該シミュレータがSCOT全体の故障を再現し各ME機器の動作を総合判断できるので始業前点検や定期点検が高精度で実施可能。システムダウン等々を事前に検知し対応することでシステム稼働時間を確保し医療の資質向上に資する。
結論
H29年度はシミュレータ仕様書のドラフトを策定した。
H30年度は該仕様書をブラシアップするとともにシミュレータのハード設計およびソフトウエア設計を実施しシミュレータを試作する。

公開日・更新日

公開日
2018-08-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-08-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201703023Z