医療行為にかかわる分類の国際比較とその改善や利用価値の向上に資する研究

文献情報

文献番号
201702001A
報告書区分
総括
研究課題名
医療行為にかかわる分類の国際比較とその改善や利用価値の向上に資する研究
課題番号
H28-統計-一般-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
川瀬 弘一(聖マリアンナ医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 波多野賢二(国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカル・センター 情報管理・解析部 データマネジメント室)
  • 高橋長裕(公益財団法人ちば県民保健予防財団総合健診センター)
  • 荒井康夫(学校法人北里大学病院 医療支援部診療情報管理室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
WHOは国際統計分類(WHO-FIC)の中心分類として、国際疾病分類(ICD)と国際生活機能分類(ICF)、医療行為の国際分類(ICHI)を設けている。ICD、ICFはWHOによって承認され各国に使用の勧告がなされているが、ICHIについては現在開発中である。ICHIがWHOによって承認されると、国際統計報告、診療報酬体系等を含め、幅広く影響を及ぼす可能性があり、我が国としてICHI開発の情報収集・分析、国内意見の集約、ICHI開発に対して提案するための体制作りを進めていくことが国内対応・国際貢献の両面から重要である。
外科系学会社会保険委員会連合(以下、外保連)で作成している手術試案の分類コード(以下、外保連手術コード)は、ICHI における分類コード(以下、ICHIコード)と類似していることが明らかになった。この試案には医科点数表の手術コード(以下、Kコード)も各外保連術式に掲載されている。
本研究の目的は、ICHI開発に参画し、情報収集・分析、ICHI暫定版の検証、国内意見の集約、ICHI開発に対する体制整備などを行うことである。Kコードと外保連手術コード、ICHIとの具体的な対応表や分析結果を示すことで、我が国の知見を反映したICHI開発を行うことになる。
なお平成30 年度診療報酬改定では、データ提出加算で提出を求めているデータにおいて、Kコードに外保連手術コードを併記する欄が設けられた。これにより、外保連手術コードが多くの医療機関に理解されることも期待できる。そうなれば基本構造が類似しているICHIコードの理解も容易になり、我が国でICHIを活用しやすくなる。
研究方法
本研究では、研究目的を達成するために以下の各研究を行うこととした。
1)Kコードから外保連手術コードへのマッピング
Kコードは医科点数表(平成30年度版)、外保連手術コードは外保連手術試案第9.1版(外保連試案2018年に掲載)を用いた。Kコードはあまり系統立ったコードではない。一方、外保連手術コードは操作対象部位(3桁)、基本操作(2桁)、手術部位へのアプローチ方法(1桁)、アプローチ補助器械(1桁)の4つの基本構造、合計7桁コードからなり、原則、操作対象部位順になっている。Kコードは2,095件あり、これに対応する外保連術式を抽出し、外保連手術コードへの対応表を作成した。1つのKコードに対して、複数の外保連術式がある場合には、1つの外保連手術コードを選択できるようにした。またKコードに対応する外保連術式がない場合には外保連手術コードを新たに附記することとした。
2)KコードからICHIコードへのマッピング
ICHIはICHI β2018 版を用いた。ICHIコードは、Target(3桁)、Action(2桁)、Means(2桁)の3つの基本構造、合計7桁コードからなっている。日本診療情報学会にKコードに対応するICHIコードを記載する作業を委託した。その際に1つのKコードに複数のICHIコードがある場合はすべて記載し、また3つの基本構造から導き出した7桁コードがICHIコードにない場合にはその旨をコメント欄に記載してもらった。
結果と考察
1)Kコードから外保連手術コードへのマッピング
Kコードと外保連術式が1対1に対応している場合には、Kコードから外保連手術コードへの対応表を作成することは容易だったが、1つのKコードに対応する外保連術式が複数あるものは354件あり、これに対して的確な外保連手術コードを附記するには「外保連手術コードを細分化する時の注意点」が必要であった。またKコードに対応する外保連術式がないものがあったが、これに対してはコードを附記するルールに基づいて新たに外保連手術コードを附記した。以上の作業を行うことで、Kコードと外保連手術コードのマッピングが可能となった。
2)KコードからICHIコードへのマッピング
この作業は56名の診療情報管理士と日本診療情報管理学会で指導的な立場である医師3名によって行われた。1つのKコードに複数のICHIコードが対応する場合は、外保連手術試案とICHIの分類コードが構造的に類似していることを利用して「Kコード外保連手術コード対応表」を活用し、全Kコードに対応するICHI コードを附記することができた。
結論
本研究でKコードと外保連手術コードのマッピングと、KコードとICHIコードのマッピングおこなった。2018年度から外保連手術コードが厚労省に提出するデータとして加わったため外保連手術コードが、病院関係者に広く知られるようになってきている。外保連手術コードもICHIコードもその構成要素は類似しており、ICHIがWHOによって承認されて診療報酬体系等に影響を及ぼすようになっても、円滑に対応可能となる土台が出来上がりつつある。

公開日・更新日

公開日
2018-09-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-09-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201702001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,000,000円
(2)補助金確定額
2,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 118,455円
人件費・謝金 0円
旅費 1,229,105円
その他 652,440円
間接経費 0円
合計 2,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-10-24
更新日
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