シックハウス症候群の診断基準の検証に関する研究

文献情報

文献番号
201625008A
報告書区分
総括
研究課題名
シックハウス症候群の診断基準の検証に関する研究
課題番号
H27-健危-一般-004
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
坂部 貢(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 角田 正史(北里大学 医学部 )
  • 高野 裕久(京都大学大学院 工学研究科 )
  • 松田 哲也(玉川大学 脳科学研究所)
  • 欅田 尚樹(国立保健医療科学院 生活環境研究部 )
  • 田辺 新一(早稲田大学 創造理工学部建築学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
5,862,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
シックハウス症状を訴える集団に対する診療上の混乱、医療政策上の混乱を是正 することを目的として、医療機関向けの標準化されたガイドラインを作成するための基盤情報を得る。
研究方法
平成 25 年~26 年度の本研究事業よって作成・検討されたシックハウス症候群の 臨床分類と診断基準に基づいて、シックハウス症状を訴える医療機関受診者・職場等を 対象として、個別特性に関する調査(患者背景、発症契機、自覚症状、診療経過、化学 物質感受性、アレルギーとの関連性、心理特性、空気質環境調査、建築工学的調査等) を主として評価し、既存の臨床分類及び診断基準の妥当性について詳細に検討を加える。
結果と考察
各協力医療機関、各企業健康管理室等において、患者情報を収集し、患者特性の解析を行った。症状が特定の場所で出現し、離れると改善する症状を病院に受診する必要のある程度に有している患者では、その訴える症状の種類が多いということが分かり、症状の多さは、ある症状の強さよりも、シックハウス症候群の診断のための重要な要素となることが確認された。また、主訴をいかなる症状ととらえるかにより、特に経過の長い症例においては、発症後の時間経過や時期によっても、狭義のシックハウス症候群とアレルギーの悪化を厳密に判別することが難しい場合があることが示唆された。また、狭義のシックハウス症候群とアレルギー疾患の悪化は共存しうることも想定された。よって、既存の臨床分類における4型シックハウス症候群に関してその定義・解釈を再考し、新ガイドラインに反映させることとした。
QEESI(化学物質不耐性評価問診票)並びにシックビル質問紙(MM040)を用いた調査において、建材及び建材関連品からの揮発性有機化合物の臭いや粘膜刺激が発症のリスク要因となっていた。心理面では、自己の感情の自覚や認知の困難さ、不安や否定的感情の増加が有意にみられ、社会活動の低下も有意であった。対策として、室内環境改善はもちろんのこと、心理面での評価・サポートも重要であり、既存の臨床分類3型の定義と位置づけについて詳細に検討を加え、新ガイドラインに反映させることとした。
最新の建築工学的知見をガイドラインに反映させるために、新規のシックハウスの要因となりうることが指摘されているPVC建材からのSVOC放散速度を測定した。 建物の用途によってSVOC (例えばフタル酸エステル類)の放散源や、汚染経路が異なることが考えられ、本症を診断する上で考慮すべき建築工学的見地を新ガイドラインに反映させることとした。
前年度及び今年度の研究によって、既存研究で提案されたシックハウス症候群に関する診断基準と臨床分類が検証され、標準化された適切なものの確立に向けた知見を得ることが出来き、全国の研究・医療機関に、統一した診断基準・対策マニュアルを提供(新ガイドライン作成)することが可能となった。この新ガイドラインを活用することにより、全国的に発生している患者実態を正確に把握することが可能になり、シックハウス症候群の予防および診療に関わる厚生労働行政施策の策定に寄与することが大いに期待できる。今後は、この新ガイドラインの検証に関する継続的な研究が極めて重要であると考えられた。
結論
平成27年度の本研究では、既存研究によって提案された、シックハウス症候群の臨床分類に基づいた患者の個別特性を医学面・居住環境面・建築工学面から詳細に検討し、本症候群の診断基準の検証・標準化を図り、臨床現場で有用なガイドラインを作成するための基礎資料を取集した。平成28年度(最終年度)は、27年度の基礎資料を基に、シックハウス症状を訴える患者を適切に分類し、個別の医療的対策を講じるための臨床分類・診断基準→個別特性、建築工学的問題点を詳細に再検討し、臨床分類・診断基準の重み付けを行い、ガイドライン作成の基盤情報を得た。

公開日・更新日

公開日
2017-07-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201625008B
報告書区分
総合
研究課題名
シックハウス症候群の診断基準の検証に関する研究
課題番号
H27-健危-一般-004
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
坂部 貢(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 角田 正史(北里大学 医学部 )
  • 宮島 江里子(北里大学 医学部 )
  • 高野 裕久(京都大学大学院 工学研究科 )
  • 欅田 尚樹(国立保健医療科学院 生活環境研究部 )
  • 立道 昌幸(東海大学 医学部 )
  • 松田 哲也(玉川大学 脳科学研究所 )
  • 田辺 新一(早稲田大学 創造理工学部建築学科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
シックハウス症状を訴える集団に対する診療上の混乱、医療政策上の混乱を是正 することを目的として、医療機関向けの標準化されたガイドラインを作成するための基盤情報を得る。
研究方法
平成 25 年~26 年度の本研究事業よって作成・検討されたシックハウス症候群の 臨床分類と診断基準に基づいて、シックハウス症状を訴える医療機関受診者・職場等を 対象として、個別特性に関する調査(患者背景、発症契機、自覚症状、診療経過、化学 物質感受性、アレルギーとの関連性、心理特性、空気質環境調査、建築工学的調査等) を主として評価し、既存の臨床分類及び診断基準の妥当性について詳細に検討を加える。
結果と考察
各協力医療機関、各企業健康管理室等において、患者情報を収集し、患者特性の解析を行った。症状が特定の場所で出現し、離れると改善する症状を病院に受診する必要のある程度に有している患者では、その訴える症状の種類が多いということが分かり、症状の多さは、ある症状の強さよりも、シックハウス症候群の診断のための重要な要素となることが確認された。また、主訴をいかなる症状ととらえるかにより、特に経過の長い症例においては、発症後の時間経過や時期によっても、狭義のシックハウス症候群とアレルギーの悪化を厳密に判別することが難しい場合があることが示唆された。また、狭義のシックハウス症候群とアレルギー疾患の悪化は共存しうることも想定された。よって、既存の臨床分類における4型シックハウス症候群に関してその定義・解釈を再考し、新ガイドラインに反映させることとした。
QEESI(化学物質不耐性評価問診票)並びにシックビル質問紙(MM040)を用いた調査において、建材及び建材関連品からの揮発性有機化合物の臭いや粘膜刺激が発症のリスク要因となっていた。心理面では、自己の感情の自覚や認知の困難さ、不安や否定的感情の増加が有意にみられ、社会活動の低下も有意であった。対策として、室内環境改善はもちろんのこと、心理面での評価・サポートも重要であり、既存の臨床分類3型の定義と位置づけについて詳細に検討を加え、新ガイドラインに反映させることとした。
最新の建築工学的知見をガイドラインに反映させるために、新規のシックハウスの要因となりうることが指摘されているPVC建材からのSVOC放散速度を測定した。 建物の用途によってSVOC (例えばフタル酸エステル類)の放散源や、汚染経路が異なることが考えられ、本症を診断する上で考慮すべき建築工学的見地を新ガイドラインに反映させることとした。
前年度及び今年度の研究によって、既存研究で提案されたシックハウス症候群に関する診断基準と臨床分類が検証され、標準化された適切なものの確立に向けた知見を得ることが出来き、全国の研究・医療機関に、統一した診断基準・対策マニュアルを提供(新ガイドライン作成)することが可能となった。この新ガイドラインを活用することにより、全国的に発生している患者実態を正確に把握することが可能になり、シックハウス症候群の予防および診療に関わる厚生労働行政施策の策定に寄与することが大いに期待できる。今後は、この新ガイドラインの検証に関する継続的な研究が極めて重要であると考えられた。
結論
平成27年度の本研究では、既存研究によって提案された、シックハウス症候群の臨床分類に基づいた患者の個別特性を医学面・居住環境面・建築工学面から詳細に検討し、本症候群の診断基準の検証・標準化を図り、臨床現場で有用なガイドラインを作成するための基礎資料を取集した。平成28年度(最終年度)は、27年度の基礎資料を基に、シックハウス症状を訴える患者を適切に分類し、個別の医療的対策を講じるための臨床分類・診断基準→個別特性、建築工学的問題点を詳細に再検討し、臨床分類・診断基準の重み付けを行い、ガイドライン作成の基盤情報を得た。

公開日・更新日

公開日
2017-07-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201625008C

収支報告書

文献番号
201625008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,620,000円
(2)補助金確定額
7,612,000円
差引額 [(1)-(2)]
8,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,410,716円
人件費・謝金 3,683,252円
旅費 357,303円
その他 402,932円
間接経費 1,758,000円
合計 7,612,203円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2018-03-15
更新日
-