文献情報
文献番号
201623022A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者等における薬物動態を踏まえた用法用量設定手法の検討に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H27-医薬-指定-013
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
秋下 雅弘(東京大学 医学部附属病院 老年病科)
研究分担者(所属機関)
- 斉藤 和幸(国立育成医療研究センター 臨床研究開発センター 開発企画部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
1,390,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、高齢者等の薬物動態を踏まえて、薬物有害事象を回避し、かつ有効性を維持するための用法用量設定手法の検討を行うことである。
研究方法
高齢者では、文献的調査と国内外の臨床試験および高齢者の薬物療法ガイドラインの精査を行い、高齢者を対象とした薬物療法の問題点、および薬剤開発等の試験で検討するべき課題について研究グループ内で議論し、その結果を踏まえて考慮するべき点を研究グループの提案として取りまとめた。
小児領域では、国内外の規制当局による通知、ICHガイダンス、小児関係学会等のガイドライン、さらに既承認医薬品の審査報告書や承認申請資料から小児を対象とした研究課題の抽出や国内外の治験の整理を行い、その結果をまとめた。また、Population pharmacokinetics (PPK)の手法を利用して各年齢群の用法用量の設定が可能か否か、可能である場合はどのような薬物動態試験が必要か検討した。
小児領域では、国内外の規制当局による通知、ICHガイダンス、小児関係学会等のガイドライン、さらに既承認医薬品の審査報告書や承認申請資料から小児を対象とした研究課題の抽出や国内外の治験の整理を行い、その結果をまとめた。また、Population pharmacokinetics (PPK)の手法を利用して各年齢群の用法用量の設定が可能か否か、可能である場合はどのような薬物動態試験が必要か検討した。
結果と考察
高齢者領域においては、薬剤開発にあたる現行のガイドラインはフレイルの要素に配慮した評価を行うことなどを提言するなど、現在においても高齢者の安全性の評価を推奨する妥当な内容であった。また、高齢者の薬物療法ガイドラインを検討したが、一部の薬剤のみで低用量での安全性等の記載があったが、ランダム化比較試験の文献レビューでは、高齢者での低用量での有用性を示す論文は散見されたが、その論文一つ一つ精査したところ、ランダム化比較試験という特別な条件では、高齢者の実臨床における有害事象のリスクを十分に把握しにくいと考えられた。直接経口抗凝固薬は、併用薬や腎機能、年齢、体重などを含めた細かな用量設定が決められており、薬物有害事象を考慮した場合には他の薬剤にも同様の減量設定が必要と考えられた。以上から、薬剤開発の際に年齢や併用薬、体重、臓器障害、併存症など、実臨床を想定した臨床試験を実施のうえで用量設定がされることが望ましいとする提言をまとめた。
小児領域においては、初めに国内外の規制当局における小児に対する用法用量設定に関する現状を調査した。その上で平成25年8月~平成27年7月までに小児適応が承認された医薬品についてその審査報告書を精査した。その結果、いずれも臨床試験成績が掲載されていない、または根拠となるデータが提示されていなかった。現状として小児の用法用量設定にあたっては、一部小規模の第3相試験を実施したものを除き、PPK (Population pharmacokinetics) を利用した承認が目立った。これらを踏まえ、小児適応の薬剤の開発がされるよう、法的規制の実施や臨床試験成績を基にした適応承認などの対策の導入を必要とする提言をまとめた。
小児領域においては、初めに国内外の規制当局における小児に対する用法用量設定に関する現状を調査した。その上で平成25年8月~平成27年7月までに小児適応が承認された医薬品についてその審査報告書を精査した。その結果、いずれも臨床試験成績が掲載されていない、または根拠となるデータが提示されていなかった。現状として小児の用法用量設定にあたっては、一部小規模の第3相試験を実施したものを除き、PPK (Population pharmacokinetics) を利用した承認が目立った。これらを踏まえ、小児適応の薬剤の開発がされるよう、法的規制の実施や臨床試験成績を基にした適応承認などの対策の導入を必要とする提言をまとめた。
結論
今回の検討によって、高齢者等においても用法用量の調節に関して必要なデータを取得するための臨床試験を行い、適正な用法用量の設定と有効性・安全性に関しての情報収集が必要であることが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2017-05-31
更新日
-