文献情報
文献番号
201623018A
報告書区分
総括
研究課題名
一般用医薬品における、化学合成品等のリスク区分の見直しと生薬・漢方製剤の安全使用に関する研究
課題番号
H27-医薬-指定-009
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
袴塚 高志(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究分担者(所属機関)
- 政田 さやか(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
- 能勢 充彦(名城大学 薬学部)
- 望月 眞弓(慶応義塾大学 薬学部)
- 橋口 正行(慶応義塾大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
4,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では,化学合成品等のリスク区分の見直しのための評価手法に関する研究として,販売制度施行以降に得られた,一般用医薬品の副作用報告,添付文書の使用上の注意の改訂内容,購入方法による副作用報告の違い等について情報を収集し,過去のリスク分類の概念に照らし,分類の考え方を整理する.また,生薬・漢方製剤の安全使用に関する研究として,従前の厚労科学研究において作成した「安全に使うための漢方処方の確認票」及び「安全に使うための一般用漢方処方の鑑別シート」を基礎として,インターネット販売に対応したwebコンテンツの作成を行い,甘草配合処方におけるグリチルリチン酸,及び,麻黄配合処方におけるエフェドリンアルカロイドの移行率について定量的解析を行う.
研究方法
OTC薬の副作用報告を行う製造販売業者の安全管理に携わる関係者の協力を得て,副作用報告内容をより充実させる方法をテーマに,現行のOTC薬の安全性情報の収集法の限界と今後の安全性情報収集の方向性について検討し、経口剤あるいは注射剤など全身作用を期待する製剤以外に局所作用を期待する製剤を有する抗菌薬のうち,6成分12製剤について,同一成分毎の副作用発現頻度および推定曝露量(推定AUC)について調べ,同一成分の高曝露製剤に対する低曝露製剤の推定AUCの比(AUC比)と副作用発現率の比(副作用比)の関係を検討した.
一般用漢方製剤の使用者安全性確認票を基礎として、webコンテンツの作成を進めて最終版を完成させた。また、甘草単味エキス及びグリチルリチン酸(GL)をマウスに投与し,グリチルリチン酸の血中主代謝物であるグリチルレチン酸(GA)の血中濃度を測定し、また,小青竜湯投与後の血中GA濃度について甘草単味エキスや小柴胡湯を対照に検討し、さらに、麻黄配合漢方処方のエフェドリン系アルカロイドの定量分析を行った。
一般用漢方製剤の使用者安全性確認票を基礎として、webコンテンツの作成を進めて最終版を完成させた。また、甘草単味エキス及びグリチルリチン酸(GL)をマウスに投与し,グリチルリチン酸の血中主代謝物であるグリチルレチン酸(GA)の血中濃度を測定し、また,小青竜湯投与後の血中GA濃度について甘草単味エキスや小柴胡湯を対照に検討し、さらに、麻黄配合漢方処方のエフェドリン系アルカロイドの定量分析を行った。
結果と考察
副作用報告内容をより充実させる方法として、各製造販売業者は医療用医薬品を監視し,収集していく方法を持つ必要があり、そして、OTC薬の安全性情報として,使用者が自分自身で正しく選び,正しくかつ安全に使えていることを適切な調査で証明する必要性があり、さらに、これらの情報を得るために実行可能な調査方法について,関係者間でさらに議論を深める必要がある。また、局所作用を期待する製剤を有する抗菌薬のうち,6成分12製剤について, AUC比はゼロに近いことから、今回の検討品目においては,副作用比は低く,全身性副作用は無視できるものと考えられた。
消費者が家庭や店頭において,インターネットを通じて自分の体質・症状に合った処方を選択し,選択した処方を安全に服用できるかをチェックする使い方を想定した一般用漢方製剤の情報提供サイト「漢方セルフメディケーション」を作成し,一般に公開した。甘草単味エキスにおけるグリチルリチン酸(GL)の血中主代謝物であるグリチルレチン酸(GA)の血中濃度推移が他の含有成分の影響を受けることを示し、また、小青竜湯において副作用の予測に資するデータを確立していくためには,当該生薬の配合量や処方中の成分含量だけでなく,当該成分やその主代謝物の体内動態をも考慮する必要があることが分かった。麻黄配合漢方処方では、エフェドリン,プソイドエフェドリンともに配合麻黄量に対して非常に良好な直線性を示すことが明らかとなった.
消費者が家庭や店頭において,インターネットを通じて自分の体質・症状に合った処方を選択し,選択した処方を安全に服用できるかをチェックする使い方を想定した一般用漢方製剤の情報提供サイト「漢方セルフメディケーション」を作成し,一般に公開した。甘草単味エキスにおけるグリチルリチン酸(GL)の血中主代謝物であるグリチルレチン酸(GA)の血中濃度推移が他の含有成分の影響を受けることを示し、また、小青竜湯において副作用の予測に資するデータを確立していくためには,当該生薬の配合量や処方中の成分含量だけでなく,当該成分やその主代謝物の体内動態をも考慮する必要があることが分かった。麻黄配合漢方処方では、エフェドリン,プソイドエフェドリンともに配合麻黄量に対して非常に良好な直線性を示すことが明らかとなった.
結論
スイッチOTC薬の副作用については医療用医薬品の安全性情報を利活用できることから,各製造販売業者は医療用医薬品を監視し,収集していく方法を持つ必要があること、さらには、OTC薬の安全性情報を得るために実行可能な調査方法について,関係者間でさらに議論を深める必要があることが明らかとなり、また、低曝露製剤と高曝露製剤の副作用の集計において,承認時のみのデータと市販後のデータも含まれたものとの比較があり,後者の正確性においては留意する必要があることが明らかとなり、今後の活用に際し有用な知見が得られた.
消費者向けの一般用漢方製剤の情報提供サイト「漢方セルフメディケーション」を完成させ,インターネット上で公開することができた。また、小青竜湯投与後血中GA濃度について甘草単味エキスや小柴胡湯を対照に検討し,副作用の予測に資するデータを確立していくためには,当該生薬の配合量や処方中の成分含量だけでなく,当該成分やその主代謝物の体内動態をも考慮する必要があることを示すことができた。さらに、本年度新たに麻黄配合漢方処方のエフェドリン系アルカロイドの定量分析を行い、エフェドリン系アルカロイドに起因する副作用の予測には配合麻黄量を第一義的に用いることができるものと考えられた。
消費者向けの一般用漢方製剤の情報提供サイト「漢方セルフメディケーション」を完成させ,インターネット上で公開することができた。また、小青竜湯投与後血中GA濃度について甘草単味エキスや小柴胡湯を対照に検討し,副作用の予測に資するデータを確立していくためには,当該生薬の配合量や処方中の成分含量だけでなく,当該成分やその主代謝物の体内動態をも考慮する必要があることを示すことができた。さらに、本年度新たに麻黄配合漢方処方のエフェドリン系アルカロイドの定量分析を行い、エフェドリン系アルカロイドに起因する副作用の予測には配合麻黄量を第一義的に用いることができるものと考えられた。
公開日・更新日
公開日
2018-06-21
更新日
-