食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究

文献情報

文献番号
201622033A
報告書区分
総括
研究課題名
食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究
課題番号
H28-食品-指定-010
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 堤 智昭(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 井之上 浩一(立命館大学 薬学部)
  • 岡 明(東京大学 医学部)
  • 畝山 智香子(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
40,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品中には、ダイオキシン類(DXNs)、有害元素、PCB類や副生成物などの有害物質が含まれている。食品中の有害物質の基準値設定の検討を行うためには、汚染量実態・摂取量実態の把握が重要である。本研究ではトータルダイエット試料の分析により濃度を明らかにし、食事を介した有害物質の摂取量を推定することを目的とする。一部の有害物質の摂取量に関しては継続的に推定し、摂取量の経年的推移を明らかにする。また乳児におけるDXNs対策の検証や乳幼児への影響を調べるために、人体汚染の指標として母乳中のDXNs濃度を分析し、その経年的な変化を調査する。さらに母乳からのDXNs等が乳幼児の発育発達に与える影響を検討する。
研究方法
暴露マージン(MOE)を指標とした化学物質のリストを更新・発展させながら、摂取量推定すべき有害物質を選定した。全国約10地域で調製するトータルダイエット試料(TD試料)を用いてDXNs、PCB類、有害元素類摂取量を推定した。ヒ素や水銀については、形態別摂取量を推定した。ハロゲン系難燃剤のうち、特に塩素系難燃剤(デクロラン類)について調査し、年次推移を明らかにすること及び全国規模の摂取量推定を検討した。LC-MS/MSを用いたTD試料におけるPFOS (ペルフルオロオクタンスルホン酸)等の分析法を検討した。実際の各個人の食事摂取データに基づく全年齢及び小児のモンテカルロシミュレーションによる魚介類からのDXNsの摂取量を推定した。出産1か月の母乳提供を求め(3地域、計約30名予定)、母乳中のDXNs濃度の測定と児の発育を評価した。
結果と考察
トータルダイエット(TD)試料を用いて、ダイオキシン類(PCDD/PCDFs及びCo-PCBs)及び ポリ塩化ビフェニル(PCBs)の国民平均一日摂取量を推定した。体重(50 kgと仮定)あたりのダイオキシン類の全国平均摂取量は0.54(範囲:0.19~1.42) pg TEQ/kg bw/dayと推定された。摂取量推定値の平均は、日本の耐容一日摂取量(4 pg TEQ/kg bw/day)の約14%であったPCBsの全国平均摂取量は、357 ng/person/dayと推定された。この値は日本の暫定耐容一日摂取量(TDI)の0.14%であった。また、推定された摂取量は、より厳しいWHOの国際簡潔評価文書のTDIと比較しても低い値であったが、TDIの36%程度となった。日常的な食事を通じて国民が平均的に摂取する鉛、カドミウム、ヒ素(総ヒ素並びに無機ヒ素)、水銀(総水銀並びにメチル水銀)を含む元素類及び、塩素系難燃剤(デクロラン類)の量を推定した。初産婦の出産後1か月の母乳中のダイオキシン濃度を測定した母乳中のダイオキシン濃度(PCDDs+PCDFs+Co-PCBsの合計)は、WHO2006年の毒性等価係数を用いた毒性等価量の計算では平均8.00 pg-TEQ/g-fatであった。食品中汚染物質の一つであるPFASs(ペル(パー)およびポリフルオロアルキル化合物)についてのこれまでの情報を収集しまとめた。ダイオキシン類の摂取量の精密にするために、個人の食事摂取頻度を詳細に調査した食品摂取量のデータと魚介類中のダイオキシン類濃度を用いてモンテカルロシュミレーションにより摂取量推定した。全年齢層(1歳以上)の中央値は0.28 pg TEQ/kg/day、小児(1~6歳)の中央値は0.16 pg TEQ/kg/dayであった。両年齢層の摂取量推定の中央値は、TDIを下回っていた。
結論
全国7地区8機関で調製したTD試料によるダイオキシン類の摂取量調査を実施した結果、平均一日摂取量は0.54 pg TEQ/kg bw/dayであった。ダイオキシン摂取量は行政施策の効果などもあり経年的な減少傾向が示唆されている。全国10地区で調製したTD試料によるPCBsの摂取量調査を実施した結果、一日摂取量の全国平均値は7.1 ng/kg bw/dayと推定され、この値は日本の暫定TDIの僅か0.14%であった。平成28(2016)年度に提供を受けた母乳中のダイオキシン類濃度は、25年から27年度の濃度と比較して、横ばいあるいは軽度低下していると考えられた。ダイオキシン類の摂取量の精密にするために、個人の食事摂取頻度を詳細に調査した食品摂取量のデータと魚介類中のダイオキシン類濃度を用いてモンテカルロシュミレーションにより摂取量推定した。全年齢層(1歳以上)の中央値は0.28 pg TEQ/kg/day、小児(1~6歳)の中央値は0.16 pg TEQ/kg/dayであった。両年齢層の摂取量推定の中央値は、TDIを下回っていた。

公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201622033Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
40,400,000円
(2)補助金確定額
40,318,000円
差引額 [(1)-(2)]
82,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 24,676,148円
人件費・謝金 875,603円
旅費 2,318,357円
その他 12,448,463円
間接経費 0円
合計 40,318,571円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-07-10
更新日
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