我が国で優先すべき生物学的ハザードの特定と管理措置に関する研究

文献情報

文献番号
201622013A
報告書区分
総括
研究課題名
我が国で優先すべき生物学的ハザードの特定と管理措置に関する研究
課題番号
H27-食品-一般-007
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 一成(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 紺野勝弘(富山大学)
  • 豊福肇(山口大学)
  • 泉谷秀昌(国立感染症研究所)
  • 岡田由美子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
  • 菅野陽平(北海道立衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
グローバル化に伴う人および物の移動により発生する食中毒も発生原因や発生態様は様々である。汚染された輸入食品が発生原因の場合や汚染された輸入食材が原因でその加工食品が汚染された場合、調理加工、輸送の段階で発生する汚染が原因となる場合もある。海外渡航者を介して我が国に侵入する場合もある。複数の州や国への集団発生は当該国の監視体制や封じ込めなどの管理体制が十分であればそれ以上の健康被害拡大は阻止可能であるが、管理体制が不十分な国などで発生した場合は周辺国へ瞬時に拡大する可能性がある。しかしながら、増加する食品の輸入時検査に重点を置いた体制では緊急時に対応することは困難である。そこで諸外国の管理体制を調査評価して、その結果に基づいた監視体制を整える必要がある。コーデックスガイドラインなど国際的なリスク評価手法を用いて、我が国の輸入食品に対する管理措置(検査の性質と頻度)をよりリスクに基づくものにする。そのために、諸外国の健康被害発生状況、違反状況、食品汚染実態、検査体制の情報収集を行い、相対的リスクランキングを行う。
研究方法
微生物・ウイルス関連の食品安全情報の収集解析では、文献レビューを行い国別にランキング付けを行った。赤痢菌、サルモネラ等の細菌学的分析国内事例については、感染症発生動向調査、食中毒発生状況などを、海外事例については論文雑誌・米国CDC、欧州CDCからの資料などを参考に情報収集を行った。分離菌株の解析については、パルスフィールドゲル電気泳動法PFGEもしくは複数遺伝子座を用いた反復配列多型解析MLVAを使用した。日本国内で分離されたL. monocytogenes 患者由来株108株、リステリア症感染牛由来株2株、牛腸内容物由来株1株、食品由来株260株、環境由来株1株及び標準菌株1株を用いて、PFGE解析を実施した。有毒植物に関する研究では、中毒情報の収集と必要に応じて現地調査を行い,また中毒原因植物のDNA分析による同定を行いPCR-RFLP法の有用性を示した。中毒が多いクサウラベニタケの分類を精査、再検討するために、ITS領域とRPB2領域について、CLCgenomic workbenchおよびMEGAソフトウェアを用いて、最尤法にて分子系統樹解析をした。各DNA配列間でギャップが有る場合の処理について、全ての配列を用いる場合と完全に除去する場合のそれぞれについて行った。欧州Entoloma rhodopoliumとの比較解析を行った。野外実施可能な検査法としてLAMP法の検討を行った。
結果と考察
リスクに応じた監視体制確立のために、3要素(ハザード、輸出国の管理体制、食品の種類)掛け合わせモデルを検討した。輸出国の管理体制評価にWHOの国際保健規則の食品安全Core Capability Questions and criteria を用いた。生ハム、燻製魚、チーズ中のリステリア、果実中のサルモネラのリスクランキングを行ッタ。主要国以外での情報不足による不確実性をさらにどう減らすかの一層の検討が必要。赤痢菌shigella sonnei55株をMLVAで追加解析して輸入例株について地域性以外に、系統も反映していることが示唆された。リステリアではPFGE解析の結果、食品由来株で患者由来株と100%の相同性を示したものは、明太子由来株、豚肉・鶏肉及びマグロ由来株、牛肉由来株(3株)、豚肉由来株、エシャロット由来株、ソーセージ由来株、松前漬け由来株であった。患者株間で100%の相同性を示す株は5組見られ、未知の小規模な集団事例の可能性も考えられた。自然毒研究では、実際に、中毒原因植物をこれまでに開発した簡易同定法であるPCRRFLP法を適用した。その結果、イヌサフランであると推定され有用性を確認した。毒きのこクサウラベニタケ(Entoloma rhodopoliumと考えられているが詳細不明のまま)の分類と毒性を明らかにするために、2遺伝子座で国内外の近縁種を含めシークエンス比較を行い、新種であることを明らかにした。野外で検査、目視判別できる新たな簡易検査法としてLAMP法をツキヨタケを標的に開発した。
結論
輸入食品のリスクの程度に応じた効率的な監視対策のために、輸出国と食品ハザードのリスクランキングの研究、食中毒アウトブレイクに対応可能なデータベースの作成、及び自然毒の健康被害防止と検査体制確立に関する研究を行った。

公開日・更新日

公開日
2017-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201622013Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,000,000円
(2)補助金確定額
6,980,000円
差引額 [(1)-(2)]
20,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,904,271円
人件費・謝金 297,400円
旅費 1,463,245円
その他 315,458円
間接経費 0円
合計 6,980,374円

備考

備考
自己資金374円

公開日・更新日

公開日
2018-07-12
更新日
-