バイオテクノロジーを用いて得られた食品のリスク管理及び国民受容に関する研究

文献情報

文献番号
201622010A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオテクノロジーを用いて得られた食品のリスク管理及び国民受容に関する研究
課題番号
H27-食品-一般-004
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
五十君 静信(東京農業大学 応用生物科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 手島  玲子(徳島文理大学 香川薬学部)
  • 今村  知明(奈良県立医科大学 健康政策医学講座)
  • 小関  良宏(東京農工大学大学院 工学研究院)
  • 太田  大策(大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科)
  • 堀内 浩幸(広島大学大学院 生物圏科学研究科)
  • 近藤  一成(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部)
  • 中村 公亮(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部)
  • 安達 玲子(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
多様化・複雑化するバイオテクノロジー応用食品の安全性評価に対応するためのオミクス手法の整備、定量解析手法並びに規格への反映化をめざすこと、消費者に受容されにくい状況が続いているGM食品の本質的原因の究明並びに社会的受容の促進を大きな柱とし研究を行う。加えて未承認GM食品の検知技術の開発及びスタック品種の検知法についての検討、食品の安全性評価に必要なアレルギー情報のデータベース化を行う。
研究方法
オミクス解析などによる安全性評価に関する実証的データの蓄積・整備では、バイオテクノロジー技術を用いて開発されたGM微生物、GM動物等に関して、それらの安全性評価への網羅的技術(トランスクリプトーム、プロテオーム及びメタボローム)による解析結果を総合することで、モデルGMを対象として安全性評価法の検討を行った。さらに新開発食品の安全性評価で現在最も重要となっているアレルゲン性に関するデータベース化、多様化するバイオテクノロジー技術並びに多様化するGM食品の機能に関する情報収集を行った。リスクコミュニケーション関連では、消費者に受容されにくい状況が続いているバイオテクノロジー応用食品の本質的原因の究明並びに社会的受容の促進を試みた。GM食品が受容されない本質的原因の究明に取り組むとともに、動植物の育種や品種改良の現場における技術として、重要性が増す一方であるGM及びNBT技術について、国民の正しい理解と判断を手助けするために必要なコミュニケーションツールおよび手法の開発に取り組んだ。
結果と考察
モデルGM動物の作出として、第一世代生殖細胞キメラニワトリでは,ランダムインテグレーション法により,GFP やその他の遺伝子を導入したGM候補ニワトリを用い検討した。これらを用いて遺伝子発現の違いをマイクロアレイ解析により調査したところ、27遺伝子について発現量の相異が確認された。トランスクリプトーム解析は、手技が簡単でありGMと非GMを比較し、プロテオームやメタボローム解析などの必要性を評価するスクリーニング法として有用と思われた。組換え微生物とヒト腸管上皮細胞の相互作用の評価系で、トランスクリプトームによる解析を試みた。プロテオーム解析では、有意差の見られた7スポットにつき。 メタボローム解析では、GFPタンパク質遺伝子組換え並びに非組換えにわとりから採取した血液を用いた。親水性画分と疎水性画分に分画し、それぞれの画分に含まれる代謝物をガスクロマトグラフ-飛行時間型質量分析装置によって計測し, 222 個の代謝物ピークを再現性良く観測した。このうち 121 個の代謝物を同定し,統計解析を行った。
多様な遺伝子組換え作物を検出するための検査手法開発では、近年、導入遺伝子やその発現制御因子であるプロモーター/ターミネーターの種類が多様化しており、多様な未承認遺伝子組換え食品の監視に実用が可能と思われる手法の検討を行った。8種のアレルゲンタンパク質のlinear epitope、及び3種のアレルゲンタンパク質のconformational epitopeの新規情報を得、これらの情報をアレルゲンデータベース(ADFS)に追加する作業を実施した。 消費者の年代別の生物の基礎的知識やリテラシーの違いを把握し、年代別のコミュニケーション手法を検討した。生物の基礎的知識やリテラシーと、GM食品に対するリスク認知や需要判断との関係性を明らかにし、円滑なリスクコミュニケーションに必要な要因を抽出した。
結論
本研究班の各種オミクス技術の解析結果を総合することで、多様化するバイオテクノロジー技術を用いて開発された遺伝子組換え作物やGM微生物食品のリスク管理に通じる知見を提供し、アレルゲン低減化ニワトリの検討では今後の動物等のGMの安全性評価基準策定に重要な基礎的知見を提供した。リスクコミュニケーションについては、ゲノム編集およびGM関連の各技術の最新動向および各国の対応状況を調査し、世界的動向の最新状況を把握し、同時に、国内消費者の調査を実施し、消費者の受容性の状況、受容性が変化するポイント(ライフイベント、年代等)を把握し、リスクコミュニケーションにおける効果的な働きかけの内容、セグメントを明らかにし、リスクコミュニケーション手法を開発することが期待される。アレルゲンデータベースの充実は、遺伝子組換え食品のリスク管理の上で必須であるアレルゲン性の評価に大きく貢献するものと考える。未承認GMの検知技術の開発により、GM食品の合法的な流通を検証し、違法な流通を監視するためのシステムの構築が期待される。

公開日・更新日

公開日
2017-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201622010Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
32,000,000円
(2)補助金確定額
31,967,993円
差引額 [(1)-(2)]
32,007円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 16,747,782円
人件費・謝金 5,858,519円
旅費 610,141円
その他 8,751,551円
間接経費 0円
合計 31,967,993円

備考

備考
年度末決済後の余剰分は、返済

公開日・更新日

公開日
2018-07-24
更新日
-