防爆構造電気機械器具に関する国際電気標準会議(IEC)規格に関する調査研究

文献情報

文献番号
201621007A
報告書区分
総括
研究課題名
防爆構造電気機械器具に関する国際電気標準会議(IEC)規格に関する調査研究
課題番号
H28-労働-一般-001
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
山隈 瑞樹(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 電気安全研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 三浦 崇(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 電気安全研究グループ)
  • 冨田 一(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 研究振興・国際センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
3,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国際電気標準会議(IEC)においては、防爆機器に関する技術的な規格を定めるとともに、その認証制度(IECExシステム)の制定及び運用も行っている。IECの規格及び制度は、国際的な広がりをもってきており、すでに多くの国々で受け入れられている。一方、我が国では、防爆機器については労働安全衛生法に基づく検定制度があるが、防爆機器の品質管理、保守等については検定制度には含まれておらず、この点においてはIECExシステムとの齟齬がみられる。そこで本研究では、主要国におけるIECExシステムへの対応を参考にしつつ、我が国の防爆機器検定制度のあるべき姿について検討し、IEC規格とIECExシステムとの調和を推進するための国内制度改正の基礎となる資料を作成することを目的とする。
研究方法
本研究は、次の三つの課題から成り、3カ年で実施する。
1. 防爆機器に関する法令・規格及び検定業務の運用に関する実態調査
 EU(独国)、米国及び豪州を対象に、IEC規格及びIECExシステムの導入の状況及び国内規制との関係、わが国におけるIEC規格と構造規格の技術的差異、及びわが国の関係者の要望等について調査する。調査については専門業者らに委託することとし、その報告書にもとに分析及び国内制度改正に資する部分の抽出を行う。
2. 防爆機器に係る法令・規格・検定のあり方に関する検討
 有識者らから成る委員会を設置し、IEC規格の国内法令における位置付け及びIECExシステムと構造規格との調和について検討し、最終年度に提言書を作成し、行政側に提出する。
3. IECExの枠組みによる型式検定の合理化に係わる効果の検証
 平成28年度に行政側で措置する「IECExの枠組での合理化策」について、その効果をアンケート等により明らかとする。
結果と考察
(1)主要国におけるIEC規格及びIECExシステムの国内法令上の位置付けと運用に関する調査
米国、EU(主としてドイツ)、豪州などの主要国におけるIEC規格の位置付け等について調査した。
(a)米国:政府の米連邦規制基準(CFR)では,全ての電気機器に対して認証を要求しており、特に、防爆機器は、労働安全衛生局(OSHA)が認定する国家認定試験機関(NRTL)によって認証されていなければならない。使用される技術基準には、二系統あり、一つは米国独自の規格であるNEC Article 500であり、もう一つは、IEC規格とほぼ同じ内容のANSI/ISA 60079シリーズである。NEC Article 500は、耐圧防爆、本質安全防爆、内圧防爆、非点火防爆及び粉じん防爆の五つの構造に限られるが、ANSI/ISA 60079シリーズではIECに規定されている構造であれば制限はない。その他に、危険箇所の区分方法、可燃性物質の分類方法にも違いがある。
(b)EU加盟国:ヨーロッパのEU加盟国においては、ATEX指令の下、EN 60079シリーズを自国の規格(例えば、英国ではBS EN、ドイツではDIN EN)としている。EU内の認証機関で認証を得た機器であれば、EU域内のどこでも自由に貿易及び使用ができる。EN 60079は、IEC 60079と内容的にはほぼ等しいが、版には若干の差がある。
(c)豪州:防爆規格としては、AS/NZS 2381という独自規格、及びIECと同じ内容のAS/NZS 60079シリーズがある。両国では、IECの機器認証スキームの下、世界のどの認証機関(ExCB)で認証された機器であっても、制限なく国内で使用することができる。
(2)我が国における現行制度下におけるIEC規格と構造規格との相違点
我が国では、構造規格及びIEC規格に整合した「国際整合技術指針」のいずれかの技術基準に適合することが検定により証明された防爆機器でなければならない。両基準には防爆技術内容にはかなりの違いがある。また、表面温度の測定及び分類方法、可燃性物質(ガス・蒸気及び粉じんともに)の分類方法にも違いがみられ、特に、使用者に対しては混乱を生じかねない状況になっている。
結論
国によってIEC規格への対応状況は異なり、特に米国のように独自規格が優勢な地域も多い。我が国でも構造規格が主流であり、かつ、IEC規格対応品の検定にもそれほど障害はない。したがって、現時点では、IEC規格へ一本化は喫緊の課題ではないと考えられる。ただし、防爆機器の使用者側の立場からは、防爆技術レベルの異なる状況が存在することは、防爆機器の導入において混乱を生じかねない。したがって技術レベルの整合化の観点から構造規格の改正が必要と考えられる。また、IECExシステムの円滑な導入を図るため、検定制度とIECExとの齟齬は極力解消するためのの検討を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2017-05-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201621007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,750,000円
(2)補助金確定額
4,678,991円
差引額 [(1)-(2)]
71,009円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 599,591円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 3,029,400円
間接経費 1,050,000円
合計 4,678,991円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2017-05-24
更新日
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