医療事故調査制度の実施状況等に関する研究

文献情報

文献番号
201620038A
報告書区分
総括
研究課題名
医療事故調査制度の実施状況等に関する研究
課題番号
H28-医療-指定-018
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
種田 憲一郎(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 平成11年に相次いで発生した医療事故を契機に、患者や医療界からの要望を受け、政府や与党において、医療事故調査制度に向けた議論が続けられてきた。今回の医療事故調査制度については、医療の安全を確保することを目的として、平成26年6月に「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」に含まれる医療法の一部改正案として成立し、平成27年10月に施行をされたところである。
 平成28年6月に一部改正の通知が出され、全国規模での支援の仕組みも次第に整い、収集された報告事例から具体的な再発防止の提案も示され始めた。しかしながら、その後も継続してその後も継続して検討する項目や、さらに一定期間以上の実施状況を勘案しなければ見えてこない課題等もあると考えられた。そのため本研究では、センターに集積された情報、支援団体の活動状況等、医療機関における実施状況等について、整理、分析を行い、諸課題の整理を行うことを目的とした。
研究方法
1)平成27年10月から平成29年3月末までの18か月間に、医療機関からセンターに収集され、匿名化された情報に基づいたデータに関して、データにアクセスできるセンター内職員の協力を得て分析を行った。事故発生日や死亡日などを基準に分析するなど、センターとは異なる視点で実施する。
2)センターからの委託によって歯科医師会・日本医師会が実施した研修後の支援団体および医療機関のアンケート結果を分析する。
3)特定機能病院における本制度に関わる取組みについて、フォーカス・グループを実施し、報告すべき事例の判断の仕組みなどについて情報収集と意見交換を行う。
結果と考察
 センターに報告された事例について、これまでは報告月毎に集計してきたが、事故発生日や死亡日などを基準に分析することで、多面的に評価できる可能性が示唆された。研修後の支援団体および医療機関のアンケート結果からは、報告すべき事例の判断や分析の進め方などについて、依然として、判断に迷うことがあることが示唆された。報告すべき事例の判断について、特定機能病院においては、それぞれ独自の取組みがみられるが、多く場合、医療安全管理部門が早期に判断の相談、支援に寄与することで、より適切に報告するよう努めている。しかしながら、基本的には相談すべきかどうかの判断も含めて、まず現場の医師の判断によって、報告すべき事例の判断が行われると考えられことから、医師等への報告すべき事例の判断についての理解を推進する研修、マニュアルの整備等がどの程度実施されているかが重要と思われた。またセンターから示された具体的な再発防止の取組み事例が判断に参考なっていることから、現場職員に対してこれらの事例の周知も有用であると考えらえた。
結論
 現時点での報告数は依然として予測より少ないと思われ、本制度は開始されて間もないこともあるが、これまでの分析からは、報告すべき事例の判断が不明瞭であり、医療機関の報告後の分析に関わる負担の大きさ、患者家族の態度による影響、支援団体等の支援のあり方、などが影響していることも示唆された。また各都道府県の取組みについては、報告状況にバラツキみられていることが示され、さらに詳細についての調査が必要である。

公開日・更新日

公開日
2018-02-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201620038Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,000,000円
(2)補助金確定額
2,641,228円
差引額 [(1)-(2)]
358,772円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 653,569円
人件費・謝金 789,609円
旅費 890,354円
その他 307,696円
間接経費 0円
合計 2,641,228円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-08-18
更新日
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