電子カルテ情報を用いた証拠性のある臨床研究手法に関する研究

文献情報

文献番号
201620034A
報告書区分
総括
研究課題名
電子カルテ情報を用いた証拠性のある臨床研究手法に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H27-医療-指定-016
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
木村 通男(国立大学法人浜松医科大学 医学部附属病院医療情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 直樹(九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター)
  • 澤 智博(帝京大学医療情報システム研究センター)
  • 作佐部 太也(藤田保健衛生大学医療科学部臨床工学科)
  • 渡辺 浩(国立長寿医療研究センター 治験・臨床研究推進センター医療情報室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
5,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医学研究における各種データを情報システムや電子カルテの技術・運用をあてはめることにより、誰により、いつ、どこで作成され、改定されたものかを明確にすることを自ら証せるものとすることが本研究の目的である。
研究方法
本年度は、a. 測定データ、画像データのワークフローの検討 b. 研究ノートの電子化のため、小規模施設用電子カルテの試用 c. 臨床系データのヴァリデーション状態の把握のため、種類別に監査の有無の検討 d. 研究用計測機器データへの署名の付加の実現性 について検討を行った。 
結果と考察
a. 測定データの証拠性向上: 次世代シーケンサーから出力されるデータの処理や解析を目的としたワークフロー管理システムについて、そのセキュリティ機能について調査した。複数名での利用を想定したワークフロー管理システムにおいては、ユーザー管理、アクセス権限管理、ログ管理の機能が実装されていた。これらのセキュリティ管理機能は、研究データの証拠性保全を支援できる可能性があることが判明した。 
b. 研究ノートの電子化:証拠性を有する研究を進めるために、電子研究ノートの実証実験を実施し、アンケート調査により一定の有用性を確認した。
c. 臨床系データのヴァリデーション: また、近年進んできたSS-MIX2からのEDCは、導入から継続的なデータ品質管理を実施している限りにおいて、他よりも証拠性が強いことを示唆した。 
d. 研究用計測機器のユーザ認証など、証拠性保全: ハッシュ値の算出にかかる計算負荷は過大なものではないことがわかった。一方、改ざん防止システムの構築の必要性が高いことが明らかになるとともに、実現のためには多くの問題があることも明らかとなった。したがって、改ざん防止のシステムを構築するためには、研究者や学会などの学術組織だけでなく企業などとも連携した社会的な取り組みが必要であることがわかった。
結論
a次世代シーケンサーから出力されるデータの処理や解析を目的としたワークフロー管理システムについて、そのセキュリティ機能について調査した。複数名での利用を想定したワークフロー管理システムにおいては、ユーザー管理、アクセス権限管理、ログ管理の機能が実装されていた。これらのセキュリティ管理機能は、研究データの証拠性保全を支援できる可能性がある。
b証拠性を有する研究を進めるために、電子研究ノートの実証実験を実施し、アンケート調査により一定の有用性を確認した。
c 近年進んできたSS-MIX2からのEDCは、導入から継続的なデータ品質管理を実施している限りにおいて、他よりも証拠性が強いことを示唆した。
d実用的時間で電子署名をNGSデータに処することが可能であることが判明したので、NGSデータの証拠性を向上させるため、特に改竄を検知できるようにするためには、NGSや公共データベースに対して電子署名技術と習慣を導入する必要があることが明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2018-01-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-01-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201620034B
報告書区分
総合
研究課題名
電子カルテ情報を用いた証拠性のある臨床研究手法に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H27-医療-指定-016
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
木村 通男(国立大学法人浜松医科大学 医学部附属病院医療情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 直樹(九州大学病院 メディカル・インフォメーションセンター)
  • 澤 智博(帝京大学医療情報システム研究センター)
  • 作佐部 太也(藤田保健衛生大学医療科学部臨床工学科)
  • 渡辺 浩(国立長寿医療研究センター治験・臨床研究推進センター医療情報室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医学研究における各種データを情報システムや電子カルテの技術・運用をあてはめることにより、誰により、いつ、どこで作成され、改定されたものかを明確にすることを自ら証せるものとすることが本研究の目的である。
研究方法
a. 測定データ、画像データのワークフローの検討 
b. 研究ノートの電子化のため、小規模施設用電子カルテの試用 
c. 臨床系データのヴァリデーション状態の把握のため、種類別に監査の有無の検討 
d. 研究用計測機器データへの署名の付加の実現性 
について検討を行った。
結果と考察
a.次世代シーケンサーから出力されるデータの処理や解析を目的としたワークフロー管理システムについて、そのセキュリティ機能について調査した。複数名での利用を想定したワークフロー管理システムにおいては、ユーザー管理、アクセス権限管理、ログ管理の機能が実装されていた。これらのセキュリティ管理機能は、研究データの証拠性保全を支援できる可能性があることが判明した。 
b. 研究ノートの電子化:証拠性を有する研究を進めるために電子研究ノートの実証実験を実施し、アンケート調査により一定の有用性を確認した。
c.近年進んできたSS-MIX2からのEDCは、導入から継続的なデータ品質管理を実施している限りにおいて、他よりも証拠性が強いことを示唆した。 
d.ハッシュ値の算出にかかる計算負荷は過大なものではないことがわかった。改ざん防止システムの構築の必要性が高いことが明らかになるとともに、実現のためには多くの問題があることも明らかとなった。改ざん防止のシステムを構築するためには、研究者や学会などの学術組織だけでなく企業などとも連携した社会的な取り組みが必要であることがわかった。
結論
測定機器は、全ゲノムであっても、データにハッシュ値埋め込みは負担とならないことがわかった。従って、メタデータとともに一連の流れとして行う仕様となる機器の普及を調達への指導を通じて図ることが望ましい。記述(計画、記録、考察など)に対しては、小病院・診療所用web型電子カルテシステムが求められる機能を安価に満たすことがわかった。研究室外からも参照記述でき、好評であった。一方、管理側は、小規模施設では手に余るため、この部分をサポートする共同利用型施設の存在が望ましい。臨床データは、電子カルテデータ(処方、検体検査、経過記録など)の証拠性の高さに比べて、各種部門機器のレベルがそれに至っていないことがわかった。それを補うため、報告書として、SS-MIX2拡張ストレージを用いることも一法であり、21 CFR Part11対応が目指せる。

本研究で示されたものを、疑いを持たれた本邦の医学研究の信頼性回復に資するため、以下を提言する。
・研究ノートの電子化を推進する。その際、小規模施設用電子カルテシステムが有用である。
・実験機器データの署名付与のためにも、特に小規模ラボでの実効性ある運用のためにも、認証系の公的な外部サービスプロバイダーの存在が望ましい。このサービスは、各施設に分散化したDBのレジストリサービスや、研究に必要なデータを探すコンセルジュサービスにも広がっていく可能性がある。
・臨床データは、SS-MIX標準化ストレージの物はMID-NET事業で示されたバリデーション手順で、それ以外のケースカードなどはIHE RFDプロファイルに準拠して証拠性を示すことをガイドライン化する。
・NGSなど計測機器のデータ形式の国際標準化を進め、積極的に国際調達に採用する。
・何より、研究データの証拠性をいつでも示せるように、上記などの技術や運用を利用することをガイドライン化する。

公開日・更新日

公開日
2018-01-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201620034C

収支報告書

文献番号
201620034Z