歯科医師の養成及び評価に関する総合的研究

文献情報

文献番号
201620028A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科医師の養成及び評価に関する総合的研究
課題番号
H28-医療-一般-019
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
一戸 達也(東京歯科大学 歯学部)
研究分担者(所属機関)
  • 西原 達次(九州歯科大学 歯学部)
  • 前田 健康(新潟大学 歯学部)
  • 藤井 規孝(新潟大学 歯学部)
  • 田上 順次(東京医科歯科大学大学院)
  • 荒木 孝二(東京医科歯科大学大学院)
  • 平田 創一郎(東京歯科大学 歯学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
1,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 歯科医師臨床研修を取り巻く現況を分析し、生涯研修につながる質の高い歯科医師養成体制を考案して歯科医師臨床研修制度の見直しに反映させることである。このために、歯科医師臨床研修プログラムや指導歯科医講習会の内容、および生涯研修プログラムを網羅的に検索して分析した。
研究方法
1. 歯科医師臨床研修の到達目標の見直しのための基礎調査
 歯科医師臨床研修の到達目標の見直しのための基礎調査として、平成28年度に実施されたすべての歯科医師臨床研修プログラムの到達目標について精査し、プログラム責任者に対してアンケート調査を実施した。質問項目は11群54項目とした。それぞれの項目について、A: 既に実施している、B: 絶対に実施が必要と考える、C: できれば実施したい、D: 臨床研修レベルでは不要と考える、のいずれかを選択させ、Bを選択した際に資源不足がその理由の場合には、何が不足しているかを記入させた。加えて、その他に追加が必要と考えられる項目を自由記載させた。また、選択必修コースや選択コースの必要性について意見を求めた。
2. 指導歯科医講習会で取り上げるテーマに関する基礎調査
 指導歯科医講習会で取り上げるテーマに関する基礎調査として、平成28年度に開催された指導歯科医講習会の講演の内容について検討し、プログラム責任者講習会を加えた企画責任者に対してアンケート調査を実施した。質問項目は34項目とし、指導歯科医講習会に必要と思われるテーマすべてを選択させた。
3. 生涯研修に関する実態調査
 平成27年度に開催された全国の生涯研修関連事業のうち、日本歯科医師会および本研究の研究代表者および研究分担者の所属機関である東京医科歯科大学、九州歯科大学、新潟大学、東京歯科大学の各大学同窓会が主体となって実施されたものに加えて、歯科医学教育白書2014年版を参考にして、日本歯科医学会専門分科会および認定分科会が実施している生涯研修事業についても調査した。
結果と考察
1. 歯科医師臨床研修の到達目標の見直しのための基礎調査
 周術期、保険診療・診療録記載、全身管理、医療安全・感染予防、問題対応能力の各項目についてはほとんどが既に実施しているか、絶対に実施が必要との回答であった。一方、地域医療(地域包括ケアシステムに参画する)、介護保険はあまり実施されておらず、必要性も低い結果であった。半数以上の回答で選択必修コースや選択コースの必要性が指摘された。1 年間という限られた期間に、効率的かつ特色のあるプログラムで臨床研修を実施するためには、必修の到達目標が多すぎないことも重要であり、選択必修コースや選択コースを含めたコース設計を考慮すべきであると考える。
2. 指導歯科医講習会で取り上げるテーマに関する基礎調査
 指導歯科医講習会で採用されたテーマは、『新たな歯科医師臨床研修制度』と『医療安全・感染予防』が大半であった。しかしながら、アンケート調査の結果によると、これらは現在の指導歯科医に求められるテーマには必ずしもマッチしていないことが示唆された。指導歯科医の資質・能力の向上と臨床研修施設における適切な指導体制の確保のために、指導歯科医講習会の開催指針の見直しによって、新規の重要なテーマを指導歯科医講習会に盛り込む必要があると考える。加えて、指導歯科医講習会を通じて指導歯科医に多様な最新の知見の周知を図るには、定期的な受講による知識のリフレッシュの仕組みの検討する必要があると考える。
3. 生涯研修に関する実態調査
 各団体が講演、ビデオ、実習など様々な形式で生涯研修事業を実施しており、若手歯科医師を対象としたものも相当数実施されていることが明らかとなった。大学同窓会を主体とした生涯研修事業は、臨床研修終了直後の若手歯科医師にとっても母校同窓会の研修会であれば極めて参加しやすいと考えられ、生涯研修の習慣形成をするためにも、このような大学とその同窓会の連携による研修会は有用性が高いと考えられる。一方、日本歯科医師会や日本歯科医学会分科会は、大学同窓会と異なり、臨床研修終了直後の歯科医師と直接的なつながりは少ない。このため、会員獲得の面からも、積極的に若手歯科医師が参加しやすい事業に取組み、継続的な生涯研修の中で重要な役割を果たすことが期待される。
結論
 1 年目の歯科医師として広く一般的に身につけておくべき到達目標について、卒前教育から生涯研修までの連続性を考慮しつつ必要な見直しを行い、それを踏まえた研修実施体制を再構築する必要がある。また、指導歯科医講習会で扱うテーマやタイムテーブルの見直しが必要である。加えて、日本歯科医師会、日本歯科医学会分科会及び各大学同窓会は、臨床研修終了直後の若手歯科医師を対象とした基本的な内容の生涯研修事業により積極的に取組むことが期待される。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201620028C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 現在実施されている(1)研修プログラムの到達目標、および(2)指導歯科医講習会における講演内容等の情報を収集し、プログラム責任者や指導歯科医講習会ディレクター等へのアンケート調査を含めて分析した。また、(3)生涯研修プログラムの情報を収集し、実態を把握した。その結果、(1)一部の項目については、現行の到達目標に速やかに追加・修正すべきである、(2)指導歯科医講習会で扱うテーマやタイムテーブルの見直しが必要である、(3)歯科医師の生涯研修のあり方について検討が必要である、との結論に達した。
臨床的観点からの成果
非該当
ガイドライン等の開発
非該当
その他行政的観点からの成果
 本研究結果を踏まえ、2018年から医道審議会歯科医師分科会歯科医師臨床研修部会において歯科医師臨床研修の制度改正に関する議論が開始された。2019年には歯科医師臨床研修精度の改正に関するワーキンググループが設置されて、合計13回の会議を開催し、到達目標等の見直しが行われた。これを受けて、2020年度から2021年度にかけて、歯科医師臨床研修制度の改正が実施されることになっている。
その他のインパクト
非該当

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-10-24
更新日
2021-05-11

収支報告書

文献番号
201620028Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,600,000円
(2)補助金確定額
1,600,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 176,017円
人件費・謝金 0円
旅費 157,524円
その他 897,459円
間接経費 369,000円
合計 1,600,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2019-05-24
更新日
-