新たな治療手法に対応する医療放射線防護に関する研究

文献情報

文献番号
201620023A
報告書区分
総括
研究課題名
新たな治療手法に対応する医療放射線防護に関する研究
課題番号
H28-医療-一般-014
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
細野 眞(近畿大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 一郎(国立保健医療科学院 生活環境部)
  • 高橋 健夫(埼玉医科大学 医学部)
  • 赤羽 正章(NTT東日本関東病院 放射線部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,464,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、放射線医療において、医療イノベーション推進に沿った高度な放射線治療機器や治療用放射性薬剤による治療(RI内用療法)に対応するための法令や指針を検討し、国民の生命を守り健康を向上することに繋がる放射線の利用と放射線防護体制の確保に寄与することを目的とする。さらに、医療法およびその関連法令と他の法令のハーモニゼーションを図ってわかりやすい規制のあり方を検討して、放射線治療の開発を促進し国民がその恩恵を受けることのできるような環境の整備を目指す。また放射線治療だけではなく、放射線医療全般における放射線防護の課題についても検討に含める。
研究方法
 課題ごとに医療放射線防護の実態について既存の資料を収集し、また実測や計算によってデータを取得して、それらの分析・取りまとめを行い、求められる指針やマニュアル等の案を作成した。検討した課題は以下の通りである。1-1 前立腺癌患者に対してヨウ素125密封小線源永久挿入療法の適用後に帰宅した場合の治療患者以外の第三者に対する放射線安全確保に関する検討、1-2 放射性医薬品(放射性ルテチウム-177標識ソマトスタチン類似体(177Lu-DOTA-TATE)注射液)を投与された患者の退出基準について、1-3 ヨウ素-131による治療患者に適用した人工透析の安全取扱いに関する検討、1-4 イットリウム-90標識抗P-カドヘリン抗体注射液の治験における適正使用に関する検討、2 医療放射線防護の国内実態に関する研究、3放射線治療における放射線防護に関する研究、4放射線診断・IVRにおける放射線防護に関する研究。
結果と考察
 1-1 線量の実測値を基準として、家族、介護者並びに第三者が受ける被ばく線量をシナリオに基づき算出した結果、一部を除き遵守すべき安全基準を十分に下回ることが確認できた。1-2 放射性ルテチウム-177標識ソマトスタチン類似体を投与された患者の退出について、患者毎の積算線量計算に基づく退出基準を適用することが望ましい。1-3 血液浄化療法を必要とする慢性腎不全患者にヨウ素-131ヨウ化ナトリウムカプセルによるRI内用療法を適用する場合に発生する固体状の放射性の感染性汚染物のマニュアル(案)を作成した。 1-4 イットリウム-90標識抗P-カドヘリン抗体注射液の治験適正使用マニュアル(案)を作成した。 2 X線CTの測定データを元に安全評価モデルを作成するなど、医療放射線防護の国内実態に関する検討を行った。3 放射線治療における放射線防護に関する研究では、放射線測定器の校正状況について、11%の施設(94施設)では、関連ガイドラインで推奨されている年1回の線量計の校正を実施していない現状にあり、このガラス線量計を用いた出力線量測定は、55%、460施設で実施されていない。4 放射線診断・IVRにおける放射線防護に関する研究では、水晶体等価線量について、防護メガネによる線量低減を評価した。
結論
本研究において、放射線防護の観点から、放射線治療機器や放射性薬剤による放射線治療を中心に、高度化・複雑化した放射線医療を安全に有効に実施するための環境整備に向けた資料を示すことができたと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2017-12-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-12-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201620023Z