小児慢性特定疾病児童等自立支援員による相談支援に関する研究

文献情報

文献番号
201610118A
報告書区分
総括
研究課題名
小児慢性特定疾病児童等自立支援員による相談支援に関する研究
課題番号
H28-難治等(難)-一般-036
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
檜垣 高史(国立大学法人 愛媛大学 大学院医学系研究科 地域小児・周産期学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 掛江 直子(国立成育医療研究センター 臨床研究開発センター生命倫理研究室・小児慢性特定疾病情報室)
  • 三平 元(千葉大学附属法医学教育研究センター)
  • 石田 也寸志(愛媛県立中央病院 小児医療センター)
  • 高田 秀実(国立大学法人 愛媛大学 大学院医学系研究科 地域小児・周産期学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
2,640,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成27年1月に施行された改正児童福祉法に基づき、新しい小児慢性特定疾病対策の一環として、実施主体では小児慢性特定疾病児童等自立支援事業を実施しているが、相談および自立支援事業の実際の運営において、明確な指針がないため模索している現状がある。当該分担研究では、その状況を把握し、得られた好事例などについて調査を行い、自立支援員の研修機会や、個別自立支援計画の作成および運用に関する具体的な情報など、結果を広く周知することにより、全国の自立支援事業の充実を図ることを目的としている。
研究方法
方法:1:自立支援事業の実態調査、2:先進的取組に関する情報の収集および好事例の例示、3:自立支援員研修の指導要領(案)の作成、4:個別自立支援計画の例示と立て方についての研究を行う。

平成27年に行われた都道府県・指定都市・中核市および自立支援事業受託団体を対象にした現状調査アンケートをもとに、各地域において、自立支援員の確保、自立支援員の活動、自立支援員の研修やスーパーバイズなどの現状、個別支援計画策定における問題点、慢性疾病児童地域支援協議会の開催における懸案事項など、現状の課題についてまとめた。
慢性疾病児童の自立に関して先進的に取組んでいる愛媛県および松山市の自立支援事業の事例を例示した。
また、小慢自立支援員の研修プログラムおよび個別自立支援計画の運用について提案するために、各地の小慢自立支援員より小慢自立支援員の活動及び研修等に関する意見を集め、これまで民間団体等により独自に実施されている小慢自立支援員の研修や、児童を対象とした公的な類似の支援員研修について情報収集した。
結果と考察
アンケート対象実施主体数:112実施主体の内訳は、都道府県:47、政令指定都市:20、 中核市:45である。調査の結果、「療育相談指導」が最も多く9割近い実施主体が実施していた。続いて「学校、企業等の地域関係者からの相談への対応」が5割弱と多く、「情報提供、ピアカウンセリング」は4割程度であった。 「巡回相談指導」および「自立に向けた育成相談」は、各々約30箇所で実施される程度であった。自立支援員の配置については、全体で91実施主体(81.3%)が配置済みであり、一方21実施主体(18.7%)が未配置であった。政令指定都市は1実施主体(5%)のみが未配置であったが、都道府県ならびに中核市は、約20%が未配置であった。また、任意事業の実施については、今回の調査時点では、非常に低い状況であった。本調査は、事業運用開始後1年での調査であったため、当該事業を実施する体制整備の段階である実施主体も多くみられた。
愛媛県では、愛媛県(都道府県)、松山市(中核都市)の両者から委託を受け、特定非営利活動法人ラ・ファミリエで、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業が行われている。相談支援事業(必須事業)、任意事業としては、患者と、きょうだいを含めた家族、医療者、支援者らによるキャンプや交流会などの相互交流活動、就職調整、職業体験、職能研修などの就職支援、学習支援、きょうだい支援などを中心に活動を行い、有効な成果が得られた。平成28年度の相談件数は261件であった。委員会の設置において、委員会メンバーは、企業、事業所等の代表者、親の会、教育関連、医療者、自立支援員、社会福祉士らで構成され、愛媛県、松山市の各担当者も参加し、多職種によって構成されており、本委員会において、就職が決定するなど実効的な委員会となっている。
小慢自立支援員としての素養、小慢自立支援員と保健師との業務連携、個別の自立支援計画の作成における留意点、就学支援及び就労支援における小慢自立支援員の役割として期待されること、小慢自立支援員の研修に関する希望等について意見を収集することができた。認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク、国立研究開発法人国立成育医療研究センターが共同で主催している自立支援員の研修会の概要について情報を収集することができた。その研修会では、行政職員による制度説明、就労等の専門家による講義のみならず、患者家族から小慢自立支援員に期待すること、個別の自立支援計画の作成について習得できることが分かった。
結論
自立支援事業の実際の運営において、調査によって得られた先進的取組や好事例に関する情報や、自立支援員の研修機会や、個別自立支援計画の作成および運用に関する具体的な情報など、結果を広く周知し、「全国どの都道府県等でも実施できる相談支援」と「先進事例を参考にした発展的な相談支援」とを区別して示すことにより、全国の自立支援事業の尚一層の質的および量的向上にむけた検討を行うことが可能になり、児童およびその保護者・きょうだいがより一層安心して暮らすことのできる地域社会の実現が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2017-06-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-06-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201610118Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,168,000円
(2)補助金確定額
3,168,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 903,017円
人件費・謝金 107,349円
旅費 1,614,694円
その他 14,940円
間接経費 528,000円
合計 3,168,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-02-15
更新日
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