難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究

文献情報

文献番号
201610003A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-031
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
三村 秀文(聖マリアンナ医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 了(国家公務員共済組合連合会斗南病院・形成外科)
  • 秋田 定伯(福岡大学寄付研究連携形成外科学・創傷再生学講座)
  • 大須賀慶悟(大阪大学医学系研究科 放射線医学)
  • 高倉 伸幸(大阪大学微生物病研究所環境応答研究部門 情報伝達分野)
  • 田中 純子(広島大学大学院医歯薬保健学研究院・疫学・疾病制御学)
  • 森井 英一(大阪大学医学系研究科 病態病理学)
  • 田倉 智之(一般社団法人受療者医療保険学術連合会 医療経済学)
  • 中岡 啓喜(愛媛大学医学部附属病院・形成外科)
  • 尾崎 峰(杏林大学医学部・形成外科)
  • 新見 康成(聖路加国際病院・神経血管内治療科)
  • 力久 直昭(千葉労災病院・形成外科)
  • 藤野 明浩(慶應義塾大学医学部外科学(小児))
  • 小関 道夫(岐阜大学医学部・小児科・小児科学)
  • 上野 滋(東海大学医学部外科学系小児外科学・小児外科学)
  • 岩中 督(埼玉県立小児医療センター小児外科)
  • 野坂 俊介(国立成育医療研究センター放射線診療部放射線診断科・画像診断学)
  • 梅澤 明弘 (国立研究開発法人国立成育医療研究センター 研究所 再生医療センター ゲノム医療・評価科学・生命倫理学)
  • 松岡 健太郎(北里大学北里研究所病院病理診断科)
  • 青木 洋子(東北大学大学院医学系研究科・臨床分子遺伝学)
  • 木下 義晶(九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・小児外科学)
  • 平川 聡史(浜松医科大学医学部皮膚科学)
  • 倉持 朗(埼玉医科大学医学部皮膚科学)
  • 神人 正寿(熊本大学大学院生命科学研究部 皮膚病態治療再建学)
  • 黒田 達夫(慶應義塾大学医学部小児外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
14,521,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症およびその関連疾患を対象とした。これらの疾患には長期にわたり患者のQOLを深刻に損なう多くの難治性の病態が含まれる。平成26年度は血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドラインの新規CQ案・推奨案を作成し、平成27年度は本格的なガイドラインCQ全体の改訂作業を行った。平成28年度はガイドライン完成、および関連各学会の承認を目指した。深部臓器血管性病変である肝血管腫はこれまでの先行研究で乳児期早期に致死的な経過を取る症例がある事が明らかにされている。平成28年度は海外でもまだ見ない診療ガイドラインの策定を目指した。
研究方法
1.診療ガイドラインの改訂:「血管腫・血管奇形診療ガイドライン」は2013年版であり、日本形成外科学会・日本IVR学会の承認を得たが、改訂にあたっては皮膚科・小児外科とも連携し、多診療科の意見を十分反映させてコンセンサスを得ることを目標とした。ガイドライン作成は「Minds診療ガイドライン作成の手引き2014」「Minds診療ガイドライン作成マニュアル」に従って作成した。ガイドライン作成グループ、システマティック・レビューチームはそれぞれ4つの担当グループから成る構成とした。動静脈奇形・静脈奇形・混合型・症候群グループは主に形成外科医、放射線科医が担当、毛細血管奇形・乳児血管腫グループは主に形成外科医、皮膚科医が担当、リンパ管奇形グループは主に小児外科医、形成外科医、小児科医が担当、基礎分野は病理医、分子生物学研究者が担当した。本年度は旧ガイドラインCQと推奨の改訂作業を行い、総説と合わせてガイドライン草案を作成した。草案作成後に関連各学会の査読を受け、パブリックコメントを収集し、患者会(血管腫・血管奇形患者会、混合型脈管奇形の会)の意見を伺い、ガイドラインを完成させ、学会承認を求めた。2.ホームページによる情報提供:研究班ホームページに「血管腫・血管奇形診療ガイドライン2013」を掲載してきたが、「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017」草案を掲載してパブリックコメントを収集し、完成した同ガイドラインを掲載した。疾患についての情報提供を行い、病理コンサルトのシステムを構築、維持した。3.乳幼児巨大肝血管腫に関する研究:各科学会、肝以外の領域の血管腫・血管奇形との整合性の調整を行いつつ診療ガイドラインを作成した。
結果と考察
1.「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン」作成が平成28年度の最重点課題であり、本格的な改訂を行った。完成したガイドラインは日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本医学放射線学会、日本IVR学会、日本小児外科学会、日本病理学会の承認を得た。2.当研究班から指定難病選定のための資料を提出した以下の5疾患が指定難病に選定された。277リンパ管腫症/ゴーハム病、278巨大リンパ管奇形(頚部顔面病変)、279巨大静脈奇形(頚部口腔咽頭びまん性病変)、280巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変)、281クリッペル・トレノネ-・ウェーバー症候群。平成28年度は厚生労働省健康局難病対策課、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所創薬資源部からの指示に従って指定難病調査票の修正を行った。また、難病情報センターに情報提供を行った。3.乳幼児巨大肝血管腫に関する研究では総説スタイルのガイドラインを作成し、日本小児外科学会の承認を得た。
結論
「血管腫・血管奇形診療ガイドライン2013」の改訂作業を行い、「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017」を完成させ、日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本医学放射線学会、日本IVR学会、日本小児外科学会、日本病理学会の承認を得た。当研究班から指定難病選定のための資料を提出した以下の5疾患が指定難病に選定された。277 リンパ管腫症/ゴーハム病、278 巨大リンパ管奇形(頚部顔面病変)、279 巨大静脈奇形(頚部口腔咽頭びまん性病変)、280 巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変)、281 クリッペル・トレノネ-・ウェーバー症候群。本年度はこれらの疾患に対して指定難病調査票修正を行った。乳幼児巨大肝血管腫に関する研究では総説スタイルのガイドラインを作成し、日本小児外科学会の承認を得た。

公開日・更新日

公開日
2017-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201610003B
報告書区分
総合
研究課題名
難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-031
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
三村 秀文(聖マリアンナ医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 了(国家公務員共済組合連合会斗南病院・形成外科)
  • 秋田 定伯(福岡大学寄付研究連携形成外科学・創傷再生学講座)
  • 大須賀慶悟(大阪大学医学系研究科 放射線医学)
  • 高倉 伸幸(大阪大学微生物病研究所環境応答研究部門 情報伝達分野)
  • 田中 純子(広島大学大学院医歯薬保健学研究院・疫学・疾病制御学)
  • 森井 英一(大阪大学医学系研究科 病態病理学)
  • 田倉 智之(一般社団法人受療者医療保険学術連合会 医療経済学)
  • 中岡 啓喜(愛媛大学医学部附属病院・形成外科)
  • 尾崎 峰(杏林大学医学部・形成外科)
  • 新見 康成(聖路加国際病院・神経血管内治療科)
  • 力久 直昭(千葉労災病院・形成外科)
  • 藤野 明浩(慶應義塾大学医学部外科学)
  • 小関 道夫(岐阜大学医学部・小児科・小児科学)
  • 上野 滋(東海大学医学部外科学系小児外科学・小児外科学)
  • 岩中 督(埼玉県立小児医療センター小児外科)
  • 野坂 俊介(国立成育医療研究センター放射線診療部放射線診断科・画像診断学)
  • 梅澤 明弘 (国立研究開発法人国立成育医療研究センター 研究所 再生医療センター ゲノム医療・評価科学・生命倫理学)
  • 松岡 健太郎(北里大学北里研究所病院病理診断科)
  • 青木 洋子(東北大学大学院医学系研究科・臨床分子遺伝学)
  • 木下 義晶(九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・小児外科学)
  • 平川 聡史(浜松医科大学医学部皮膚科学)
  • 倉持 朗(埼玉医科大学医学部皮膚科学)
  • 神人 正寿(熊本大学大学院生命科学研究部 皮膚病態治療再建学)
  • 黒田 達夫(慶應義塾大学医学部小児外科学)
  • 栗田昌和(杏林大学医学部付属病院 形成外科・美容外科)
  • 森川康英(国際医療福祉大学小児外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症およびその関連疾患を対象とした。これらの疾患には長期にわたり患者のQOLを深刻に損なう多くの難治性の病態が含まれる。その疾患概念を形成し患者に貢献することを目的とした。各疾患の診断基準、重症度分類、診療ガイドラインを策定し、疾患に応じて日本形成外科学会、日本医学放射線学会、日本IVR学会、日本小児外科学会、日本皮膚科学会、日本病理学会等の学会の認定を受けることを目指した。
研究方法
1.診療ガイドラインの改訂:「血管腫・血管奇形診療ガイドライン」は2013年版であり、日本形成外科学会・日本IVR学会の承認を得たが、改訂にあたっては皮膚科・小児外科とも連携し、多診療科の意見を十分反映させてコンセンサスを得ることを目標とした。ガイドライン草案は関連学会の査読を経て承認を目指した。2.指定難病資料提供:指定難病の選定時に指定難病検討委員会に当研究班から5疾患について診断基準、重症度分類などの資料を提出した。5疾患が指定難病に選定されたのち、指定難病調査票の作成・修正を行った。3.ホームページによる情報提供:「血管腫・血管奇形診療ガイドライン2013」を掲載してきたが、「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017」草案のパブリックコメントを収集し、完成した同ガイドラインを掲載した。また病理コンサルトについての情報提供を行った。4.乳幼児肝巨大血管腫研究:各科学会、肝以外の領域の血管腫・血管奇形との整合性の調整を行いつつ診療ガイドラインを作成した。
結果と考察
1.「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン」作成:前ガイドラインの全面改訂を行った。完成したガイドラインは日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本医学放射線学会、日本IVR学会、日本小児外科学会、日本病理学会の承認を得た。2.指定難病の選定結果:当研究班から資料を提出した下記の5疾患が指定難病に選定された。277リンパ管腫症/ゴーハム病、278巨大リンパ管奇形(頚部顔面病変)、279巨大静脈奇形(頚部口腔咽頭びまん性病変)、280巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変)、281クリッペル・トレノネ-・ウェーバー症候群。研究班が作成した診断基準、重症度分類が活用されている。3.指定難病調査票の作成、修正:厚生労働省健康局難病対策課、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所創薬資源部の指示により指定難病臨床個人調査票概要版、完成版の作成を行い、その修正を行った。4.難病情報センターへの資料提供:指定難病となった上記疾患のホームページ掲載のための病気の解説(一般利用者向け)、診断・治療指針(医療従事者向け)、FAQ(よくある質問と回答)を作成し難病情報センターに提出した。5.患者会への指定難病の説明:混合型脈管奇形患者会(旧混合型血管奇形の難病指定を求める会)医療講演会にて講演を行い、指定難病に関する説明を行った。6.全国調査の分析:旧「難治性血管腫・血管奇形についての調査研究班」で施行された全国調査のうち、重症度に着目した統計学的分析を行い、重症群の特徴を検討した。7.乳幼児巨大肝血管腫に関する研究:乳幼児巨大肝血管腫の概念を1歳未満の単発性・多発性の肝内血管性病変をもつ有症状例と規定し、平成26年度に診断基準を策定し、平成27年度は重症度分類を策定し、平成28年には総説スタイルのガイドラインを作成し、日本小児外科学会の承認を得た。
結論
「血管腫・血管奇形診療ガイドライン2013」の改訂作業を行い、「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017」を完成させた。CQ、推奨を完成させ、総説と合わせてガイドラインを完成し、日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本医学放射線学会、日本IVR学会、日本小児外科学会、日本病理学会の承認を得た。当研究班から指定難病選定のための診断基準、重症度分類などの資料を提出した以下の5疾患が指定難病に選定された。277 リンパ管腫症/ゴーハム病、278 巨大リンパ管奇形(頚部顔面病変)、279 巨大静脈奇形(頚部口腔咽頭びまん性病変)、280 巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変)、281 クリッペル・トレノネ-・ウェーバー症候群。これらの疾患に関して、指定難病調査票の作成・修正、難病情報センターへの資料提供、患者会への指定難病の説明を行った。乳児巨大肝血管腫に関する研究では診断基準、重症度分類、総説スタイルのガイドラインを作成し、日本小児外科学会の承認を得た。

公開日・更新日

公開日
2017-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201610003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究は血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症およびその関連疾患を対象とした。これらの疾患には長期にわたり患者のQOLを深刻に損なう多くの難治性の病態が含まれる。その疾患概念を形成して患者に貢献することを目的とし、各疾患の診断基準、重症度分類、診療ガイドラインを策定した。
臨床的観点からの成果
脈管奇形疾患の診断基準、重症度分類、診療ガイドラインを策定することにより、これらの疾患概念を整理し、診断・治療の指針を示した。診療ガイドラインはクリニカルクエスチョン、推奨だけではなく、疾患を解説するための総説を掲載し、臨床現場で有用な情報を提供することを目指した。
ガイドライン等の開発
「Minds診療ガイドライン作成の手引き2014」「Minds診療ガイドライン作成マニュアル」に従い、「血管腫・血管奇形診療ガイドライン2013」の改訂作業を行い、「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017」を完成させ、日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本医学放射線学会、日本IVR学会、日本小児外科学会、日本病理学会の承認を得た。乳幼児巨大肝血管腫に関する研究では、総説スタイルの「乳幼児巨大肝血管腫診療ガイドラン」を作成し、日本小児外科学会の承認を得た。
その他行政的観点からの成果
当研究班から指定難病選定のための診断基準、重症度分類などの検討資料を提出した以下の5疾患が指定難病に選定された。277 リンパ管腫症/ゴーハム病、278 巨大リンパ管奇形(頚部顔面病変)、279 巨大静脈奇形(頚部口腔咽頭びまん性病変)、280 巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変)、281 クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群。これらの疾患に関して、指定難病調査票の作成・修正を行った。また難病情報センターへの資料提供を行った。
その他のインパクト
患者会主催の患者、家族、市民を対象とした医療講演会で、研究班のメンバーが指定難病の説明を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
25件
その他論文(和文)
46件
その他論文(英文等)
3件
学会発表(国内学会)
72件
学会発表(国際学会等)
17件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
当研究班から資料提供した5疾患が指定難病に選定された。
その他成果(普及・啓発活動)
1件
患者会医療講演会で、指定難病の説明を行った。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-06-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201610003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
18,876,000円
(2)補助金確定額
18,876,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,079,247円
人件費・謝金 2,612,469円
旅費 4,715,214円
その他 3,115,184円
間接経費 4,355,000円
合計 18,877,114円

備考

備考
自己資金1,111円 利息3円

公開日・更新日

公開日
2018-03-06
更新日
-