心臓突然死の生命予後・機能予後を改善させるための一般市民によるAEDの有効活用に関する研究

文献情報

文献番号
201608001A
報告書区分
総括
研究課題名
心臓突然死の生命予後・機能予後を改善させるための一般市民によるAEDの有効活用に関する研究
課題番号
H27-心筋-一般-004
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
坂本 哲也(帝京大学医学部 救急医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 丸川 征四郎(医誠会病院)
  • 畑中 哲生(救急振興財団救急救命九州研修所)
  • 石見 拓(京都大学環境安全保健機構健康管理部門)
  • 横田 裕行(日本医科大学大学院医学研究科外科系救急医学分野)
  • 田邉 晴山(救急振興財団救急救命東京研修所)
  • 森村 尚登(横浜市立大学大学院医学研究科救急医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
3,654,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成16年の市民によるAED使用の認可以降、市中で利用可能なAED(PAD)設置が広がりをみせているが、その有効活用や管理に関しての検証は十分に行われていない。救急蘇生統計によると、一般市民により心肺停止の時点が目撃されていてもAEDの使用に至らなかった事例が多く存在しており、市民によるAEDの積極的な活用を阻害する因子を明らかにした上で、AEDの適正配置や消防機関等による救命講習の内容の改善によりAEDの有効活用が推進されると考えられる。本年度は、院外心肺停止患者に対する一般市民救助者によるAEDの有効活用に関する研究として、心停止の発生場所から直近のAEDまでの距離とAED使用有無の関係についての後ろ向き調査、通信指令員が心停止を疑った際に付近にいる救命ボランティアに対する発報により速やかにAEDを現場に届ける「AED運搬システム」の検討、加えて基礎データとしてのAEDの普及状況に係わる調査を行った。
研究方法
市民によるAEDの有効活用に関する研究(後ろ向き調査)では、対象地域(神戸市、大阪市、名古屋市)の消防機関より、2011年1月から2015年12月までの間に各消防機関が対応した病院外心停止の発生場所(ただし、住宅や老人ホームなどの居住施設は除く)、市民によるAEDの使用状況、発生年月、時間、曜日のデータを入手し、(一財)日本救急医療財団のAEDマップに登録された設置場所(同敷地内を除き2,106箇所、3,865箇所、3,622箇所)と、消防機関より提供された心停止場所(緯度経度に変換できないものを除き1,280件、2,060件、1,435件)との水平距離を測定して解析を行った。AED運搬システムについては、モデル地域である尾張旭市での実運用から検討を行った。120名の救命ボランティアが登録され、2017年1月~3月の期間で、通報時に指令員によって心停止の可能性が認められた、または救急隊が救命処置を行った院外心停止事例において救命ボランティアの反応状況を調査した。AEDの普及状況に係わる研究では、製造販売業者の協力のもとで当年度のAED販売台数、PAD・医療機関・消防機関別の販売台数、都道府県別の販売台数、廃棄台数(自社で更新した台数)に関するデータを取りまとめた。
結果と考察
市民によるAEDの有効活用に関する研究(後ろ向き調査)において、市民により電気ショックを実施、または救急隊到着時点でAEDが準備されていた(AED準備中)ものを合わせると、679件(14.2%)であり、AED設置場所から50m以内で発生した心停止のうち23.5%でAED準備中であった。曜日による電気ショック実施またはAED準備中の割合の有意な差はなく、深夜帯(0~8時)では有意に少なかった。直近のAEDまでの距離は、電気ショック実施またはAED準備中であった事例において、AEDなしの場合よりも有意に近かった。海外との比較では、多数のAEDの設置にも関わらず、AEDが有効に活用されていない可能性が示唆された。AED運搬システムの検討では、指令員によって心停止の可能性が認められた事例は42件あり、そのうちAED運搬システムが起動した事例が36件であった。救命ボランティアが実際に行動を起こした事例は6件あったが、AEDの入手、現場への到着、救急隊よりも早いAEDの使用事例はなかった。本研究と類似したシステムの運用による先行研究では、1km2あたりの登録ボランティアが28.6名でバイスタンダーCPRの実施割合が向上していたが、本研究での登録ボランティアは5.9名/1km2であり、ボランティア増加の必要性が示唆された。AEDの普及状況に係わる研究において、わが国でのこれまでのAEDの販売台数はおよそ84万台であり、うちPADが82%(68.8万台)を占めた。平成16年以降の暦年ごとのAEDの新規販売台数をみると、PADについては、ここ3カ年は、86,000 - 87,000で横ばいとなっている。本調査は、年間や累計のAEDの販売(出荷)台数の調査であり、設置台数とは異なる。設置台数の把握は本邦ではなされておらず、AEDの効果的な配置のために設置台数の把握をするには、販売台数からの類推などが必要となる。AEDは薬事法に規定する高度管理医療機器及び特定保守管理医療機器でもあり、今後は本邦全体でより正確な設置台数の把握ができる体制構築が望まれる。
結論
以上の結果よりAEDのより適正な配置の検討を経て、効果的に活用されるような計画的配備が可能となる。AEDの普及は進んでいるが、より正確な設置台数の把握ができる体制構築が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201608001B
報告書区分
総合
研究課題名
心臓突然死の生命予後・機能予後を改善させるための一般市民によるAEDの有効活用に関する研究
課題番号
H27-心筋-一般-004
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
坂本 哲也(帝京大学医学部 救急医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 丸川 征四郎(医誠会病院)
  • 畑中 哲生(救急振興財団救急救命九州研修所)
  • 石見 拓(京都大学環境安全保健機構健康管理部門)
  • 横田 裕行(日本医科大学大学院医学研究科外科系救急医学分野)
  • 田邉 晴山(救急振興財団救急救命東京研修所)
  • 森村 尚登(横浜市立大学大学院医学研究科救急医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成16年の市民によるAED使用の認可以降、市中で利用可能なAED(PAD)設置が広がりをみせているが、その有効活用や管理に関しての検証は十分に行われていない。救急蘇生統計によると、市民により心肺停止の時点が目撃されていてもAEDの使用に至らなかった事例が多く存在し、市民によるAEDの積極的な活用を阻害する因子を明らかにした上で、AEDの適正配置や救命講習の内容の改善によりAEDの有効活用が推進されると考えられる。本研究班では院外心停止に対するAEDの使用状況ならびに非使用事例における理由についての調査項目・用紙の検討、心停止の発生場所から直近のAEDまでの距離とAED使用有無の関係についての後ろ向き調査、既存の院外心停止症例集積データベースからのAEDの使用実態に関する検討、通信指令員が心停止を疑った際に付近にいる救命ボランティアに対する発報を行う「AED運搬システム」の検討、加えて基礎データとしてのAEDの普及状況に係わる研究を行った。
研究方法
AEDの使用状況ならびに非使用事例における理由についての研究では、専門家によるコンセンサス会議で対象となる院外心停止事例の絞り込みと、非使用事例における理由の類型化を経て調査項目および調査用紙を検討した。心停止の発生場所から直近のAEDまでの距離とAED使用の有無の関係についての後ろ向き調査では、消防機関より入手した2011~2015年の病院外心停止の発生場所と(一財)日本救急医療財団のAEDマップに登録された設置場所の距離を測定して、AED使用状況等との解析を行った。既存の院外心停止データベースからのAEDの使用実態に関する検討では、人口ベースの院外心停止登録である大阪ウツタインプロジェクトのデータベース(2011~2012年)を用い、大阪府下で発生した院外心停止における市中のAEDのパッド装着状況を調査した。AED運搬システムについては、モデル地域である尾張旭市での実運用において、登録された救命ボランティア120名の心停止発生時の対応状況を調査した。AEDの普及状況に係わる研究では、製造販売業者の協力のもとで当年度のAED販売台数、PAD・医療機関・消防機関別の販売台数、都道府県別の販売台数、廃棄台数(自社で更新した台数)に関するデータを取りまとめた。
結果と考察
AEDの使用状況ならびに非使用事例における理由についての調査の検討において、対象は市民により目撃された院外心停止すべてとし、発生場所は「公衆出入場所」「仕事場」「道路」のうち老人保健施設等を除外するものとした。調査項目は、救急隊が通常の業務として収集するものに加え、AED有無、パッド装着、電気ショック実施の各過程ごとにフローチャート式の調査用紙に記載することとした。AED非使用の理由の記載にあたっては救助者からの聴取を要するため、迅速な活動や救助者の心理的負担を考慮し、実施可能な消防機関のみで行う方針とすることが適切と考えられた。心停止の発生場所から直近AEDまでの距離とAED使用の関係についての後ろ向き調査では、電気ショック実施またはAED準備中であった事例において、AEDなしの場合よりも直近AEDまでの距離が短く、設置場所から50m以内で発生した心停止のうち23.5%でAED準備中であったが、海外での報告と比較すると効率的ではない可能性が示唆された。既存の院外心停止症例集積データベースからのAEDの使用実態に関する検討において、パッド装着割合は心停止の発生場所によって大きく異なり、学校、駅、空港等で高く、院外心停止の大多数が発生する自宅では低かった。パッドが装着されたうち除細動に至った割合も自宅で低く、公共の場所で高かった。1か月後社会復帰はパッド装着ありで19.4%、装着なしで3.0%と有意な差があり、自宅では差はなかったが、公共の場所では有意な差がみられた。AED運搬システムの検討では、システム起動により救命ボランティアが実際に行動を起こした事例はあったものの、AEDの入手、現場への到着、救急隊よりも早いAEDの使用事例はなかった。面積あたりの救命ボランティアの増加が課題と考えられた。AEDの普及状況に係わる研究では、わが国においてのこれまでのAEDの販売台数はおよそ84万台で、うちPADが82%(68.8万台)を占めた。本調査は、年間や累計のAEDの販売台数の調査であり、設置台数とは異なる。設置台数の把握は本邦ではなされておらず、販売台数・廃棄台数等からの類推などが必要となっている。今後は本邦全体でより正確な設置台数の把握ができる体制構築が望まれる。
結論
以上の結果よりAEDのより適正な配置の検討を経て、効果的に活用されるような計画的配備が可能となる。AEDの普及は進んでいるが、より正確な設置台数の把握ができる体制構築が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201608001C

収支報告書

文献番号
201608001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,749,000円
(2)補助金確定額
4,749,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 283,115円
人件費・謝金 1,435,414円
旅費 544,048円
その他 1,391,423円
間接経費 1,095,000円
合計 4,749,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-10-18
更新日
-