全国がん登録と連携した臓器がん登録による大規模コホート研究の推進及び高質診療データベースの為のNCD長期予後入力システムの構築に関する研究

文献情報

文献番号
201607022A
報告書区分
総括
研究課題名
全国がん登録と連携した臓器がん登録による大規模コホート研究の推進及び高質診療データベースの為のNCD長期予後入力システムの構築に関する研究
課題番号
H27-がん対策-一般-003
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
平田 公一(北海道公立大学法人札幌医科大学 医学部 消化器・総合、乳腺・内分泌外科)
研究分担者(所属機関)
  • 森 正樹(大阪大学大学院消化器外科学)
  • 今村将史(札幌医科大学医学部消化器・総合、乳腺・内分泌外科)
  • 今村正之(関西電力病院)
  • 岩月啓氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 海野倫明(東北大学大学院消化器外科学)
  • 岡本高宏(東京女子医科大学医学部外科学第二講座)
  • 沖田憲司(札幌医科大学医学部消化器・総合、乳腺・内分泌外科)
  • 木下義晶(九州大学大学病院総合病院周産期母子医療センター小児外科)
  • 桑野博行(群馬大学大学院・病態総合外科学講座)
  • 國土典宏(東京大学医学部医学系研究科・肝胆膵外科・人工臓器移植外科分野)
  • 小寺泰弘(名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学)
  • 後藤満一(大阪府立病院機構大阪府立急性期・総合医療センター)
  • 今野弘之(浜松医科大学外科学第二講座・消化器外科)
  • 佐伯俊昭(埼玉医科大学国際医療センター・乳腺腫瘍科)
  • 佐藤雅美(鹿児島大学大学院医歯学総合研究所循環器・呼吸器病学講座・呼吸器外科学分野)
  • 佐野 武(がん研究会有明病院・消化器外科)
  • 柴田亜希子(国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター全国がん登録分析室)
  • 下瀬川徹(東北大学大学院医学系研究科消化器病態学)
  • 杉原健一(東京医科歯科大学)
  • 藤 也寸志(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター・消化器外科)
  • 徳田 裕(東海大学医学部外科学系乳腺内分)
  • 中村清吾(昭和大学医学部・乳腺外科)
  • 西山正彦(群馬大学大学院医学系研究科・病態腫瘍薬理学)
  • 野々村祝夫(大阪大学泌尿器科学)
  • 袴田健一(弘前大学消化器外科学)
  • 原 勲(和歌山県立医科大学・泌尿器科)
  • 福井次矢(聖路加国際大学・聖路加国際病院)
  • 藤原俊義(岡山大学医歯薬学総合研究科・消化器外科学)
  • 古川俊治(慶應義塾大学院法務研究科)
  • 堀口明彦(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院消化器外科)
  • 三上幹男(東海大学医学部専門診療学系産婦人科学)
  • 宮田裕章(東京大学大学院医学系研究科医療品質評価学講座)
  • 山本雅一(東京女子医科大学・消化器外科)
  • 横井香平(名古屋大学大学院医学系研究科・呼吸器外科学)
  • 渡邉聡明(東京大学大学院医学系研究科・腫瘍外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
16,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦のがん治療成績が国際的に大きな影響を及ぼしたとする実績は一部の領域に限られるが、その成果は世界のトップレベル学術誌の掲載を介し大きな評価を得るなど、本邦の他領域の見本として牽引してきた。しかし本邦の医療の質は高いにもかかわらず、データ登録・分析体制の不十分さから必ずしも広く国際的評価を十分に得られずにいる。さらにその背景には、(1)臨床成績の比較を行なう際に最も重要な因子となる生存・羅患の情報収集が法令上かなり困難であった、(2)従って国際的に通用しうるがんデータ情報の収集・管理体制が国際的に通用しうる法的・学術的指針を示し得なかった、(3)(1)に関わるが、第三者機関によるデータ分析体制の確立が財務面・体制面で困難であった、(4)臓器がん登録体制等の課題について学会間共通の基盤の下、討論する適切な場がなかった、などがある。本研究は、本邦のがん情報データベースを基に国内的、国際的視点からも高い信頼と評価を得るべく正確な分析体制を確立することによって国際的に高い信頼性を獲得し、さらに本邦における新医療情報体制を構築することによって多方面へ貢献することを目的とする。
研究方法
研究内容別に三大別し、研究群として二群3分科会を形成した。第一群では全国がん登録のデータ活用が可能直前のこの時期において、高質な臓器がん登録体制の構築へ向け具体的応用に向けた体制提案とその試行、臨床研究に於いて研究倫理と法的条件課題などについて課題解決、第二群では臓器がん登録を積極的に実施する各学会の当該課題を担当する研究分担者を中心に実施状況と課題内容を検討し高質な登録・分析体制の探索、第二群の検討内容については2分し、(1)第三者機関であるNCDシステムを応用した登録・分析体制の長・短所抽出と課題解決を検討し、(2)自学会独自に登録・分析を継続するうえでの課題を検討、第三群は臓器がん登録については継続的登録を困難とする学会を対象にその方向性を検討、することとした。更に、本年度の研究に当たって、以下の三点について配慮することとした。[A]各群間での研究情報内容を交換し、それぞれの課題を可能な限り集約する、[B]第二、三群にあっては、全国がん登録の内容の学術的応用へ反映させるための精緻性を担保する具体的方法論を検討する、[C]三群間での全体研究結果として将来へ向け第一歩を踏み出すための具体的な理念と実行の為の素地形成に心掛けることとした。
結果と考察
本邦のがん医療の質向上に向けた理念に基づいた基盤的体制には、登録学術団体間で大きな差があり、その具体的解決の為には共有すべき基本理念の確立が必須であることを確認した。研究の最終的目標としては、国際基準に則った次世代臨床がん研究成果を継続的発信することを可能とする体制確立の必要性を再確認した。全国がん登録の政令・省令に基づいたデータ利用は2018年1月より可能となっている直前の今日、ようやく一部の学会でもデータの継続的利用の担保と今後の研究方法の在り方に関心を生じつつある。研究倫理については多くの学会が、データの研究利用に当たっては米国に見られるオプトアウト方式の運用が国民に寄与しうるとの要望を寄せてきたが、今回の新規倫理指針で実体法ではオプトアウトの継続が可能とされ、研究機関学会を介して、2017年4月以降、早急に周知しなければならない。平成28年度末における討論からは、これまでの臓器がん登録状況に学会間隔差を生じていた背景には、財務的課題、人的課題、法的課題の複合的関与がより明瞭になった。分析を第三者機関に委ねない理由も新たに明確な点が提案されたこと、通年に渡っての登録事業が為されない背景・理由、また臓器がん登録を全く行っていない学会としての学術的理由、社会的理由、等の課題が明確になったため、次年度の課題として確認した。
結論
将来のがん医療の質向上に向けて全国登録を結び付けて得られるビッグデータを如何に有意義に利活用しているかについては早々に問われることとなる。本研究は、本邦初のがん種研究学術団体間の壁を取り除いた研究組織として機能し、本邦のがん医療の評価・研究へと結びつける為の体制基盤整備の充実をめざし漸次、新展開を図ってきた。国家的事業としての全国がん登録により、高質で大規模な学術的対応を可能とし、医療情報の収集・分析・研究・管理システムの確立によって、医療内容の改変、改良という医療の質向上サイクルを早期に確立させる必要がある。現状では、本邦のがん医療の質向上に向けた登録体制基盤状況と理念には学術団体間に大きな差がある。その具体的解決の合意が成された。
今後は、国際的視点からも法的・倫理的基準の準拠による次世代の本邦のがん臨床研究体制の基盤作りの研究展開を図る必要がある。2年目研究として十分な成果を得ることができた。

公開日・更新日

公開日
2017-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-06-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201607022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
21,000,000円
(2)補助金確定額
21,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,032,146円
人件費・謝金 3,704,043円
旅費 4,185,806円
その他 4,880,624円
間接経費 4,200,000円
合計 21,002,619円

備考

備考
自己資金による支出2,619円を含む

公開日・更新日

公開日
2017-10-30
更新日
-