母子の健康改善のための母子保健情報利活用に関する研究

文献情報

文献番号
201606007A
報告書区分
総括
研究課題名
母子の健康改善のための母子保健情報利活用に関する研究
課題番号
H28-健やか-一般-001
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
山縣 然太朗(山梨大学 大学院総合研究部 医学域 基礎医学系 社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 永光 信一郎(久留米大学 医学部 小児科)
  • 松浦 賢長(福岡県立大学 看護学部)
  • 山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター)
  • 松田 義雄(独立行政法人 地域医療機能推進機構 三島総合病院)
  • 市川 香織(文京学院大学 保健医療技術学部)
  • 尾島 俊之(浜松医科大学 医学部 健康社会医学講座)
  • 菅原 準一(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
  • 上原 里程(宇都宮市保健所)
  • 森 臨太郎(国立成育医療研究センター 政策科学研究部)
  • 近藤 尚己(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 吉田 穂波(国立保健医療科学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
15,462,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究分担者:松田義雄 国際医療福祉大学(平成25年6月1日~平成28年7月1日) ↓ 独立行政法人地域医療機能推進機構三島総合病院(平成28年8月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、「健やか親子21(第2次)」の課題である母子保健領域における格差の是正および母子保健情報の利活用の推進のために、乳幼児健康診査(以下、健診)を中心とした市町村事業のデータの利活用システムの構築と母子保健情報利活用のガイドラインを作成することである。
研究方法
研究内容は次の3点である。
1.母子保健情報利活用の推進のための環境整備に関する研究
・乳幼児健診情報の入力システムの構築
・「取り組みのデータベース」および「母子保健・医療情報データベース」の構築・運営
2.特定妊婦への支援に関する医療機関と行政機関との連携に関する研究
3.母子保健領域に関する研究およびシステマティック・レビュー
結果と考察
1.母子保健情報利活用の推進のための環境整備として、情報の利活用の更なる促進を図るため、昨年度に開発した「乳幼児健診情報システム」の改修を行い、データの可視化や手軽さに力を入れた。「乳幼児健診情報システム」が国への報告という活用方法だけでなく、日常の母子保健業務の一助となることを期待する。また、全国の自治体から「健やか親子21(第2次)」に関する母子保健事業が登録され、誰でも検索ができる「取り組みのデータベース」に関しては、多くの自治体から登録があった。しかし、本データベースの意義や活用方法が十分理解されていない可能性が考えられることから、本データベースについての情報を発信し、日常業務へより一層活かしてもらえるよう努めていく。そして、「母子保健・医療情報データベース」はホームページ開設から毎年200件ほどのデータの更新を行い、一定のアクセス数を得ており、母子保健関係者への重要な情報提供の場となっている。さらに、地域の健康課題を明らかにした上で人材育成事業の立案と展開を行い、研修を効果的に実施して行くことができるような自治体の類型化と、カテゴリー別のアプローチについて検討した。

2.特定妊婦への支援に関する医療機関と行政機関との連携についての研究では、ハイリスク妊婦の抽出を目的とした医療機関における「問診票を用いた情報の把握」および行政機関との連携方法の開発、および実態調査とその出生時の転機に関する調査を実施した。次年度以降、複数のモデル地域でこの開発したツールの有効性の検討を行う予定であり、本ツールが全国に展開されることで、妊娠期から支援が必要な妊婦を有効に抽出し、妊娠中から行政機関と共同して支援に当たることが可能となると考えられる。さらに、特に0歳、0か月の子供虐待、産褥期の母親の自殺や心中を減らすことができることが期待される。また、産後ケアの実施状況の把握、行政における乳幼児健康診査事業の評価指標データの利活用状況や母子保健対策の取組状況に関する研究を行い、支援が必要な妊産婦を妊娠期から出産後まで支援する体制づくり、およびモデル地区での調査に向けて前進することができた。

3.社会環境と子どもの健康、特に、受動喫煙防止対策における両親を取り巻く社会規範や環境の影響についての研究では、親の教育年数と自宅内喫煙との関係を喫煙に関する規範が媒介するかを検証した。また、小児保健・医療領域における積極的予防に関する系統的レビューに関する研究を行い、子どもの健康と発達において包括的なアプローチと多職種の連携が母子保健施策にとって重要であることをエビデンスをもって示唆できたと考える。
結論
1.母子保健情報利活用の推進のための環境整備として、「乳幼児健診情報システム」の改修、「取り組みのデータベース」および「母子保健・医療情報データベース」の運営を実施した。また、地域の健康課題を明らかにした上で人材育成事業の立案と展開を行い、研修を効果的に実施して行くことができるような自治体の類型化と、カテゴリー別のアプローチについての検討を行った。

2.医療機関と行政機関が連携して特定妊婦への支援できる体制の構築に向け、ハイリスク妊婦の実態調査を実施した。また、ハイリスク妊婦の抽出を目的とした医療機関における「問診票を用いた情報の把握」および行政機関との連携方法の開発に関する研究を行った。さらに、出産後も継続的に母子を支援していくことができるような母子保健情報システムの構築と地域モデルでの検討、産後ケアの実施状況の把握、そして市町村における乳幼児健康診査事業の評価指標データの利活用方法や母子保健対策の取組状況に関する研究を行い、支援が必要な妊産婦を妊娠期から出産後まで支援する体制づくりの基盤を整えることができた。

3.社会環境と子どもの健康について、および小児保健・医療領域における積極的予防に関する系統的レビューに関する研究を実施し、子どもの健康と発達において包括的なアプローチと多職種の連携が母子保健施策にとって重要であることをエビデンスをもって示唆した。

公開日・更新日

公開日
2017-05-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201606007Z