文献情報
文献番号
201604006A
報告書区分
総括
研究課題名
伊勢志摩G7サミットとそのフォローアップにおける我が国の国際保健政策に関する研究
課題番号
H28-地球規模-指定-002
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
渋谷 健司(東京大学大学院医学研究科 国際保健政策学)
研究分担者(所属機関)
- 橋本 英樹(東京大学大学院医学研究科 保健社会行動学)
- 城山 英明(東京大学公共政策学連携研究部 行政学)
- 明石 秀親(国立開発研究法人国立国際医療研究センター国際医療協力局)
- 熊川 寿郎(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
- 勝間 靖(早稲田大学国際学術院)
- 林 玲子(国立社会保障・人口問題研究所 国際関係部)
- 康永 秀生(東京大学、臨床疫学・経済学)
- 近藤 尚己(東京大学大学院医学研究科)
- Stuart Gilmour (スチュアート ギルモー)(東京大学大学院医学研究科)
- Md Mizanur Rahman (エムディー ミジャヌール ラーマン)(東京大学大学院医学研究科)
- 阿部 サラ(東京大学大学院医学研究科)
- 山崎 繭加(東京大学大学院医学研究科)
- Smith Ann(スミス アン)(東京大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
6,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成28年に日本で開催されるG7伊勢志摩サミット及びG7神戸保健大臣会合は、持続可能な開発目標(SDG)の時代の幕開けと、2014年の西アフリカでのエボラ危機の余波が残る中での開催となり、我が国主導のもとで新たなグローバルヘルスのアジェンダを推進する絶好の機会である。また、激変するグローバルヘルスの枠組み(アーキテクチャー)に対して、我が国が国益を確保しつつ適切に対応していくためには、グローバルヘルス分野で実践的に活躍ができる人材が益々必要となる。本研究は国内外の関係者との有機的な連携のもと、官邸や関係機関などとも連携しつつ官民共同のグローバルヘルス研究班を設置し、伊勢志摩と神戸の2つのG7会合及びそのフォローアップのための具体的な政策に資するエビデンスを提供する。さらに、保健外交に特化したワークショップを開催しグローバルヘルス人材の育成を行うとともに、トレーニングマテリアルの開発を行う。
研究方法
1.班会議を4月、5月、8月、12月に実施し、本研究の目標および研究者の役割分担と連携を確認するとともに、神戸保健大臣会合に向けた分析に必要なデータを確認し分析を開始する。包括的な実証分析のために、関連官庁統計調査の個票データの目的外使用申請を行う(*)。
2.伊勢志摩G7サミットにおける政策議論の支援を行う(政策文書や提言などへのインプット)。
3.世界保健総会および伊勢志摩G7サミットに参加する若手の関係者を担当に国際保健外交に関するワークショップを国内外の関係者との連携のもとに5月上旬に実施し、効果的な会議対応および政策提言を促進する。
4.伊勢志摩G7サミット後における主なアジェンダを確認し、関係機関や国際機関(WHO、OECDあど)との連携のもと、適宜、必要な分析を追加し、政策文書や提言の準備を行う。
5.9月の神戸保健大臣会合における政策議論の支援を行う(政策文書や提言などへのインプット)。
6.本研究班からの成果を特に海外での学会や会議(マヒドン王子賞国際会議)にて発表し、意見交換及び研究の啓発をする。
7.英文査読雑誌への投稿:本研究成果を英文査読雑誌に投稿する。特に、神戸保健大臣会合の機会に論文を準備する。
2.伊勢志摩G7サミットにおける政策議論の支援を行う(政策文書や提言などへのインプット)。
3.世界保健総会および伊勢志摩G7サミットに参加する若手の関係者を担当に国際保健外交に関するワークショップを国内外の関係者との連携のもとに5月上旬に実施し、効果的な会議対応および政策提言を促進する。
4.伊勢志摩G7サミット後における主なアジェンダを確認し、関係機関や国際機関(WHO、OECDあど)との連携のもと、適宜、必要な分析を追加し、政策文書や提言の準備を行う。
5.9月の神戸保健大臣会合における政策議論の支援を行う(政策文書や提言などへのインプット)。
6.本研究班からの成果を特に海外での学会や会議(マヒドン王子賞国際会議)にて発表し、意見交換及び研究の啓発をする。
7.英文査読雑誌への投稿:本研究成果を英文査読雑誌に投稿する。特に、神戸保健大臣会合の機会に論文を準備する。
結果と考察
全世界の人間の安全保障を実現することを目指しG7各国がグローバルヘルスのために取るべき協調行動として、3つの領域、すなわち、1)公衆衛生上の緊急事態に対応する事前対策及び対応を可能にするグローバルヘルス・アーキテクチャーの再編2)保健システムの強靭性と持続可能性に関するベストプラクティスを共有し、その知見を活用するプラットフォームの構築 3)グローバルヘルス・セキュリティのための研究開発とシステムイノベーションの調整及び資金調達の強化を提言した。提言は医学誌ランセット(The Lancet)に英文及び和文にて掲載された。また、昨今の日本グローバルヘルス政策からこのG7伊勢志摩・保健大臣会合に向けた一連の保健アジェンダ設定のプロセスをまとめた論文が医学週刊誌 「医学のあゆみ」に掲載された。
結論
G7伊勢志摩サミット及びG7神戸保健大臣会合に向け、昨今のグローバルヘルス・アーキテクチャー強化における諸課題を十分に検討し、我が国の戦略的関与も鑑みながら、官民連携のマルチ・ステークホルダー型の議論を通じて最も効果的な解決策の提案を目指した。まず、種々の議論(ユニバーサル・ヘルス・カベレッジ(UHC)の達成に向けた議論、2014年のエボラ危機への国際対応から得られた教訓、世界保健機関(WHO)による高齢化と健康に関するワールド・レポート及びベルリンにおける2015年G7保健大臣会合・科学大臣会合での議論)を踏まえ、 アーキテクチャー強化に関わる優先的諸課題を同定した。その上で、G7アジェンダへの提言として、人間の安全保障とUHC実現のための行動計画及びその具体例をランセット誌に発表し、世界的にも大きなインパクトを与えたものと考える。また、平成28年5月、特に若手人材育成のために、タイ・日本双方にて国際保健外交に関するワークショップを開催した。WHO総会等における効果的な会議対応及び政策提言の方策について実践的講義を行うとともに、今後も活用できるトレーニングマテリアルの整備を行った。
公開日・更新日
公開日
2017-06-28
更新日
-